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ラリアットって魔法ですか?  作者: 道中木方
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3-13 切り札

二人とも切り札を切るようですよ


「ぐぁぁっ……」


「ギブアップ?」


「ノーッ……こんちくしょーっ!!」


 ササトの逆エビ固めを、ナーミが腕立てで跳ね返した。



 リングの上では、ナーミとササトのねちっこい攻防が続いている。


 打撃技はナーミの方が上を行くが、一度組み合えばササトの技術は異常だった。


 子供のように転がされ、関節を取られ締め上げられる。


 しかし、一度や二度ではなく、三度、四度と受けていると、ナーミは身体で理解をし、そして反撃する。


 まるで闘っているというより、師弟の間で繰り広げられる伝承の儀式のようですらあった。



「こいつで、どうだぁぁっ!!」


「………っ!! ……っ!!」



 ウォールオブナーミが完全に極まった。


 ササトはかなり苦しみながらも、ロープへと這っていき、ロープへと逃れた。


**********


「なんだか、すごい試合になってきた」


「そうだな」


「寅さん、なんか冷静」


「ノアもな」


「ん……ナーミもササトって人も、なんだか楽しそうだし、私も見てて勉強になるし」


「それは何よりだ」



 寅は何故かハードボイルドな笑みを浮かべている。



「もしかして、寅さん、何か気づいている?」


「いや……ただな、プロレスは、二人の気が済むまでやらせてやりたい」


「ん……そうかも」



 リッチの時のような、激しい殴り合いや投げ合いはほとんどない。


 それでも、白熱しているのは、ナーミとササト、二人の気持ちが真っ正面からぶつかり合っているから、かもしれない。



「それが、プロレスってもんさ」


「ん……」



 寅の言葉に、ノアは静かにうなずいた。


***********


「ぜぇ、ぜぇ……オッサン、タフすぎんだろ……」


「……っ」


「お互い様だ、だそうです」


「つーか、いい加減自分で喋れよ」


「……っ」


「俺はシャイなんだよ、だそうです」


「へっ、良い歳したオッサンが何言ってんだ」


「っ……」


「小娘に言われたくない、とのことです」


「言ってろ……」



 ナーミがゆっくりと立ち上がる。


 すでに足に力は入らず、震えている。


 闘いが始まってすでに2時間近くが経過していた。


 激しいやりとりをしているわけではないが、すでに体力は限界まで達していた。


 それはササトも同じようで、大きく肩が上下している。



「……っ」


「次の技が最後だ、だそうです」


「おもしれぇ……けど、あたいが先にラストをぶち込ませてもらうぜ……」



 ナーミが右腕をゆっくりと回す。



「ラリアット……」



 ナーミの誇る、最大最強、強制ノックアウトの必殺技。



「いくぜぇ、オッサン!!」



 最後の力を振り絞り、ナーミはロープの反動で加速をした上でササトに向かって走る。



「だりゃあっ!!!」


「っ!!」



 バシンッ、と胸板にたたき込まれたナーミの剛腕。



「なっ!?」



 しかし、ササトは仁王立ちで受け止めて見せたのだ。



「ウソ、だろ?」


「っ!!」



 ササトはナーミの隙を見逃さない。


 ナーミの胴体と足を自分の足で挟み込む技、カニ挟みを仕掛け、



「監獄固め」


「え、喋ったおわっ!?」



 さらにナーミの足を「4」の様に絡め、その上に正座をするように座り込む。あっという間に監獄固めが完成していた。



「っ!?!?! いっっってぇぇぇっ!!!」


「ギブアップ!?」


「ノーッノーッ!! づぅあああああっ!!」



 筋肉の固まりのようなササトの全体重を足に乗せられ、ナーミは見たことが無いほど苦しんでいる。



「ギブアップですか!?」


「ノーッだって言ってんだろ!! いっだだだだっ!!」


「足が折れてしまいますよ!?」


「こんなんで折れるほど、ヤワじゃあだだだだだっ!!」


「ギブアップですか!?」


「ノーッ!! いぢっ……いだだだだっ!!」



 自分で逃げることが出来ず、ナーミは身体を暴れさせながら悶絶している。


 しかし、ササトに圧し掛かられた下半身だけは、びくともしなかった。


*********


「寅さん!」


「……ナーミを信じろ」


「で、でも、あれ……」



 ノアもナーミに使われた覚えがある。


 監獄固めという、足4の字固めの亜種のような技。


 効果までは不明だったが、練習で一度仕掛けられた時は、ノアは外すことが出来ずギブアップまで追い込まれた。


 ナーミの体重ですから激痛だったのだから、筋肉の固まりのようなササトにやられたら……想像するだけで、ぞっとする。



「大丈夫だ……ナーミなら、自分で気づけるはずだ」


 寅はまっすぐ戦況を見つめていた。


ナーミ、大ピンチ。


監獄固め:監獄の中で仕掛けることで威力が倍増する


ラリアットで強制ノックアウトされてないとか、それこそ、


コマケェコタァイインダヨォ!

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