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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
ノースギア編

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昔の帝国へ

 

「金貨はもったいなくない?」


 金を集めようとアズサに相談したのだが、金の塊は良いが金貨はだめって言われた。

 価値は一緒なのだがね。


『迷宮で見付ければ良いじゃん。金は見付けやすいでしょ?』

「でも北の大迷宮だと三層レベルだよね。移動がなぁ……」


『明日私の友達が来るから頼んでおくよ。転移魔法が使えるから帝国まで送ってもらえるし』

「えっ転移魔法とかほんとにあるんだぁ……それなら一回帝国に行って、ルクナの魔導具探すか」


『助かるよ……っと完成。エイシャさん呼んできて』

「ありがとー。おー……ジャージだから不安だったけど凄いね」


 アズサが帰って来たので化粧をしていた。

 次はエイシャなので呼んでもらってから……通訳が面倒なのでアズサに憑依して化粧しよう。


「じゃあ化粧するねー今はルクナなのでよろしく」

「よろしくお願いします。ルクナ様……お話出来る事を光栄に思います」


「はっはっはー崇めろーなんてねー。エイシャって良い匂いだね」

「ありがとうございます。香木は使用していますよ」


「なんか嗅いだ事あるのよねー。当てるから待ってね」

「はい……あの……近い……」


 くんくん。幽霊の時って匂いがわからないから敏感なのよね。

 くんくん……くんくん。香木なのはわかるが、精霊樹? いや違う、あっこれウォーエルが持っていた香木に似ている。


「わかった。カホウスの香木でしょ?」

「正解、です。あの……ルクナ様、少々、近いかと」


「ん? ごめんごめん。懐かしくてさ、つい」

「ルクナ様はエルフ族に詳しいですよね。知り合いが居るのですか?」


「まぁねー。でもエルメルンは行った事がないのよ。妖精国はよく行っていたけれど」

「妖精国にエルフは入れませんので、行った事はありません……どのような所ですか?」


「んー……取り入れる文化がぐっちゃぐちゃだから頭がバグる。でも技術は世界一だから凄い魔導具沢山あるよ」

「そうなのですね……妖精とエルフが仲良くなれる日は来るのでしょうか……」


「来ないよ。エルフが精霊と共に生きる限り、妖精は敵と見る。精霊と妖精は仲が悪いからね」

「……そうですか。精霊は世界の浄化をする為に誕生し、妖精は世界の声を届ける為に誕生したとありますが……私が学んだのは精霊は世界の救済をする為に生まれ、妖精は世界を混乱させる原生物と学びました」


 まぁそれは裏の世界から来た精霊がエルフに教えたのだろうね。

 私とイシュラで精霊の事を調べたのだが、裏の世界から来た精霊は眷属を増やし続け、元々居た精霊はどんどん少なくなっている。

 エルフィ・マクガレフの精霊王の内……闇の精霊王のチムニーちゃんは元々この世界の精霊だが、他の精霊王は裏の世界の眷属もしくは裏の世界から来た精霊だ。

 だからイシュラはエルフィ・マクガレフを警戒して、ほとんど会った事が無い。


 メティオちゃんにも話を聞いているし、この千年間で世界の情勢はそこまで変わっていない。

 でも、メティオちゃんからその情勢が変わる可能性があると聞いた。

 神位の魔王の出現……妖精国でも予言があったから、ほぼほぼ確実なんだよなぁ。

 そう考えると、世界の未来や情勢を知っている私は女神っぽいわね。


「はい、おしまい。憑依解除っと……やっぱルクナ凄いなぁ、エイシャ凄く綺麗」

「あぁ……化粧は祭事でしかしないので、なんだか気分が高揚しています」

『ふむ、さすがはエルフだねー。めっちゃ可愛い。アズサはまぁ綺麗なアズサだね』


「なんか失礼な事言った? まぁありがと。凄く嬉しい」

『どういたしましてー。じゃあ行ってらっしゃい』


「……ルクナも、あぁいや、行ってきます」

「ルクナ様、行って参ります」


 まっ、楽しんでおいで。

 私は月でも眺めるよ。

 ……

 ……

 あの月に行けば帰れるのかなぁ……?

 ライズに送ってもらう方が早いが、お別れを言うのは悲しいので言わないでおく。

 せっかく幽霊の身体なので、妖精国の陸の世界樹に登ってみようと思う。

 空の世界樹はどこかわからないし、海の世界樹はちょっと海の中に行くのが怖い。


 そういえば妖精は私の事が見えたりするのかしら?

 精霊は私の事が見えないのはわかっているけれど、まっ行ってみればわかるか。


 朝方になってアズサはふらふらと歩きながら戻ってきた。

 エイシャも同じく隣の部屋に帰っていったので、飲み明かしたのだろう。

 そのままベッドにダイブ……これは一日起きないだろうなー。

 仕方がないので着替えさせて布団を掛けて寝かせておこう。

 ……

 ……

 ……

 ……デスちゃんが居ないと寂しいぞ。

 新しい呪怨人形でも作るか? でもデスちゃんが嫉妬したら大変だ。国が滅ぶ。

 その気になれば私の大魔法並みの攻撃が出来るからなぁ……我ながらやり過ぎた。


 思考の海に沈んでいると、コンコンと部屋をノックする音が鳴ったので確認……あぁライズか。

 魔法の手で扉を開けて、手招きして部屋に入れてテーブルに座らせた。


『どしたの?』

「あーエイシャが酔い潰れてて……様子見に来たんだ。彼女がアズサ?」


『そうそう。ちきゅうから来たの。アズサの故郷って、ライズの前世と同じでしょ?』

「…………なんで知ってんの?」


『これでも一応女神だからそれくらいわかるよ』

「えっ……女神なの? 変な浮遊霊だと思ってた……」


 ライズは転生者ってやつだ。

 だから魔法の上達が早いし、発想がこの世界と違う。

 まぁ元々知っていたのだがね。

 前世のライズは有名人で……色々あって殺されたのだがまぁ追々。


『エイシャも今日は二日酔いで動けないと思うから、一緒に帝国行かない? 霊と喋れる魔導具があるみたいなのよ』

「まじ? 行く行く。ちょっとエイシャに書き置きしてくる」


 お金は宝石で良いかな?

 何個か持って、戻ってきたライズに渡しておく。


『お代はこれでよろしくね』

「はいはい。じゃ行こうか」


『ねぇライズ、それで行くの?』

「えっ? いつもこれだよ?」


 ……黒いローブに長い前髪、どう見ても聖女じゃねえよな。魔女だよ。

 もっとおめかししてくれよーご先祖様よー。

 前世みたいに輝いてくれよー。


『化粧しよっか』

「えっ、やだよ」


『私がしたいの。十分で終わるから。お願いお願いお願いお願い』

「えー……まぁ、わかったよ。まぁ……化粧は出来るけど色々思い出しちゃってさぁ……良い機会か。最初はルクナに任せるよ」


『ほいほい、ちょっと動かないでねー。あっそうだデスちゃんは?』

「あー……ミナが気に入っちゃって、ミナの家に居る」


 ミナカもデスちゃんの魅力に取り憑かれたか。

 可愛い子には旅をさせろと言うし、私の居場所はわかるのでその内どこにいても帰ってくるだろう。

 ライズの前髪を可愛いアクセサリーで留めて、ポニテにしてから化粧開始。

 まぁ子供だから直ぐ終わったよ。

 可愛いなぁ……うん、可愛い。

 ウォーエルが好きになるのもわかる可愛さね。


 化粧も終わりライズと一緒に帝国へ。

 私の魔法腕を掴んでいるので一緒に転移出来るはず……っと出来た。

 ほーこれが千年前の帝国……大して変わらんな。

 千年経っても文明が変わらないという事か? そんなのあり得るかしら?


「……なんか凄い見られる。ルクナ、魔導具店に行くから付いて来て」

『ほーい』


 帝国のメインストリートにある大きな魔導具店に到着した。

 ヴァン王国の五倍は大きな魔導具店……リューメイ魔導具店並みだなぁ。

 その中に入ると、高そうな魔法の杖やらが並んでいて、ライズは案内を見ながら上の階に向かった。


「いらっしゃいませ。お使いか何かですか?」

「私、こういう者です」


「っ! ライザ様っ! 直ぐにご案内致しますっ! こちらへどうぞっ!」


 ライズが聖女証を見せるとあら不思議、店員さんが直ぐに豪華な客間に案内した。

 やっぱり知名度は凄いのね。

 成金趣味な部屋を眺めていると、オーナーらしき人がやって来た。


「聖女ライザ様、よくぞ我が魔導具店においで下さいました。何かお求めの物があるのですか?」

「はい。霊と話せる魔導具があれば戴きたいです」


「霊と……それは精霊と、でしょうか? それとも、死んだ者という事でしょうか?」

「うーん、死んだ者というか……全種類見せて貰えますか?」


 オーナーが出て行き、しばらく待つと幾つかのアクセサリーを持って来た。

 説明を受けながら、一つ一つ試していく。


『ライズー聞こえるー?』

「……違う」


『らーいーずー』

「うん? うーん……多分違う」


『らーーいーーずーー』

「……ん? ルクナ、もう一回」


『ルクナちゃんだぞっ』

「あっこれだ。これが欲しいです。お代は宝石でも良いですか?」

「それはもちろん。あの、聖女ライザ様がいらした事を宣伝してもよろしいですか?」


「それくらいなら構いません。これの在庫は幾つありますか?」

「ありがとうございますっ! これは三つと同じ機能の物があります」


「では全部下さい」

「ありがとうございますっ! 霊をも救いになられるのですねっ! さすがは聖女様っ!」


 なんか、簡単に手に入ったなぁ。

 ライズが買ったのは黒いイヤリング型とネックレス型で、解析してみると交信の耳飾りと交信の首飾りと出たので間違いないだろう。少し調整すれば私の声がはっきり聞こえるはずだ。

 オーナーと店員達に見送られ、魔導具店を出てから交信の首飾りを着けた。


『ライズっ聞こえる?』

「うん、聞こえる。やっと声が聞けた……なんか感動」


『私も嬉しいっ! 今までミナとアズサだけだったから……寂しかった』

「そう、だよね……でも、もう寂しくないよ?」


『これで姿が見えれば、触れたら良いけれど……しばらくは魔法の身体で我慢かなー』

「私の中のルクナはダイヤモンドの身体でジャージ姿だから、早く本当の姿が見たいよ」


『まっその内ね。喋れるだけで充分だよ。これからどうする? 用事は?』

「んー……城には今日行かないし、あっミナに会ってよ」


 まぁ仕方がない。

 ミナカに嫌われたからアズサに出会えた訳だし、デスちゃんにも出会った訳だ。

 会う義理があるよね。


 そろそろ学院が終わるので転移で戻って、ミナカの家に向かう事になった。


『……やっぱ会うの怖い』

「ミナも同じだと思うよ。ルクナを傷付けた訳だから」


『ところでライズはミナの家は接近禁止令じゃなかったの?』

「ミナが私に魔法を教えてもらったから学年一位になれたって説得してさ、私が母親の前で魔法を使ったんだ。そしたら納得というか、呪い子って言った事謝られたよ。だから大丈夫」


『そっか、ミナも成長したんだね』

「全部ルクナのお蔭。あの……アズサを帰したらさ、戻ってきてよ」


『そうしたいけれど、行きたい所があるのよ』

「それはどこ?」


『世界樹』

「世界樹……なんてあるの?」


『うん、場所も知っているから……あっ、今度見に行く?』

「行きたいっ」


 そうか、私がこれからライズを妖精国に案内するからメティオちゃんに出会うのか。

 そう思うと、私の行動は一応歴史に沿っている。

 それなら私がどんな事をしようが歴史通りって事になる、のか?


 オレイドス家に到着し、私はビビっているので門から覗いてライズがミナカを呼びに行った。

 ……

 ……ミナカが出て来たな。デスちゃんを抱えているから相当お気に召したのね。


「ライズ……かっわいーーー! 化粧したの? 凄い似合ってるっ!」

「あっ、落とすの忘れてたわ……ははは」

『ライズ、カワイイ、ママ、もっとカワイイ』


「上がって上がってっ! お母さんっ! ライズが来たよっ! すっごい可愛いのっ!」

「あぁいや、あはは……どうも……」

『ミナ、デスも、カワイイ』


「うんっデスちゃんも可愛いよっ」

「お邪魔します。ちょっと話が……」

『ライズ、ふく、ツクッタ、みろ』


「今ねっ、今ねっ、クッキー焼いてたのっ、みんなで食べよっ!」

「あの、ミナ? あのね……いやデスちゃん、それ作ったの? すごっ……」

『……エッヘン』


 ……

 ……

 ……元気やん。


 私の話題一切無いやん。

 なんか、モヤる。


 ……

 ……

 ……泣きそうだから帰るか。


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