4-17 無理が通れば…
闘い終わったらノーサイドが基本です。
「あの……」
いつの間にかリムラが父親に支えられ、近くまできていた。
「えっと、あたし……」
「ポーションいる?」
「え?」
「いる?」
「あ、ヒール、してもらえたから」
「そっか」
ノアは飄々と立ち上がると、にかっと笑って手を差し出す。
「良い勝負だったね」
「え、あ……はい」
リムラは照れくさそうに握り返した。
「次は負けないからね」
「次?」
「レスラーは何回でも闘っていいんだよ。だから次は私がリベンジする番!」
「あ、あの……」と、リムラは困ったように笑いながら首を傾げ、
「レスラーって何ですか?」
「「「……そこからか」」」
結局、この説明は何回も繰り返されるらしい。
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「つまり、あたしはレスラーになる運命で、本当はオーナーっていう職業の喋るヌイグルミが付き従うはずだったってこと、ですか?」
「概ね、その理解でいい」
寅とリムラが向き合い、リムラの後ろにはザロクを始め一族全員が耳を傾けていた。
「喋るヌイグルミ、子供の頃に遊んでいた人形とかに、に心当たりはない?」
「えっと……」とリムラは記憶をたどる。
「子供の頃に、遊んでいた木彫り人形くらい……」
「そりゃ、喋らねぇな」
「むしろ動き出しても怖い」
オリョウの再来くらいには怖そうだ。
「職業の書き換えは出来た?」
「……試してみたのですが……狩人には戻りませんでした……」
「そっか~」
ヒールとしての役目を終えていたら、その可能性もあったはずだ。
「もしかしたら、亜人側のベビー側の存在としてレスラーになっていたのかもしれないな」
「じゃあ、リムラちゃんはずっとレスラーのまま?」
「そうなるな」
「そんな……」
「まぁ、レスラーも使い勝手の悪い職でもない。使える魔法が増えれば、魔物相手になら無双も出来る」
「確かに」
「では、狩人は無理でも、守衛などなら一族の勤めを果たせるということですか!?」
「だが、それにはオーナーが必要だ。魔法を覚えても使い方が分からなければ意味はない」
「ストレッチプラムがそうだったでしょ?」
「……はい……」
フェアリー一族では、レスラーの伝承すら伝わっていなかった。
「逆水平とストレッチプラムだけじゃ、守衛にゃ厳しいな」
「じゃあ、私たちと一緒に来る?」
「冗談じゃない!!」
と、これはザロクの悲鳴。
「やっと戻ってきた娘を旅に出させるというのか!?」
「落ち着け、オッサン」
「まぁ、気持ちは分かるがな」
自我を失っていた娘がやっと我に返ったのだ。
いきなり分かれられるはずもない。
「それだけじゃないんです」と、リムラは少し落ち込んだ様子で、
「私たちフェアリー族は奴隷としても、素材としても重宝されます。まして、私は空を飛ぶことが出来なくなっていますから……」
「旅をするどころではないか」
「っつーか、普段は隠れているんだから大丈夫じゃねぇか?」
「それは、お前自身に置き換えても言えるか?」
「あたいにって……うん、あたいが悪かった」
業の深い世の中。
およそ想像し得る最悪のことは全て起こる。
何かの拍子に正体がバレればどんな目に遭うか。
「しっかし、なんなんだよ、この手詰まり感~……」
ナーミがひっくり返る。
リムラが理性を取り戻し、これで色々解決されるのかと思ったが、どうもうまく話がまとまらない。
「娘を助けてくれたことには礼を言う。しかし、これは我々一族の問題で……」
「一族で処理できなかったらこんなことになったと思う件について」
「ぬ……」
ノアのストレートな指摘に反論が出来なくなるザロク。
ノアは、まるで推理を披露する探偵のように、炭坑内を歩き回りつつ
「このままフェアリー族の隠れ里に戻れば、誰もリムラちゃんの指導をする人はいなくなる。かといって、私たちと一緒に旅をするのはリスクが高い。私たちに残された方法は、方法は一つだけ……」
と、ノアはもったい付けつつ、ビシリと指を立て、
「私たちでオーナーを作っちゃう!!」
「「「……は?」」」
ノア以外の全員の頭に「?」が浮かんだ。
ノアが何やら言い始めました。
無理が通れば道理が引っ込む。
道理が引っ込まなければ殴り飛ばして押し通す。
レスラーはそんな人達です(違
コマケェコタァイインダヨォ!




