3-5 こんな世界に大監獄があるのは……
移動中のようですよ
「イジメ、ダメ、ゼッタイ……」
最終的にドラゴンスープレックスでスリーカウントととられたノアの敗戦の弁。
「でも、ノアのおかげで情報は集まったな」
「ああ、その人形がオーナーになっている可能性は高いな」
「あたしのおかげなら、お仕置きされる意味がわかんないんだけど!?」
「ギルドのみなさんに迷惑をかけたのは変わりないだろう」
「そうかもだけどぉ……」
釈然としないノアの唇はとんがったままだった。
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一行は現在、監獄を目指している。
マトウ大監獄。
収容者は国内最大規模を誇る。
何でも古くは軍事拠点の要塞だったそうだが、戦争の集結とともに役目が移り変わり、軽犯罪者から重犯罪者まで幅広く収容する要塞監獄だ。
「しかし、このご時世に、刑務所があるとはな」
「珍しいの?」
「いや、剣と魔法が全てのこの世界なら、犯罪者にはもっと、厳しいと思っていたのさ。例えば、犯罪を犯せば、即奴隷落ちとか、炭坑に連れて行かれるとか」
「寅さんも変なこというな。犯罪者をそのままにしていたら、奴隷にしたって、働けないじゃんか」
「なに? ……いや、そういうことか」
寅はすぐに理解した。
この世界は職業は自己申告制。
逆に言えば、強制的に申告させることも出来る。
大監獄でやっていることは、罪を悔いる時間を作るのではなく、特定の職業を自主的に選んでくれるまで”お世話”をしているだけの話だった。
「もしかしたら、ナーミもあそこに入っていたかもだったんだね」
「いや、それはないだろう。ナーミほどの珍しい種族で女なら、悪い意味で引く手あまただろうさ」
「だから、長が助けに来てくれたんだし」
「あたしにぶん投げられたけど」
と、ノアは鼻息を荒くする。
先ほど負けている意趣返しのつもりらしい。
「ともかく、独房に何十年も強制的に入っている理由はこれではっきりしたな」
「どういうこと?」
「おそらく、職業の書き換えが出来ないんだ。なにせ、レスラーという変更が出来ない職業が確定してしまっているんだからな」
「でも、独房の中に何十年だろ……また、アンデットが相手じゃないよな?」
「だとしたら、とっくに依頼がでているだろうさ。長寿の亜人種、ということかもしれんな」
「ん~……じゃあ、エルフとか、ドワーフとか、巨人族?」
「いや、巨人族は独房の中に入らねーだろ」
「おそらく、ドワーフの可能性が高いだろうな。エルフは森の中から出てこないから犯罪を犯す危険性が少ないが、ドワーフは市井の中で暮らしている。犯罪に巻き込まれてしまう可能性も高い」
「で、その人と会ったらどうするの?」
「おそらく、闘うことになるだろうな」
「闘って、どうすんだ?」
「後は野となれ、山となれ、だ」
どんな相手可すら分からないのだから、対策の立てようも無い。
この世界では、職業を「奴隷」と申告させて奴隷落ちさせます。
なので、炭鉱夫と申告させて、担当で死ぬまで働かせる、という手段も用います。
ちなみにステータスプレートの職は自己申告で変更出来ますので、脱走も発生します。
逃げ切れるかは別ですが。
まぁ、蛇足なので、コマケェコタァイインダヨォ!




