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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
ノースギア学院編

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319/363

歴史が変わらないかビクビクしているが、今更だなぁと思う今日この頃

 

「……うそ……本当に……ラーポート」

「流石ライズだねぇ。一瞬で温泉旅行だもん」

「わぁー、ここ景色良いねー」

「ここ、ルクナと来たかったのよね。前にグニアと来たわね」

「はいっ、海鮮最高でしたっ!」


 へたり込んでいるセイランママを尻目に、海沿いの街に到着した。

 ほえー、すげぇー! 流石はオレイドス領だよなぁ。温暖な気候に荒れていない青い海……マリンさんのプライベートビーチには行けるが限られた人しか行けないし、ここなら気軽に集まれる。ヒナタの過ごしたエンテの町にも土地を買う予定だが、サーレス領なので気が引けるのよ。でも温泉の土地が欲しいとなったらオレイドス領が都合が良い。


「せ、セイラン? これ、どういう事?」

「うん? 彼女の転移魔法よ」


「てっ、転移魔法……この子何者なのっ!?」

「何者って、えっ? 言って良いの? 聖女ライザよ」


「はぁ!? 生きている訳ないでしょっ!」

「遊びに来てくれたのよ、過去から。ライズ、何か証明出来るものはある?」

「手ぶらで来たんで無いです。別に信じてもらわなくても良いのでは?」


「それもそうね。お母様、土地はここから近い?」

「…………えぇ、せっかくだから歩いて行きましょう」


 過去から時間を遡って来られるなんて普通はあり得ない。これは当然常識で、そんな魔法は道具は存在しない。ただ女神ルナという例外を除いて……うん、ますます私がどんなにヤバい存在かわかるような気がする。私の仲間はあんまり気にしないけれど、大人は違うだろうな。現にセイランママは相当悩んでいると思う。聖女ライザが本当に本人ならばえらいこっちゃだし、報告しようにも娘の友達だから報告したら確実に娘に嫌われる。

 セイランに悪い女ねと言われたが、セイランには敵わない……っ、心を読んで足踏まないでっ!


「ラーポートは温泉や水産資源が主な産業で、伝統工芸品も多くあるの。これパンフレットね」

「へぇー、海鮮食べたーい……ん? えっ、今はだめですよ。後で……はい」


「どうしたの?」

「……私の海鮮食べたいに嫉妬した海の守り神様がこっちに来ようとしていたから断ったの。海が近いと私の声が聞こえるみたい」


「よくわからないけれど、大物なのは間違いないわね。人魚?」

「いんや。今度紹介するよ」


 マリンさんが乱入したら大事で済まないのよ。多分わざと来ようとしたな……暇なのか良い作品が出来たから自慢したいかだが……なんか、海に人魚らしき人影が見えるのは気のせいか。気のせいだと思っておこう。

 私は何も見ていない。

 ラーポートは商業エリアと一般エリアと高級エリアに分かれていて、目的地は高級エリア。

 セイランママはしばらく無言で歩いていたが、端にある大きな家の前に立ちため息混じりに家の紹介を始めた。

 南国の木が生えていて、いかにも別荘という造りだ。


「…………ここよ。オレイドス家が管理している家で、誰も住んでいないわ。専用の砂浜があって温泉も引いてあるから、条件に合うと思うのよ」

「凄いですねぇ。中に入ってみても良いですか?」


「……えぇ。開けるわね」

 家の中に入ってみると、吹き抜けの中庭があって思ったよりも涼しい。明るいし、部屋も多いからパーティーも出来そう。

 お風呂を見せてもらうと、海を眺められる造りになっていて開放的……隣の家は離れているので見られないし、設備もしっかりしている。結構気に入ったわ。


「良い家ですねー。幾らですか?」

「いや、プレゼントするわ。貴女へのお礼はこの家じゃ足りないくらいだし」


「いや流石に貰い過ぎだと思いますが……」

「本当に感謝しているの。セイランがここまで広い繋がりを持てたのは貴女のお蔭……むしろこれぐらいしか出来ないから、本当に悔しいの」


 セイランママなりに娘を想っているのは凄く伝わったが、買わせてくれ。セイランの繋がりはこの家よりも何倍も価値があるのはわかるし、このまま行けば次期当主になりそうよね……三国女王になれば女性当主の方が有利になりそうだし……いや買わせてくれ。

 セイランを見ると肩を竦めるだけなので、貰っておけという事か……うーん。まぁここで引いておかないと大変だからもらうか……


「わかりました。お受けします。お風呂だけ広くしたいので改造しても良いですか?」

「えぇ。自由に使って。はぁ……受け取ってもらえて良かった」


「こんな良い別荘を戴けるなんて感動ですよ。あっ、付き合いもあるのでこれは公表しても良いですよ」

「えっ、良いの? ありがとうっ」


「はい。私もノースギアで公表するつもりなので……ふっふっふ」

 贈り物を公表するという事は、深い繋がりがある証明でもあるし他の牽制にもなる。ルクナ・レド・ノースマキナはオレイドス家と良い関係を築いていますというのは癪だが仕方がない。

 サーレスよりはマシだからね……いや、オレイドスの方が……うーむ。


 因みに手続き等はやってくれるらしいので、直ぐにでも使っていいってよ。

 やったぜっ!

 ……マリンさんが遊びに来たいと言っている気がする。そしてそのせいで海に人魚らしき人影が見えたので別荘に結界を張っておこう。

 まじで強固にしておかないと嫉妬した人魚に家を壊されるかもしれない。


 結界を張り終わってオレイドス家に帰ってきた。

 セイランママは初めての転移で少し酔ったみたいで、挨拶を済ませると家に入っていった。


「ルクナ、受け取ってくれてありがとね。お母様はずっとルクナの事で悩んでいたみたいで、見ていてウザかったの」

「まぁ仕方がないよねー……でさ、本当に良いの? あんな良い家」


「良いのよ。オレイドス家が保有する家は30を超えるから、一軒くらいどうって事ないわ」

「金持ちね。じゃあ今度あそこでパーティーするかぁ……あそこなら帝国組も呼べるから、まぁ、うん」


「……そろそろイシュラの事許してあげたら? 相当落ち込んでいるわよ」

「ぶぅー、私の心の傷が癒えないの。めっちゃ腹立つもん」


 思い出したら腹立ってきたわ。

 私の口がひん曲がっているのを見て、セイランはため息を一つ。グニアは苦笑してライズに耳打ちしていた。

 会いたくないのよねぇー。

 会いたくないなぁー。

 でも会わないと話せないしなぁー。

 でもでも私から会いに行くのは絶対やだ。

 そうだよ、なんで私が会いに行かなきゃいけないのさ。私に許してもらいたいなら来いよ。そうだそうだっ! 私は何もしないっ!


「ふふっ、頑固者ね」

「ふーんだ。一人で頑張ったのに、頑張ったのにっ! あっ、そうだ学院行かなきゃ。最近サボっている気がするのよ」


「じゃあしばらくルクナの家で過ごすわ。フランとミレイの様子も見たいし、ルクナママに会いたいし……グニアはどうする?」

「明日の撮影会は参加しますが、用事が多いので私の事はお構いなくっ」


「まっ、グニアはどうせルクナと過去に行くんでしょ。今日は親と過ごすから明日迎えに来てちょうだい」

「ほいほい。じゃあ明日は昼からねー」


 ここで解散っ。という事でライズと共に私の転移魔法でノースギアの我が家へゴーッ!

 私の部屋に転移してくると、まず最初に部屋のチェック……最近盗聴器は無いのでウォーエルはご機嫌なのだろう。

 とりあえずライズにあずきジャージを渡すと、素直に着てくれた。私もあずきジャージを着てベッドにごろん。


「ルクナってなんでも似合うよね」

「可愛いからねっ。ライズも似合っているよっ」


「いやぁ……可愛いなぁ……」

「ジャージって脱がしやすいよねー。おいでっ」


 まぁ、少しイチャイチャしているとゲートからデスちゃんが顔を出した。

 おいでおいですると、ふんわり浮いてライズの膝に座った。久し振りだから嬉しいのね。


『ライズ、おひさ』

「わぁ……千年前よりも可愛いくなってるっ! やっぱ知ってる人に会うと安心するよ」


『ふふ、ありがと。いつまで、居るの?』

「とりあえず1週間くらいかな。また来れたら来るし」


『ママ、モニカ連れてきて、良い?』

「もちろんっ。あっ、やっぱり挨拶に行くよ。ライズ、ノーザン公爵家に行くけれど来る? 私の大ファンだから悪い人じゃないよ」

「良いよ。ルクナと仲良い人なら誰でも大歓迎だし」


 デスちゃんがゲートに戻って行ったので、部屋を出て工房を確認……マリンさんは居なかったのでエントランスの呼び鈴を鳴らした。

 直ぐに待機部屋からフランさんが出てきて綺麗な一礼をした後、抱っこされた。


「ルクたん様っ、おかえりなさいませっ!」

「フランさんただいまー。紹介するねー友達のライズだよ。1週間くらい滞在するからよろしくねっ」

「お世話になりますっ。ライズ・エリスタですっ」


「ご要望があればなんなりとっ。エリスタってルクたん様の親戚?」

「うん、聖女ライザよ。過去から連れて来たの」


「わぁっ! ライザ様っ! お会い出来て光栄ですっ!」

「ど、どうも……流石ルクナのメイドというか、順応性高いのね」

「うちのメイドは私が女神だって知っているからなんでも言って良いよ」


「ミレイとサエはマリン様とお買い物に出掛けたので、夕方には戻るかと」

「ほいほい。じゃあ夕方までライズと出掛けて来るよ。ウォルママも呼ぶからみんなで晩御飯作ろうねっ」


 家主の私があまり家に居ないので、ご飯は事前連絡の申告制だ。何も言わない場合は自由なので、メイドの二人は外食に行ったりする。掃除も魔導具があるので楽だし、大変なのは庭の草取りくらいだ。


「神殿の皆さんにも聞いてから買い出しに行って来ますねっ。他に何かありますか?」

「あっ、明日からセイランも来るわ。1週間くらい居ると思う」


「やったぁっ! セイランお嬢様の好きなものも買って来ますねっ!」

「ほんとセイラン好きよね。夜食のお菓子もよろぴこ。あっ、ちょっと待っておかぁさんから連絡。はいはい」

『ルクナ、夕方に行くわね。ライズの歓迎会だからわたくしも料理をするわ』


「はーい。じゃあ夕方に集合ね。じゃあ行ってきまーす」

「行ってらっしゃいませっ」


 よし、とりあえず公爵家に行くか。

 外に出ると、ジャージで出掛けるのと聞かれたが道連れなので笑顔で返しておいた。

 今日はご機嫌なのでぐるぐる眼鏡はせずに、ライズと手を繋いで歩いていると道行く人がお祈りポーズ……やっぱちょっと恥ずい。


「……氷神巫女の娘ってだけでこんな感じなのよ」

「姫より凄いって聞いてたけど、ほんとに女神扱いだね」


「まぁ、そのせいでノースギアでは中々友達出来ないのよね」

「なんかわかるかも。私は帝国で友達出来なかったし……いやヴァン王国でもミナとリアちゃんくらいだったか……」


「ふふっ、そういえばライズって学院で教室に入ったら静かになってたよね。モロ私もそうなのよ」

「あははっ、想像出来るっ! ん? わぁっ、綺麗なお城だねー!」


「白銀城はノースギアのシンボルだからねっ、一応受付すれば入れるよ」

「そうなの? 用事終わったら行こっ」


 観光案内をしながら、ノーザン公爵家を目指していると……おや? 前方で長男のレグセントが女子達を引き連れて歩いているな。私達の前を歩いているから気が付いてはいない。

 ゆっくり歩きやがって……邪魔だから帰るなら早く帰れや。


「ライズ、あの女子達は当番制で上位貴族の野郎を引き立てる為に嫌々やっているんだって」

「えぇ……当番? ノースギアの女子って大変なんだね」


「そうなのよ。やらないと立場が危うくなるし仲間外れにされる。私の友達は私がくそ野郎に無理してキャーキャーしないでってお願いしたら仲間外れにされちゃってさ……でも私の友達だとわかったら手のひら返されたり大変みたいだよ」

「ほえぇ……女ってどこも怖いよね。あの笑顔からは想像出来ないよ」


「よくみんな切り換えられると思うよ。まぁ良いや、気配消しながら追い越そう」


 モブモードの早歩きでレグセント集団を追い越し、公爵家に到着した。

 門番の強面のおっさんがライズを見て首を傾げていた。あっ、気配消したままだったわ。


「こんにちわビルさんっ」

「──ぉわっ! ルクナせんせっ! 気配消すのうま過ぎ……びっくりしたぁ。お友達かい?」


「はいっ。紹介しようと思って。モニカちゃん居ます?」

「あぁお嬢様は帰られているよ。旦那様には会っていく?」


「そうですねー。暇だったらで良いです」

「はいよっ。ではどうぞ」


 公爵家に入ると、階段からツインテールの美少女が駆け降りてきていた。

 ふむ、今日も可愛いのう。


「せんせっ! 来てくれて嬉しいっ!」

「よーしよーし。今日はお友達を連れて来たのだ」


「お友達? 凄い人?」

「うん。凄い人。お友達もお部屋行って良い?」


「うんっ、せんせの友達なら良いよっ! クソにぃには絶対嫌だけどっ!」

「……」

「お邪魔しまーす。あっ、こんにちは公爵様っ」

「ルクナせんせ……やっと会えたっ! ねぇねぇ聞いてサーレスがウザくてさぁっ! 王様が先にルクナせんせと会食しないと無理って言ってもウザくてさぁっ! 家まで来るんだよっ!? もぅほんとやだぁっ!」


「そう、でしたか。いやぁ大変ですねぇはははー。では失礼します」

「えぇ……見捨てるの? ルクナせんせ……見捨てないでぇ……お願いっ、俺頑張るからさぁっ! あいつねちっこくて嫌なんだよぉっっ!」

「お父様ウザい」


 半泣きのオールバックのイカついおっさんなんて逆に怖いよっ。ほら娘は当然だが今帰って来た息子も引いているぞ。

 ……ん? 王が会食しないとサーレスとの会食は出来ないって事は、王はわざと会食に来ないって事?

 じゃあ私がぼっちで城でご飯食べているのはわざとぼっちで食べさせているの? えっ、酷くね?

 いやわかるよ、サーレスに思うところがあるから私を遠ざけたいというジジ心があるのだろうってさ。

 でもよ、寂しいんだよ。

 まじで寂しいんだよ。しかもスイさんと二人きりって気まずいんだよ。

 これは抗議だ。後で行こう。むしろパーティーに参加させてやるっ。



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