3-16 とある怪談の終焉
決着が付いたようですよ。
「む、むぅん……」
寅が意識を取り戻したのは、それから30分ほど経ってからだった。
「お目覚めですか?」
「ああ……決着はどうなった?」
「貴方のレスラーの勝利のようですよ?」
「ようです?」
「私も気を失ってしまいましたので」
「成る程……で、なんで今度はノアが試合をしている?」
「自分も教えてもらいたいそうですよ」
「教え、か……」
リングの結界も消えた独房の中で、今度はノアとササトが闘っていた。
闘う、というより、練習。スパーリングのようだが。
「それで、ナーミが勝ったという事は、ササトはヒールとしての役目を完遂したのか?」
「ええ。彼の役割は終わりましたよ」
「……そうか。お前さんはどうなる?」
「おそらく、私の役目も終わり。運命をともにすることでしょう」
「一つ聞いて良いか?」
「なんでしょう」
「あの男に練習相手などいなかったはずだ。何故あれほどのレスリングテクニックをもっている?」
「大したことはありません。毎晩、夢を見て頂いたのでございます」
「夢、だと?」
「はい。毎晩眠る度に、必ずご自分の幻と闘い続けていただきました」
「……それは悪夢だな」
「ですが、闘う術を身につけるには、それしかありませんでした」
「成る程な……」
「いっっったぁぁぁいっ!!」
「ノア、ギブか!?」
「ギブギブギブッ!!」
目の前で、ノアがササトの監獄固めに屈していた。
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「じゃな、オッサン」
「……ササト、だ」
「おう、ササトのオッサン!」
ナーミがにんまりと笑うと、ササトも穏やかな笑みを浮かべる。
「さ、いくぞ」
「おう! また闘おうな、ササトのオッサン!!」
ナーミは元気よく手を振りながら独房を後にする。
ササトは数十年ぶりの笑顔を浮かべながら、自分に勝った少女達を、穏やかに見送った。
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「お疲れさまでございました」
「……あぁ」
「これで、ゆっくりお休みになられますね」
「……あぁ」
「次こそは、幸多き人生であられますように」
「……悪くなかった」
「左様でございますか」
「……あぁ、悪く、なかった」
ササトは穏やかに笑い、ゆっくりと身体を横たえる。
その日以降、マトウ大監獄から、呪いの人形と独房の男の伝説は、終焉を迎えた。
ササトは普通の人間です。
瘴気によって生かされていた彼が瘴気を失えば……。
人の最後とは、穏やかであるべきだと私は思っておりますです。
コマケェコタァイインダヨォ!




