5-16 突然の挑戦者
一方的な虐殺で終わったようですよ?
「お前は本当に容赦ねーな」
「魔物に情けは無用」
「で、でも、どうにか、勝てましたね」
三人娘にダメージ無し。
関節による捕縛、さらにダウンした相手に追撃する技で全部しとめる。
こと魔法であり、ノアとナーミの攻撃力はこの世界の常識からは見事に逸脱しているため、もはや特効効果が必要なくなっているレベルだった。
「とりあえず、依頼の分はこれで達成したな」
「ゴールドスライムの魔石も換金できると思うと、財布が濡れ濡れだな」
「潤うって言いてぇのな」
「イエス、イエス」
「で、どうする? 依頼を達成したし、とりあえずここからジェダルを目指す? それとも一度ビーダブまで戻って魔石を換金する?」
「さて、どうしたものか……」
寅はタグが集めてきた魔石を前に腕を組んで睨む。
レッドモンキーは統率されていた。
となると、統率した相手がいると踏んでいたが……。
「アラアラアラ、やっぱ所詮は猿よね~、ぜんっぜん、役に立ってくれなかったじゃない」
「別にかまわないだろ。所詮、奴らをおびき寄せるための餌なんだから」
妙に色気を意識したしゃべり方をした男の声と、少しおおざっぱなしゃべり方をした女の声。
見れば、森の奥から、二匹の大型のレッドモンキーと、何故か化粧をしているレッサーデーモンのヌイグルミ、そして角を生やした少女が一人いた。
「……何者だ?」
「チッチッチ、ひどいわねぇ。アタシたちの本命は、あんたたちなのに」
「なんだと?」
睨みつける寅に、レッサーデーモンのヌイグルミが斜に構えながら小指で指さす。
「不死王、アンダカからもらったベルト、もらい受けるわ」
「……何故俺たちが持っていると知っている?」
妙な雲行きになってきた、と寅は警戒を強める。
「自己紹介しておこうかしら。アタシはディノ。この子たちのオーナーよ」
「このこ、たち?」
「そう。キングレッドモンキーのイジュンと、クィーンレッドモンキーのレイ。それに、魔神族のライミよ」
「アンダカのベルト、といったな。それなら、お前がオーナーなんだな」
「そう。アタシはこの世のすべてを手にするオカマ! 人呼んで欲望に生きるグレーゾーン! ディノ様よ!」
「あ、自分で言っちゃうんだ」
「キャラとしてはありだな」
「んな、分析している場合か。やべぇ相手だぞ」
「はい。まさか、魔神族が現れるなんて」
ナーミとリムラの警戒が強い。
「どこの誰かなんて興味ない。アンダカさんのベルトは、次に会うまで渡さないって決めてるんだから!」
「アンダカなら、しばらく復活できないくらい、ボコボコにしてあげたから。しばらく再会なんて出来ないから心配しないで」
ざわり、とノアの髪の毛が揺れる。
「……いきなり現れて、失礼にも程があるんじゃないかな」
「お前もレスラーなら、相手を黙らせる方法は知っているんじゃないのか?」
「……黙らせる」
「いいねぇ、そうじゃなきゃな」
ノアが進み出るのに会わせライミも進み出る。
上背はライミが上。胸も腹筋のくびれも太股の肉付きも、大人と子供だった。
ライミは勝ち誇ったように笑みを浮かべ、
「……ガキ」
「デブ」
「殺す!!」
「やってみろ!!」
いきなりエルボー合戦を始めてしまった。
「ちょ、いきなりかよ!?」
「ナーミさん、フォローを!」
「あんたたちの相手は猿で十分よ!!」
「ギィィィッ!!」
「キャアキャアキャア!!」
フォローに回ろうとしたナーミとリムラにイジュンとレイが襲いかかる。
「っつーか、ただの魔物じゃねーか!」
「知ったこっちゃないわよ! 結界リング展開!!」
真っ向から殴り合いを始めているノアとライミの周囲にリングの結界が展開される。
きっかけはどうあれ、完全に主導権をとられてしまった。
「タグ! お前はリムラに付け!」
「いいのか!?」
「お前は誰のオーナーだ!? 使命を果たせ!!」
「あいよ!」
タグが急ぎ、リムラの元へ向かう。
「あんたは、もう一人の子のフォローに行かなくていいわけ?」
「お前たちの本命がノアである以上、ここからは動けんだろう」
「……ふん、ノリの悪い男は嫌いよ」
ディノは寅を一瞥し、レフェリングへと向かった。
悲報、アンダカさん、知らない間に復帰が遅れる。
コマケェコタァイインダヨォ!




