4-16 勝負の先にあったもの
決着がついたようですよ
「うぁぁぁぁ!! ああああああっ!!」
闘いが終った瞬間、リムラは顔を覆い、堰を切ったように泣き叫んでいた。
「よくやった!! ナイスファイトだ!!」
「うあぁぁぁ~~!! ああああ~~!!」
ザロクに抱きしめられても言葉にならない。
ただ、ひたすら赤子のように泣きじゃくっていた。
ノアに勝った嬉しさだけではない。
瘴気に捕らわれていた長い時間。
一族の厄介者として扱われていた苦しい時間。
様々な重圧、使命感、焦燥感。
何かを乗り越えた先にあった勝利であることは間違いなかった。
それは、リムラの感情の決壊を促すのに十分であった。
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「はぁ、はぁ、はぁ……」
ノアはリングの結界が解かれた地面に倒れ伏している。
「なっさけねぇな」
「はぁ、はぁ……」
「初心者のレスラーに負けて恥ずかしくねぇのかよ」
「……勝ち負けだけが、私たちの闘いじゃないもん」
「知ってんよ」
ナーミにノアの敗北を責める気は欠片もなかった。
何故なら、この闘いにおいてノアの勝ちを定義するなら、瘴気に捕らわれ我を失ったリムラという少女を助けることだった。
確かにプロレスの勝負では負けたかもしれない。
しかし父親の胸の中で赤子のように泣き叫ぶリムラを取り戻したという意味では、ノアは勝者であった。
「試合に負けて、勝負に勝つ、という言葉がある」
寅もノアを責める気は毛頭ない。
「……まさに今のノアだな」
「でも悔しい」
負けは負けだから。
ノアは顔を隠している。
果たして、泣いているのか、笑っているのか。
「けど、ま……面白かったぜ」
「ん……」
「んで、動けるか?」
「痛い」
「あんだけ逆水平してればな」
「正直、動けない」
「回復は?」
「……今回はしてほしい、かも」
「分かった。仰向けになれ」
「うぎゅ……」
「さっっさとしろ」
ナーミが乱暴に転がす。
ノアの胸元は、紫色に変色し、皮膚が裂け流血も認められた。
寅は口の中からポーションを取り出し、傷口に直接振りかける。
「いだだだだだ!! しみるしみる!!」
「それだけ元気なら大丈夫だな」
「ちったぁ胸も大きくなるんじゃねーか?」
「人事だと思って~……」
ポーションの効き目は治すことなので、バストアップするわけがない。
勝負に勝っても踏んだり蹴ったりだと、ノアは口を膨らませた。
端的に云ってしまうと、
リムラは自分自身を許していませんでした。
狩人として生きていけなくなったこと、魔法が使えなくなったこと、父から見捨てられたこと。
そのすべてが満たせたのです。
つまり、ノアは「試合に負けて勝負に勝った」ということですね。
コマケェコタァイインダヨォ!!




