4-13 父親の声
そろそろ決着が近いようですよ
バチン!
胸に走る衝撃は何度目か分からない。
もう数えるのもバカバカしくなるくらい打ち合っている。
いい加減に倒れてくれとも思う。
しかし、自分が倒れるのは無しだ。
レスラーとしての本能とか、スキルの効果がどうこうとか、全く関係ない。
ただ、目の前の子に負けたくない。
それ以上でも、それ以下でもない。
負けたくないから、右腕が千切れるまで、打ち続けてしまおう。
「あああああっ!!」
「うあっ!」
ノアの逆水平が一段と威力を増した。
リムラがたまらず後ろに下がる。この隙をノアは逃さない。
「りゃああっ!!」
「あうっ! あうっ!」
二発、三発と打ち込みコーナーまで追い込むと、両拳を思い切り握りしめ、
「青春の握り拳~!!」
気合いを入れ直すと、逆水平チョップの連発を始める。
「ああああああっ!!!」
「うぐぅぅっっ!!」
ノアのホウコウとリムラの悲鳴が交錯する。
コーナーに追い込まれては、リムラに反撃の術はない。
耐えきるしかないと、リムラは賢明に歯を食いしばる。
「ああああっ!! はっ!! はっ!! だああっ!!」
「んぐぐぐ……はぁ、はぁ、ぐあっ! あっ! ああっ!!」
ノアに数十発の逆水平チョップを打ち込まれ、コーナーにもたれ掛かるリムラ。
表情は弱々しく、もう立ち上がる気力も失っている様子だ。
とうとう力尽きてしまったのか……。
「リムラ!!」
「……え?」
リムラが顔を上げて、声のする方へ顔を向ける。
そこには、こんな所にいるはずのない、父の姿があった。
「……お父様?」
「ああ、そうだ! 私だ!!」
「……お父様、あたし……」
「頑張れ!!」
「え?」
「ちゃんと見ている!!」
「……はい」
「ファイトだ!!」
「はいっ!!」
リムラの顔に生気が戻る。
何かの冗談かと思うくらい、父の声を聞き、父の顔を見て、父の声援を受けた瞬間、本当に力が湧いてきたのだ。
「こ~の~や~ろ~!!」
「わっ!?」
と、ノアの髪の毛を掴むと逆にコーナーに押しつけ、
「お返しだ~!!」
「うぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!」
今度はリムラが逆水平を連発し始めた。
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「身体で覚え始めやがった」
ナーミが呆れたようにこぼした。
レスラーの職を持っていて、あれだけ一つの魔法を延々と受け続ければ、当然といえば当然の結果だ。
「うぉぉぉっ!!」
「リムラ様~!!」
突然、フェアリー族が声援を送り始めた。
「な、なんだ、なんだ?」
「負けてはなりません! なりませんぞ!!」
「人間の小娘ごとき、あなた様なら倒せます!」
「魔法が使えないことなど、関係ありません!!」
「ぶちのめしてください!!」
どうやら族長のザクロに触発されたらしい。
ノアにとっては完全にアウェイになってしまった。
「おいおい、大丈夫か、これ……」
ノアが勝ったらその場で敵討ちと言われそうな気がする熱狂ぶりだった。
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どちらが主役か分からなくなって参りました。
コマケェコタァイインダヨォ!




