5-1 旅は道連れ、世は情け
ひとまずリムラとタグもくっついてくるようですよ。
「じゃあ、お父様。行って参ります」
「うむ。気をつけるのだぞ。何かあったら、すぐに助けを呼びなさい。我々フェアリー族は何かと狙われやすいからな。それと、宿屋にも気をつけなければいけない。欲深い人間は昼夜を問わず、女を求めているときいた。町中でも油断をしてはいけないよ。奴隷商という連中が、常に誘拐を繰り返している。お前はかわいいからきっと目を引いてしまう」
「お父様、心配しすぎです」と、リムラは苦笑いを浮かべ、
「いまは仲間もいます。それに、私は強くなるために旅に出るんです……きっと強くなって、成長して帰ってきます。だから待っていて下さいね」
「おお、リムラ……リムラァァァァ!!」
こうして、一方的に父親だけ号泣している親子の別れが終わった。
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宿場町のイダルに戻り、改めて宿屋の部屋へと戻り、ノアがはたと気づく。
「そう言えば、ベルトもらってない!!」
「ベルト、ですか?」
部屋の中にはリムラとタグもいる。
「そう! 一族の王に勝った証でもらえるやつ! オークキングっぽいの倒したのに!」
「瞬殺して魔石に還しちまった奴が何をいう」
「第一、その後、リムラに負けたな」
「うぐっ……もっかいやったら負けないもん!」
「是非是非、やりましょう! 痛くて苦しくて大変でしたけど、すっごく楽しかったです!」
「よーし! じゃあ、いまから……」
「宿が壊れる!」
ノアの後頭部に寅の拳骨が振り落とされた。
ヌイグルミの手なので痛くないが。
「慌てなくても試合はする。リムラのレベルアップは必要だからな」
「じゃあ、ここでも良いじゃん」
「このぼろ宿でか?」
「う……」
イダルは山間の宿場であり、建物も簡素なものも多い。
前回ギルドの酒場でリング結界を展開したときとは訳が違う。
「オーマイマイ。じゃあ、試合ってのは、この世界じゃどこでやるんだい?」
「あたいらの時は普通に草原だったぞ」
「寅さん、まだ結界作れなかったし」
「レベルが上がったからいいだろ」
「じゃあ、うちのリムラにも草原でやれってのかい?」
「少なくとも、腰の据えられる場所ではないとな。広い場所、魔物も狩れる場所、休める場所が近いのが理想だ。いっそビーダブまで戻ってもいいだろう」
「それで、寅のところの二人は、どうやってレベルを上げたんだい?」
「丸一日、ぶっ倒れるまで練習試合をさせた」
「オーマイマイ、そりゃ随分とスパルタだ」
「あたし、頑張ります!」
オーナーに反して、リムラは随分とやる気だ。
「頑張ってもらうさ。早く強くなってもらわなければ、自分の身を守れないからな」
寅はそう言いながら今後の展望を考える。
正直に言えば、リムラとタグの同行は想定していなかった。
そもそも、現在の情報では「種族の王」である「レスラー」を倒していくはずだった。
その先に、レスラーが何故存在しているか解き明かし、ノアとナーミがこの世界で成すことを知るはずだった。
ところがだ。
前回のササトに引き続き、今回のリムラ。
ベルトを持たない人間のヒールに、オーナーの存在がなかったフェアリー族のレスラー。
結果的に両名とも救うことが出来た。
だが、これが役目とするなら、レスラーは瘴気に捕らわれた者を救う「慈善事業者」ということになってしまう。
しかも救い方は肉体言語なのだから物騒きわまりない。
「何のいたずらなのやら……」
このまま同行のレスラーを増やしていっても仕方がない。とにかく 当初の目的は見失わないように心がけようと誓う寅だった。
当初の目的がぶれるのはお約束ですな。
そして、二回連続でベルトをもらえないことに気づけたノアは結構頑張っている。
コマケェコタァイインダヨォ!




