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ラリアットって魔法ですか?  作者: 道中木方
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3-4 ホロの街の怪談話

次の街に着いたようですよ?


 その男は、ずっと監獄に閉じこめられいた。


 囚人。


 ただ長い間、ずっと独房に禁固刑を言い渡されていた。


 刑期を終えても、男は独房から出されることはなかった。


 彼の刑期を決めた領主が死んでも。


 彼と恋仲になった娘が老いて亡くなっても。


 看守が何代入れ替わっても。


 彼は独房の中に閉じこめられていた。


 ただ、時折聞こえてくる、独り言とうなり声が、彼の生存を示している。



「なにそれ、怖い」



 コングから紹介された街、ホロに着いた。


 ギルドを訪ねると、すぐに件のレスラーの噂が聞けた。


 マトウ大監獄に収容され、長い年月、独房の中に籠もり続ける男の話を聞いたノアの第一声がこれだった。


 どれくらい長いかと言われれば、ゆうに60年を越えているらしい。



「また60年か……」



 と、ナーミがうなる。



「なにか、きっかけがあったと考えるべきだろうが……他に、その男に関する情報はあるか?」


「情報ってどんな?」



 と、ギルドの受付嬢が首を傾げる。



「例えば”ヌイグルミ”を抱えていないか?」


「さあ? さすがに独房の様子は分からないわね」


「……なるほど……」



 さすがに監獄の中の情報までは流れてこないか、と寅が難しい顔する。


 せめてオーナーが一緒にいる可能性を確認したかったのだが。



「それじゃあさ、他に監獄に伝わる怖い話とか、ない!?」



 と、突然ノアがテーブルに乗り出す。



「怖い話?」


「そうそう! ああいうところだと、ゴーストとかゾンビとかの噂、あるんじゃない?」


「ああ! この前リッチの討伐をしたんだっけ?」


「そうそう! それで、前回みたいな話があるのかなって!」


「そうねぇ……眉唾だけど、徘徊する人形の話はよく聞いたかなぁ」


「どんな話?」


「ありきたりよ?」と受付嬢は前置きをしてから、語り出す。


「ある囚人の一人娘が、囚人の刑期の最中に病気で亡くなってしまった……。


 お父さん、お父さんと譫言のように呟きながら、


 父親に買ってもらった人形を大切に抱えたまま亡くなってしまったんですって。


 そして、娘の死を獄中で知った囚人は、自責の念と後悔を口にし、


 後を追うように自ら命を絶ってしまったの。


 その後、一人娘の大切にしていた人形が娘の代わりに父親を探し、


 お父さん、


 お父さん、


 と呟きながら、監獄の中を徘徊しているのよ……」



 やたらと受付嬢の声が通ったのか、ギルドの中が静寂に包まれている。



「わっ!!!」



 ノアが突然無意味な大声を上げる。



「「「ぎゃあああっ!!!」」」



 受付嬢から他の冒険者から、みんなそろってひっくり返った。


 あるものはテーブルをひっくり返し、あるものはエールをぶちまけて、ある者は料理を頭からかぶっている。



「あはは、おもしろいお話ありがとうございました」


「ど、どういたし、まして? 怖くなかった? 結構自信あったんだけど」


「ううん、怖かった! でも、おもしろかっだぎゅ!?」



 突然、ノアの首が後ろに反らされた。



「っつーか、他の人の迷惑考えようぜ」



 犯人は青筋立てているナーミだった。見事なドラゴンスリーパーが極まっている。



「すまなかったな。だが、俺たちには貴重な情報だった」


「お、お役に立てたようで何よりです」



 と、二人と一匹は受付窓口から離れる。



「ノア、ギブアップするか?」


「うぐぐ、ノーノー……」


「ちょうどいいや。寅さん、このまま練習試合やろうぜ。迷惑かけた詫びにはちょうどいいだろ」


「そうだな」


「と、寅さん、始めるなら、ちゃんと仕切り直ししようよ!?」


「みなさんに迷惑をかけたお仕置きだ。リング展開」



 寅が唱えると、ギルドの開けた場所にプロレスのリングが現れた。


 二人より先に寅がリングのコーナーに駆け上がり、



「さーさー、よってらっしゃい、見てらっしゃい。古今東西いろいろな格闘術があるが、これから見せるのはプロレスという、珍しい格闘術だ。二人の勝敗は二の次。ちょっとした見せ物と思って楽しんでくれ!!」



 ギルド内からやんややんやと歓声が上がる。


 酒場と併設されているのは、こう言うときに便利だ。



「おっしゃあ、行くぜぇ!!」


「ちょ、ちょっと、タンマ! うぎゅぎゅぎゅ!」



 ドラゴンスリーパーのままリングに引きずり上げられるノア。


 さすがにここまでハンデを負っては、ナーミに勝てる道理はなかった。




実はナーミも怖がっていたのはここだけのお話。


寅がいつの間に空間魔法使えるようになったとか、


コマケェコタァイインダヨォ!


まぁ、魔石を鬼のようにかじったときに条件は満たしていると思って下さいませ。


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