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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
ノースギア学院編

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323/363

本名ってあったのね

 

「ちょっと骨龍狩って来るから休憩していてねー」

「えぇ、私は少し寝るわ。ライズはどうするの?」

「ノースギアで沢山本買ったから読もうかな。ルクナ、デスちゃん行ってらっしゃい」


 デスちゃんを肩に乗せて外に出て、気になったので宝箱があるかこっち矢に聞いてみた。こっち矢の指す方向は海底火山の火口だったので、結界を踏み台にしながら火口まで登ってみた。


「デスちゃんと二人で迷宮探索って初めてじゃない?」

『うん、嬉しい。宝箱取るね』


 デスちゃんが闇の手を火口の中に伸ばしていった。海の中なのに火口の溶岩は固まっていないから、迷宮は海を無視しているという事か? 海の影響なんて気にしないと言っているみたいで、氾濫が近いのは間違いないか。

 デスちゃんが取り出した宝箱は赤色で、一度休憩所に戻って開けてみることにした。


「あら、早かったわね」

「こっち矢で宝箱見つけたから開けよー」

「ほんとそれ便利だね」


 赤色の宝箱を開けてみると、最初に見えたのは透明なガラス瓶の中に種子が入っているもの……神眼で解析していくか。

 アビスプラントの種……魔界の植物。鉢植えで育ててみよう。

 断罪者の仮面……精神力が上がるが殺したくなる。いらない。

 血飛沫のシャツ……返り血を浴びると防御力アップ。いらない。

 髑髏の鎧……水耐性だが火と打撃に弱い。いらない。

 抗酸化シート……野菜が長持ちする。

 霊体ナイフ……霊を斬れる。半透明ね。

 朝蜘蛛の髪飾り……幸運アップだがわしゃわしゃ動いてキモい。いらない。

 リペアクララ……わっ、美容液だっ。豪華な箱入りだからブランド物じゃない?

 美人の浴衣……美人が着ていた浴衣。良い匂いがする。

 あとは金と銀の装飾品。


「……ハズレね」「まぁ、良いのは美容液くらいかしら」

『ママ、これ欲しい』


 デスちゃんに霊体ナイフをあげて、いらないのは捨てよう。

 アビスプラントを入れているガラス瓶を開けた……くっせ。ぶよぶよした種だし……あっ、ガラス瓶の方が凄いかも。入れた物を完全に保存出来る魔導具だ。でも瓶もくさい。


「まだ二層だから、奥まで行ったら宝探ししよう。デスちゃん、行くよ」

 デスちゃんを連れて骨龍探しを始めた。

 火山の近くに居たから、火山一つにつき一匹いそう。見渡す限りでは三つあるのでこっち矢を使いながら向かってみた。

 海の中だから移動速度は遅く、真っ暗ではないけれど薄暗いから自然と怖い感じになる。魔物は海の魔物と火山の魔物が両方居るから変な感じ。迷宮だから変な感じなのは仕方がないけれど。

 目的の火山に向かっていると、デスちゃんが何か思い付いたように私に笑い掛けた。


『ママ、良い事思い付いた』

「なになにー? どんなことー?」


『一緒に魔法陣作るの。魔法というか、神気陣?』

「神気陣? 神気で陣を作るの?」


『ママの、召喚陣も、神気陣だよ』

「ほえー。デスちゃんって物知りね。骨龍が出たらやってみよっか」


 火山に到着すると、地響きのような唸り声と共に炎を纏った骨の龍が現れた。海の中でも消えない炎は見ていて幻想的で、周りの海がポコポコと沸騰しているようにも見えた。

 デスちゃんが骨龍に向かって手を伸ばし、私にやるよというように笑い掛けた。

 私も一緒に手を伸ばして、神気を込めながらぐるーっと円を描く。

 白い陣からはバチバチとエネルギーが破裂して今にも爆発しそうだ。


『描く陣は負なる者の否定、神聖なる力を十字に展開、円は重なりやがて球となり、深淵をも照らす慈愛の立体陣になる。お母様、力が浮かんだ?』

「……うん、凄いねこれ……神滅魔法・エーテルクロイツ」


 魔法名を呟いた瞬間、球体となった陣が上昇して弾けた。そして空が塗り変えられるように真っ白に変わり、光り輝く雪のようなものが降り注いだ。

 それが骨龍に触れると、パシュンッ! と巨大な十字の柱が骨龍を貫いた。

 パシュンッ! 他の場所も十字の柱が上がり、パシュンッ! パシュンッ! パシュンッ! と至る所で柱が上がった。上の方に行って見下ろしてみると、まるで光の墓標だ。あれ? 他の火山もパシュンってなったな。そんなに広範囲なの? もう白い空は二層全部を覆っているのではないか?


『ふふふ、ママの力だよ』

「……魔法陣四つ合成より凄いよね。でもこれ、デスちゃんがサポートしてくれないと神気陣が爆発しちゃうよ」


『私、ママと居るから。みんなは妹達に、任せる』

「ほんとっ、一緒に居られるの? やったぁっ! ぁっ……でもさ、どうして? マリンさんに何か言われた?」


『……ママ、ちゃんと力を使わないと駄目なの。最近、魔物と戦ってない、でしょ?』

「まぁ……ヴァルヒートと戦ってから訓練しかしていないね。私、力を使わなかったらどうなるの?」


 デスちゃんは下を向いて、もじもじしていた。こういう時は、隠し事があるのだが……この際聞いておきたい。マリンさんも私を観察するように見てくるし、死ぬ覚悟はあるというかあっちゃ駄目なのだが、死んでも女神として幽霊生活になるだけなのはわかっているのだ。

 だから聞きたい。聞かせておくれー。隠し事したら泣くぞー。

 プイッとされたので、回り込んでジーッと見詰めた。

 ジー……

 じー……

 じぃぃぃぃぃぃぃぃ……デスちゃんの目を見ていると、神眼が発動していた。

 デスちゃんを神眼で視るのは初めてというか……魔神? デス・ネイシア……? ん? 魔神?

 少し混乱していると、観念したのか話してくれた。


『……ママが死んだら、世界が滅ぶの。これだけしか、言えない』

「……そう。私が死んだら異界の天使が復活するのね」


『……』

「わかっているよ。私が女神化したのは天使の影響で、死んだら私の力が天使に行くのでしょ? 『絶対大丈夫』の術は異界の天使からエネルギーを吸収していたってのが私の推測」


『……ママ、死なせたくないの。大好きだから』

「ありがと。私は死なないよ。絶対に」


 未来の私は死んでいる。ルクナ記念館を見てしまったから。

 でも、記念館があるのなら世界は滅びていない。きっと死ぬ前に分離出来たのだろう。だから分離させる事が世界の安全に繋がる……でもそうなったら私は力を失うのかもしれない。そうか、力を失ったら死ぬかもな……死んでもおかしくないくらい無理していたのだから。


『……ママ、視た?』

「ん? うん、視えた。デス・ネイシアって本名を初めて知ってショックを受けている」


『えへ、バレちゃった。私、昔は絶望の魔神と呼ばれていたの。魂が砂漠で彷徨っていたところをお母様が捕まえてくれて、今の私がある……ずっとそのお礼を言いたくて、でも嫌われたくなくて……』

「もぅ……嫌いになんてなる訳ないじゃない。デスちゃんは私の娘なんだから」


 よしよし……娘と言ったがデスちゃんの方が遥かに年上だったという事に動揺はしている。まぁでも魔神と告白してくれた上で私を母と呼ぶのだから、私が大好きだという事は確かだ。それで充分よ。

 だからデスちゃんは予想よりもオーバースペックになったのね。


『ありがと……大好き』

「私も大好きだよっ。ねぇねぇ昔の姿ってどんな姿だったの?」


『ん……こんな感じ』

 デスちゃんが魔法陣を出して、その上にすげー強そうな人が現れた。長い髪に角が生えていて、ドラゴンみたいな翼に猛禽類のような脚、そして吸い込まれるような綺麗な目に整い過ぎた顔……超美人やん。


「格好良い……デスちゃん、めっちゃ格好良いっ!」

『あ、ありがと。そう言われると恥ずかしい……でもこの身体の方が好きよ。可愛いし、綺麗な服も沢山着られる』


「ふふふー。照れるデスちゃんも可愛い。魔神かぁ……格好良いなぁ……」

『お母様は可愛い女神様ね』


 二人で笑い合って、エーテルクロイツが発動した場所で魔石を回収していった。

 色々デスちゃんの事がわかったのだが、普段喋り方がぎこちないのは人形の滑舌だからで、普通に喋るのはエネルギーを使うらしい。ならば滑舌を改善すれば普段から普通に喋ってくれるという事だ。そこは人の口や喉を真似て作ってみよう。


 回収も終わり、休憩所に戻ってみるとセイランとライズは一緒に寝ていた。

 ふむ、可愛い寝顔だな。つんつん。

 起きるまでデスちゃんの調整でもしますかね。魔神と聞いたらもっと本気でデスちゃんを強化したくなったよ。



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