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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
ノースギア編

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自分の遺影とかウケる

 

 ……調整に調整を重ねて千年後に召喚してみた。

 ……結果を先に言っておこう。

 ……戻れた。

 ……戻れたのだが、年代を少し間違えた。

 ……一年以上幽霊やっていると何年後だっけなーってうろ覚え状態で、十年くらいズレたのよ。


 そのせいでノースギアの屋敷は大聖女ルクナ記念館なるものになっていて、私の遺影が飾られていた。

 思わず笑っちゃったよ。

 見学したいが戻れなくなったら怖いので、十年くらい戻る計算で召喚っ!

 にしてもこの魔法陣はどういう原理だろうね。神気さえあれば時間旅行が出来るぞ。


 という事で私がウォーエル達と迷宮に籠った日にやって来た。

 寝た時間に戻ったら、確か私は転移の罠に嵌まってどこに居るかわからないので少し戻って私に付いていく事にしたのだ。


「……よーしよーし」


 私がモニカちゃんを愛でている光景を客観的に見ているが、私の笑い方がちょっとキモいな。

 ふむ、私の事は見えないみたいだからピッタリ憑いていこう。

 にしても変な感じねぇ……

 ……

 ……喋りたい。

 みんな楽しく話しているのに、見ているだけとか辛い。

 でもアピールしたら自分に殺されそう。

 私はそういうの容赦無いから。


 ……

 ……思い出してきた。

 ここら辺で……幼女妖精が罠の上に立って……

「「「あっ……」」」

「えっ……」

 よし、一緒に転移……出来たっ!

 よっしゃーっ!

 後は階段でルクナちゃんがふて寝するのを待つだけ。

 ……

 ……確か数時間歩いていたよなぁ。

 ……待ちぼうけ。

 ……

 ……

 ……あっ来た。


「ふぁぁ……休憩しよ」


 ……

 ……寝るまで待たなきゃな。

 ……

 ……寝た、かな?

 ──ガクン。

 首が心配になるくらい凄い角度になったのだが……

 ……憑依のやり方で身体に重なってみた。


「あっ、あー、あー、あー……やった……戻れた……やったぞぉぉぉぉぉぉ!」


 喜びを噛み締めよう。

 やっと戻りました。

 しかも幽霊時代に会得した能力付きで。

 あれ? でもなんか不安定ね。

 ……うわっ、気を抜いたら幽霊出ちゃうわ。

 まじか……もしかして千年前の月に行かないと完全に戻れないってこと?

 まぁアズサも元の世界に戻していないので結局は戻るのだがせめて迷宮から出たい。


 ということで一人部屋カモンッ!

 よしよし、扉が現れて中に入ると黒光りした宝箱がそのまま残っていた。

 あーこれ便利。千年も保存出来ているなんて素敵よ。

 あっ、私が千年後に亜空間ごと移動していたら千年保存している訳ではないか……よくわからんが便利ってことね。

 ということはだよ……夢じゃなくて現実ということじゃんっ!

 飛び跳ねておこう。

 ぴょんぴょん。


 この中で使えそうなのは収納指輪に入れるとして……一番使えるのは一撃必殺の神透器エーテルバスターかな。

 これ実は水晶みたいな宝玉……というか物体で、形を変えて身につけられるのでブレスレットの形にしてある。女神の私しか使えない神器というやつだ。

 そう、今の私は上位人間から女神になっているのだっ。


 これで死ぬ未来からおさらばしたいぜっ。

 まぁ女神でも普通に死ぬので先ずは迷宮から出ないとなぁ……体感一年以上振りの身体が固く感じるし。

 溜まっていた奥義書を消費してっと。

 よしっ、攻略しよう。

 確か無限に続く廊下だった筈なので、足が付かないように結界の上を歩いていくと……やった、曲がり角に到達した。

 ここは床を歩かなきゃ良いのね。一度戻ってウォーエル達が来た用に書き置きを残して、結界の上を歩く事十分ほど……次の階段に着いた。

 呆気ない感じが切ないわね。


 階段を降りていくと扉があって、中は休憩室になっていた。

 ここで待つか……一応次の扉を開けてみると……おぉ……豪華な舞台? ダンスホール? の奥、魔物っぽいのが見えた。

 あれがダイヤロストかな?

 大きな岩にしか見えない。

 よしっ! ウォーエル達が来るまで休憩っ! 一日経って来なかったら引き返して迎えに行こう。


 ところで、ライズの禁術書はいつ手に入れるのだろう……この世界の理とは何か違うので、もしかしたら私が召喚で手に入れるのかも知れない。

 うーん……どこまでみんなに話すかなぁ。

 うーん……言わない方が良いのかなぁ……ザックリは言うか。

 うーん……もしこのまま召喚陣を使ったら生身のままライズに会えるってことかしらね……その内チューしに行くか。神気を結構使っちゃったし。

 うーん……お腹空いた……久し振りの空腹感は生きているって感じね。カップ麺にお湯を注いでおこう。

 うーん……ネタバレ感が凄いが十年後には死んでいるかもなんだよなぁ。

 うーん……解析されたら女神ってバレるのはどうしよう。

 うーん……デスちゃんは今も居るのかなぁ。

 うーん……ご飯でも食べるか。


 ずるずるっ。

 カップ麺うめぇ……うめぇよぉ……泣けてきた。

 ぁぁ……涙が止まらない。

 これで夢だったら絶望だよ……


 ──ガチャ。

「あら、やっと合流出来たわね……寂しかった?」

「ぉがぁ……さん……」


 ウォーエルを見た途端、飛び付いてわんわん泣いてしまった。

 泣くつもりは無かったのだが、カップ麺のせいだよ。

 いやぁ……抱き締められるって良いものだ。

 ……

 ……

 ……いやぁ泣いた泣いた。

 お蔭様でスッキリしましたよ。

 リリとモニカちゃんが少し疲れているみたいなので、休憩室で報告会をすることにした。


「真っ先に抱き付かれるのも嬉しいものね」

「なんか凄い寂しくてさぁ……私の話を聞いて欲しいのよ」


「もちろん聞くわよ。なにを話したい?」

「さっきまで夢、というか……魂だけあの時代に飛ばされたみたいなのよ。この迷宮の影響なのかはわからないけれど……」


「……会ったの?」

「うん。ちっちゃい頃だから、おかぁさんが三十歳くらいの時かな? 裏技で戻って来たけれど、正規の方法で戻らないと完全には戻れないみたい」


 とりあえずウォーエルにだけ分かれば良いかな。

 リリは記憶を視れば良いし、モニカちゃんは理解できないと思う。因みにステラちゃんは道中のボスが範囲攻撃をしてきたせいでサヨナラしたらしい。今頃妖精国で泣いているだろう。

 かるーく説明したけれど、わかってくれたかしら。


「また戻るのなら、当時のわたくしに会いに来て欲しいわね」

「歴史が変わるから会わない方が良いかな……そうだ、あの時代にデスちゃんっていう人形を作ったのだけれど、おかぁさんに会いに来なかった?」


「デス……魔王かと思ったから覚えているわ。氷神結界を無視して魔法を使うから、騎士団やレドが総動員で迎撃してしまったのよ」

「まぁ……当時もライズより強かったから仕方がないよね」


「凄く綺麗な人形だったからどうしても手元に置いておきたくて、その後にこっそりわたくしだけで会いに行って屋敷に匿ったのよ」

「ほえー、じゃあデスちゃん来ていたのか……今はどこに居るの?」


「二百年くらいは居たけれど、気が付いたら居なくなっていたわ。でもデスのゲートはそのままだったのよ」

「そっか……転移ゲートで旅をするのが趣味だから、どこかにいるのかもねー」


 デスちゃん……今どうしているのかな……

 でも先ずはここの迷宮攻略だ。

 私とウォーエルで挑むとして、リリとモニカちゃんは休憩室でお留守番だ。

 流石に守り切れないし……


「ルクナ、後で視せてね」

「ぅ、ぅん……怒らないでね」


「危ない事をしないのなら怒らないわ」

「だ、大丈夫だよっ。モニカちゃんも待っていてねっ」

「うんっ! 待ってるねっ!」


 リリにはベロチュー辺りで怒られそうだが、過去の事なのでねっ。

 ウォーエルが私の状態を確認しながらニヤニヤしている……女神がバレたような気がするが……


「ルクナ、かなり強くなったわね」

「うん。一年以上修行していたし、色々手に入れたの。これ着けて」


「あら、綺麗な赤い指輪ね。何の効果?」

「絶炎の指輪で炎無効だよ。戦いになったら炎撃ちまくるから」


「聖遺物じゃないの……」

「私は絶氷の指輪を着けて前線に出るから、おかぁさんは増幅魔法陣を撃ちまくって」


「わかったわ。装備の確認もしましょ」


 装備ね。

 使えそうな武器は天龍剣シャフェルと神殺の剣と神透器エーテルバスター。

 ウォーエルは魔法攻撃増大の指輪と腕輪型の……あれ? これ短距離転移の宝具だ。


「おかぁさん、これ凄いじゃん」

「ふふ、自慢の逸品よ。でもその腕輪には負けるわねぇ……あら? あらあらあら、神器? やっぱり神化していたのね」


「霊体の時にデスちゃんが眷属になったから、格が上がっちゃったのよ」

「だから少し良くなっていたのね。この分なら五年は安泰よ」


「ほんと? やったっ。じゃあ霊体で格を上げていけば本体の状態が良くなるのねっ!」


 二人で小踊りした後、防具を確認。

 メインの防具は魔陣武器で補うとして、戦闘用と書いた大きなジュエリーボックスを出してアクセサリーコレクションを見せた。


「呪われているわ」

「私が本気を出すと呪いが出るのよ。霊体は幸運の女神だから、呪いに変換されるのかな」


「そうね……あら、これは……ライズが持っていたペンダント……この顔って……」

「そういえばあげたなぁ……女神のペンダント。着けると魔力が回復していくの」


「これは誰と聞いても詳しく教えてくれなかった。まさか自分の娘だなんて……ふふふ、運命ねぇ……」

「これに呪いはないから着けて。また作るし」


 ウォーエルに着けてあげると、すごく喜んでくれた。私はライズがずっと着けていてくれた事が嬉しいよ。友達だって思ってくれていたんだって思える。

 はぁ……みんな、もうこの時代には居ないのが寂しいなぁ。

 ウォーエルの気持ちが、少しだけわかる……先にみんなが老いて死んでいくのを見てきたのだから。



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