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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
ノースギア学院編

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お友達が来たらしいです

 

 久し振りに寝た。

 みんなもわかっているようで起こしには来ず、ずーっと寝ていた。

 どこでもトイレのせいで一歩もベッドから出ず、喉が乾いたら指を口に突っ込んで名水百選を発動するから身体を起こす事も無い。

 少し意識が浮上した時に誰かが様子を見に来ているのはわかったが、寝るのが優先なので寝続けた。

 何度寝したのかわからないが、このふわっとした感覚が気持ち良すぎて動けない。


 ガチャっと誰かが入ってきた。

 デスちゃんが私の部屋にゲートを設置しているのでそのまま眠る。

 次はリリが来て私の身体を拭いて、着替えをしてくれたのでそのまま眠る。

 その次はウォーエルが来てほっぺにチューして帰っていったのでそのまま眠る。


 今度はゲートからデスちゃんが出てきて、調整しているので試運転中なのだろう。

 喋るのも面倒なので目だけ開けてデスちゃんを観察していると、他に何かを設置していた。

 あー呪具ね。ニヤニヤしちゃって、私の部屋自体を呪具にするつもりかしら。でも誰も入れなくなるからダメよ。


『ママ、だめ?』

 コクンとしたらデスちゃんは呪具は回収して、代わりに癒しグッズを置いていった。

 私をこのまま眠り女神にするつもりだなっ。

 その策略に乗ってやろうっ!

 おやすみー。


 ガチャっと扉が開いたので、少し意識が浮上……モニカちゃんがやってきて椅子を私の前に置いて座り、ベッドに身体を乗せながら私の顔を眺め始めた。

 私も薄目でモニカちゃんの顔を眺めて数分……徐々に近付いていて、吐息が掛かるところまで来ていた。

 私の鼻の下が吐息で潤いまくって拭いたいが動きたくない。

 モニカちゃんに拭いてもらおうとアゴを少し上げると、モニカちゃんがパァッと笑って唇を重ねた。

 いやチューじゃない。この過剰潤いを拭いてくれ。

 でも美少女のチューでまた眠りに付くのも良いものだ。

 おやすみー。


 おや、もう夜か。睡眠というものは一日を早くさせるね。

 でもまだ起きない。惰眠とは、丸一日では惰眠とは言わない。最低一週間は必要だ。

 何か予定があったような気がするが、一年も経てば予定なんて忘れる。だから寝ていて良いのだ。

 ルクナリンクはサイレントモードなので、アズ母の連絡が来ているだろうが睡眠優先だ。きっと愛するリリちゅわんが連絡しているだろう。


 なんか夢は見ている気がするが、意識が浮上した頃には忘れているを繰り返していた。

 そういえば幽霊で腕時計を作るのむずかったから、ここで作って召喚すれば良いのではないかと思っているので後で作ろう。

 そんな事を考えていると扉が開いてリリが入ってきて、ベッドに入ってきたので一生懸命身体を動かしてリリの胸に顔を埋めた。

 お風呂上がりのいい匂い……くんかくんか。


「ルクナ、明日も寝るの?」

 コクンとすると、私の頭を撫でて頭皮の匂いを嗅がれた。

 臭くない? ずっと匂いを嗅いでいるけれど、臭くない?

 私はリリの鎖骨をはむはむするか……はむはむ。

 はむはむ、くんくん、はむはむ、くんくん。


「……べるちゅわん、視て良いよ」

「ほんと? じゃあ視るね」


 リリと至近距離で目を合わせて、じーっ……チューしながらで良いかな。

 ちゅー……


「……ルクナ」

「ん?」


「後半ライズにチューしすぎじゃない?」

「そう? 身体は私じゃないよ?」


「アークイリア様ってアルセイア様のご先祖様でしょ? 憑依して誘惑しちゃだめじゃない」

「だってぇ、寂しかったんだもん。もちろんべるちゅわんとチューする方が良いよ」


 ……あら、リリが私の顔を抑えて積極的なチューをした。

 私のパジャマを脱がして、リリもパジャマを脱いだ……


「チューするなとは言わないけれど、この先は私がするからだめだからね」

「えへへ、しないよ。べるちゅわんとするもーん」


 嫉妬されると激しく嬉しいが、嫉妬するのは嫌なのよね。

 性格悪いと言われても直しようがないのだが、ギリギリを攻めても……いや睨まないでっ。

 ……

 ……

 ……

 結局惰眠を貪る事は出来なかった。

 二日しか寝ていないからただの睡眠だね。

 本当は惰眠まで行こうと思ったが、神殿巫女の話では到着したらしい。

 イシュラ、イシュラ姉、ユウコにローザ、そしてセイラン……このまま寝ていたら怖くて堪らないから起きてしまった。


 起きたからって会いに行く訳ではないが、いつでも逃げられる準備は必要だ。

 相手もそれをわかっているから迂闊には会いに来ない。

 私を誘き寄せるエサを撒くはずだ。

 いや会いに行かないといけないのだが、急に予定が決まると行きたくない病が発病するのだ。

 そんな事を考えているとモニカちゃんが入って来た。デスちゃんを肩車しているので、デスちゃんがツインテールの根元を持ってモニカちゃんを操縦しているように見えてしまう。


「せんせーーー! 起きたって聞いて来ちゃったーー!」

「モニカちゃんおはよ。デスちゃんもおはよ」

『ママ、見て』


「あーっ、ジャージだぁー! お揃いだねっ!」

『うふふ、お揃い』

「良いなぁ……私もジャージが良い……」


「あぁ着る? 去年着ていた私のお下がりだけれど」

「着るぅぅぅー!」


 私とモニカちゃんはあずきジャージを装備し、デスちゃんはあずきと双璧をなすと云われる深みどりジャージ。

 リリとアルセイアはピンクを持っていて、ウォーエルには一応あずきと黒ジャージをプレゼントしているが着ている姿を見た事は無い。


「じゃあ……行くかぁ……はぁ……ん?」

 ルクナリンクに連絡が来たので出てみると、アズ母からの朝の連絡だった。


『おはよ。ルクナ、昨日は何していたの?』

「おはよー、寝ていたよ」


『まさか一日中寝ていないわよね?』

「もっちろん。今日は何かあった?」


『えぇ、みんな来たから城に遊びに来たら?』

「あー、そうだね。今から行くよ。後でねー」


 なんか色々忘れているが、行けば思い出すよね。

 ジャージのまま外に出て、大きく伸びをした。

 はぁー、幽霊時代はこんな事出来なかったから気持ち良い……はぁ、もう一度寝たい。

 ……サンゴさんが私の腕を組んでおっぱいを押し付けながら話し掛けてきた。


「姫様、ウォル様は氷神結界に付きっきりになるのでお友達には会えないそうです」

「あー迷宮に行っちゃったもんね。でも元々会いたくないって言ってなかった?」


「馴れ合うつもりはないので姫の母としては会わないみたいですね。パーティーには顔を出せるかもと言っていました」

「帝国嫌いだもんね。パーティーって?」


「一年の旅で記憶が曖昧でしたね。今週末に中央公園で大規模なパーティーがあります。四年に一度開かれる各国のゲストを招いてノースギアが持て成すパーティーですね」

「あぁ思い出した、今年はノースギアの番なんだっけか……あっ、みんなのアクセサリーは私の担当だった気がする……」


 とりあえず行くかぁ……

 モニカちゃんと手を繋いで……えっ、なに? この格好で行くの? みたいな顔しているけれど、行くよ。友達に会うだけだし、戦闘になったらお気にの服は痛むもん。

 闘うの? と怯えた顔をしたけれど、ふふっと笑って誤魔化した。

 大丈夫、君にはデスちゃんがいるではないか。


『ママ、デスの身体、戦闘用、して』

「戦闘用? んー……そうか、その身体も千年経ったから良い素材でやった方が……あっ、良いよ良いよ。良い考えがあるから任せて」


『ありがと。昔、壊れたの』

「デスちゃん、変わっちゃうの?」

「元々寄せ集めの素材だったのよ。今なら最高の素材と生身の手で作れる……ふっふっふ……期待していて」


 楽しみが出来た。

 素材に溢れているから、秘蔵コレクションから使おう。元々強いのだが、更に凶悪な呪怨人形にしよう……今が魔王級なので、女神の力を込めて女神級にしてあげたい。

 即死魔法を覚えさせて死の女神デスちゃんとか良いわね。

 デスちゃんは昔に何か強い魔物と戦ったのか、結構ひび割れがあったから直したかったし……


「せんせ、顔隠した方が良いかも」

「あーそうだねー。ぐるぐる眼鏡でもするかー」


 久し振りのぐるぐる眼鏡を着用し、真王都に到着するとなにやら人集りがあったが気にせずに城へ向かう。

 ……人集りがこっちに来た。

 ……なにやらキラキラが見えるので、知り合いかも。でもここで喋りたくないので城の前に行くと……仁王立ちで立っているミナカが居た。いやセイランか……呼ぶの間違えたら殴られそう。

 髪型以外一緒だから本当にやばいな……泣きそう。


「待っていたわっ! ルクナ・レド・ノースマキナっ!」

「大声で呼ばないでよ。おはようセイラン・オレイドス」


「貴女にフルネームで呼ばれると昔を思い出すからやめなさい」

「わがままね。みんなは?」


「そこのキラキラがイシュラで、ローザ様と護衛のユウコとサラはアズリーナ王女と居るわ。ルクナが来ると聞いたからここで待っていたけれど、イシュラが囲まれたからあっちに行ってもらったの」

「ふーん。セイラン、私の愛弟子モニカちゃんだよ」

「北のノーザン公爵家のモニカ・レド・ノーザンですっ!」


 セイランがモニカちゃんを見て、腕を組んで観察し始めた。挨拶しなさいよ。

 視線が下にあるから、抱っこされているデスちゃんを見ている……そういえばミナカの記憶の夢を見ている筈だが、そこにはデスちゃんは居たのかな?


「……ヴァン王国オレイドス公爵家、セイラン・オレイドスよ。その人形は?」

「あっ、デスちゃんですっ。私のお友達なんですっ!」

『……』


 デスちゃんはただの人形の振りをしている……ミナカと同じ顔だが喋る気はなさそう。セイランの事は千年前に言ってあるし、私の人生ほぼ全てを話してある。私を一番知っているのはデスちゃんなのだ。

 だから私もデスちゃんの考えている事はわかるのよね。もうミナカは居ないから寂しいんだと思う。


「……そう。兄弟は居る?」

「はいっ。兄が二人いますっ!」


「クソ野郎?」

「はいっ! クソ野郎ですっ!」


「私達、気が合いそうね。じゃあローザ様のところに行くわよ」

「ねぇねぇセイラーン」


「なによジャージ姫?」

「ぎゅーしよ」


 セイランを抱き締めて、ほっぺすりすり。

 恥ずかしいからやめなさいと言われたが、私はセイランを抱き締める必要があるのだよ。

 見せてあげたかったんだ。デスちゃんに。ミナカじゃないけれど、ミナカと抱き合う私を。

『……ママ、ありがと』

 微かに聞こえた声は、千年越しの願いが叶ったような切ない声で……私の方が泣けてくる。


「……どうしたの? また嫌な事あった?」

「……ううん、嬉しい事」


「そう。私は役に立った?」

「うん。ありがと。行こっか」


 セイランと手を繋いで行こうとすると、人集りからイシュラが出てきた。

 私に向かってウインクをしてから、振り返って女子達に手を振ってキャーキャー言われていて……来るなら早く来い。


「お待たせ。ルクナ、会いたかったよ」

「やっほーイシュラ、ファンサは手短にね」


「ごめんごめん。そちらのレディがモニカ嬢かい?」

「キラキラ撒くなや。モニカちゃん、イシュラだよ」

「ノーザン公爵家のモニカ・ノーザンです……よろしくです」


 モニカちゃんがビクビクしていると……あっ、近くに来たキラキラがポトッと落ちた。デスちゃんかな?

 それを見ていたイシュラがデスちゃんに注目した。

 私を見て説明して欲しそうにしているが、デスちゃんが喋らないのなら何も言わない。


「じゃっ、行こっか。アズリーナ王女のところに」


 よーし行こう。

 ……にしても人凄えな。


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