5-11 心の整理の付け方は
リムラはまだ心に何かが引っかかっているようですよ
「う~ん、やっと朝だぁ~……」
深夜までこってり絞られた翌朝。
ノアは寝不足な目を擦りながらテントから出てきた。
「おはようございます、ノアさん」
「リムラちゃん、おはよ~……」
「ふふふ、眠そうですね」
「うん、見張りしている時間、ずっと寅さんにお説教されていたから」
「すいません、私もちょっと調子に乗りすぎました」
「う~ん、でもリムラちゃんの気持ちも分かるからさ~……」
リムラにとっては、三人で協力体制をとっていたとは言え、久しぶりの狩りだった。
2匹、3匹と狩るうちに、リムラの顔が輝いていくのを見て、すっかりノアとナーミもテンションがあがってしまったのだ。
「ところで、どう? 魔法の一覧に伊良部パンチ出てきた?」
「いいえ。見張りの間も試してみたんですが、やっぱり私は取得出来ないみたいです」
「そっかぁ、残念」
投擲に応用できるものがあれば、職業は動かせないまでも、狩人として復帰が出来る目処は立ったかもしれない。
ただ、やはり覚えられる魔法は限られているようだった。
「でも、久々の狩りが出来て楽しかったです」
「ん、よかった」
「やっぱり、未練ですねぇ」
「なにが?」
「もう私はレスラーなんです。それは後悔していないし、楽しみでもあるんです」
「うん」
「でも……でも、ですね……狩人として、頑張っていた、自分も否定したくないんです」
「それは、分かる、かな……」
「これでも、ノアちゃんより、長く生きてますからね。ノアちゃんとナーミちゃんが思ってるより、きっと意固地なんです」
「……ん」
「ごめんなさい、ただの、わがままです。私は辛いんですってただ喚いていたいだけ……」
リムラは十年狩人として生きていた。弓をとれば里の中で一、二を争う腕前だった。
その生きていた証を、レスラーという職業に奪われた。
いくら仲間に恵まれても、心の中は別だった。
「リムラちゃん」
「はい?」
「いっちょ、やっとく?」
と、ノアが指をパキパキと鳴らす。
「……はい!」
意図はすぐに分かった。
迷うくらいなら、身体を動かし、ぶつかり合うのがレスラーである。
「いくよ!!」
「はいっ!!」
朝の森の中に、二人の元気のいい声が響いた。
悩むくらいなら身体を動かす。
元気があれば何でも出来る。
コマケェコタァイインダヨォ!




