5-14 レスラーとしての魅了
通常のチャームでは無いようですよ?
「ねぇ、寅さん、統率されているってことは、向こうから来ない、ってこと?」
「そうだろうな」
「オーマイマイ、焦らされるのは嫌いじゃないが、手がかりも無しじゃただの待ちぼうけだな」
「ん~、でも、木こりの連中はこの場所で襲われていたって言ってんだし、さっきも来たわけだし、ここで待つしかねーんじゃねーの?」
「それも一つの手だが、俺は別の可能性があると考えているんだ。ノア」
「ほいっ!」
「リムラの衣装、作れるか?」
「この前作った」
「……いつ採寸した?」
「くんずほぐれつ」
「……まあいい。どこにある?」
「私の鞄の中」
「ノアの鞄……」と、寅は腹の中のノアの鞄を取り出す。
受け取ったノアは手慣れた手つきで鞄を探り、
「あった!」
「こ、これ、ですか!?」
「可愛くてせくしーがこんせぷとです」
踊り子の衣装から発想しているからか、随分と肌の露出が多い。
ビキニアーマーよりは良いだろうが、背中と腹部、太股を大胆に魅せる衣装。
薄い布地であるのが皮鎧より心許ない。
「リムラ。これを来てみてくれるか?」
「え、ええっ!? で、ですが、これはちょっと……」
これを人前で、いや、闘ったら破けるのでは、と考えるだけで顔が真っ赤になるリムラ。
「着てくれないの?」
「……そういうのは、反則です……」
ノアの手前、着ないわけにもいかないのだった。
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「い、いかがでしょう?」
衣装は、リムラに合っていた。
白地をメインに使った清楚な色使い、ところどころに朱が混ざるのが、情熱的な印象を与え、普段から内気な雰囲気のリムラの印象ががらっと変わる。
「おお、あたいがいうのも何だけど、似合ってるな」
「でしょでしょ~」
「そ、そうですか? タグ、どうでしょうか?」
「イネッ、イネッ、イ~~ネッ!!! たまらないぜ、ベイベー、こんな身体じゃなかったら、俺が相手をしたいくらいだぜ」
「なんのだよ?」
「プロレスの」
「で、ですが、レスラーに、このような衣装は必要なのでしょうか?」
「見られてナンボって世界だからな。そんなことより、早速来たみたいだぞ?」
「来たって……」とノアが顔を上げれば、そこにはレッドモンキーが興奮した様子で集まってきていた。
「ど、どういうことだ!?」
「リムラ、お前さんのスキル、覚えているか?」
「え、えっと、サブミッション、受け身、根性、一発逆転、魅了……」
「その、魅了ってスキルな、ノアとナーミには無いんだよ」
「そう、なんですか?」
「そして、朝のレッドモンキー共は、お前さんの練習試合が終わった途端解散しちまった」
「つ、つまり?」
「魅了のスキルは闘うことで相手、または周囲にチャームの影響下における可能性がある」
「でも、寅さん、あたいもノアも別に魅了されていねぇぞ?」
「同性だからな」
「じゃあ、寅さんとタグは?」
「ぬいぐるみだからな」
「ですよね」
「異性、魔物に対しての、魅了効果……しかも、闘っているとき限定……」
「魅了っつーか、なんつーか……」
集まってきたレッドモンキーを見ていると、どうみても興奮している。
言い換えるなら、欲情しているようにしか見えない。
「こりゃあ、リムラを援護するしかねーな」
「こんな時のための伊良部パンチ」
「あ、あの、私は、どうすれば?」
「とにかく全部関節でカウンターしろ。あとはノアとナーミが”何とか”する」
「オッケー!」
「了解!」
「わ、分かりました!」
寅の指示をすぐに理解しレッドモンキーに向き合う。
「俺の出る幕はないねぇ、オーマイマイ」
と、テントの中へ逃げ込もうとしたタグの頭をむんずと掴む柔らかい手。
「お前は魔石の回収だ」
「サー、イェッサー」
忙しくなりそうだった。
闘っている姿で魅了効果が発動。
欲情と大差が無いけれども、
コマケェコタァイインダヨォ!




