2-16 闘いの前のあおり
煽りがあれば、闘いは盛り上がるものです
「いい加減にしろ!!!」
突如として、クタローとは別の声が響きわたる。
ゆらりと現れたのは、不死の者達の王、リッチだった。
姿そのものはゾンビに近い。
半分は骸骨でありながら、まだ肉もそれなりに付いている。
しかし、存在感は比較にならない。
あふれ出る魔力の圧、確実な死の気配が、見る者を射竦ませる……はずなのだが、
「貴様が登場から拘るべきと申すによって控えておれば、延々と恨み言、八つ当たりを繰り返すばかりで、まるで呼び出さぬではないか!」
「やかましぃ! こちとら、60年延々とゾンビの中で過ごしてきたんだぞ! 美少女二人に囲まれて暮らしている野郎に、文句の一つでも言いたくなるのが人情ってものでしょうが!」
「一つどころで済んでおらぬではないか!! 放っておいたら夜が明けてしまうわ!」
「まだ、東の空は白んでないでしょうが!」
「白んでいたら、夜明けであろうが!」
出てくるなり、ヌイグルミと漫才を始めてしまった。
しかも、クタローの演説同様、まったく終わる気配が見えない。
「ねぇ、寅さん。出直した方が良くない?」
技の解説を受け終わってもまだ終わらない演説と漫才に、ノアはすっかり飽きているようだ。
「そうだなぁ、急ぎの仕事じゃないし、出直すか?」
「あたい、腹減ったぞ。ノアにジャーマンされたから、頭にタンコブ出来てるし」
「不可抗力」
「だからって納得できるか!」
「大丈夫、ナーミは頑丈!」
「頑丈だろうと痛ぇもんは痛ぇんだよ!」
「いたいの、いたいの、とんでいけ~」
「飛ばねぇよ!」
「お前等の漫才も大概だな」
いつの間にかノアがボケでナーミがツッコミをするのがお決まりになってきたらしい。
ただし、煽りに失敗して滑り出すと、滑稽でしかなくなります。
コマケェコタァイインダヨォ!




