2-15 喋るヌイグルミが現れた
なかなかおしゃべりなヌイグルミのようですよ?
「おそーい!!!」
教会の奥へ進むなり、二人と一匹は怒鳴り声に歓迎された。
「遅い、遅い、遅い!! あのね、ここは魔物の住処なの、危険なところなの。わかってる!? 人が突入してくるであろう相手を待ちかまえるために、ご大層にリングの結界を準備して、今か今かと待ちかまえていたらだよ、ええ? ノンビリ魔石をかじってピクニック気分で、美少女二人侍らせやがって。自慢か? 当てつけか? 60年間ここで延々とゾンビと過ごし続けた俺への嫌がらせか!?」
と、まくし立てているのは、丸々と太ったデーモンバッドのヌイグルミだった。
教会の奥には居住空間だったらしい部屋があり、おそらく食堂だろう。
それなりの広さがあるが、部屋の中央に四角いラインの魔方陣が敷かれている。
「えっと……」
「なんか、わりぃ」
「悪いですんだら警察いらねーんだよ!? ああ!? 本気で謝罪する気があるなら、まず俺の所にも美少女をつれてこいよ!! なんで、来る奴くる奴、むっさい男かマッチョな女だけなの!? せめて美少女が来て、防具破壊とかされて、きゃー、いやーん、とかいう展開を期待するんでしょうが!! 扱いってものがあるでしょうが!?」
もはやノアとナーミには理解不能な言葉が並んでいるが、デーモンバッドが血涙を流してまで訴えているので、二人とも何も言えなくなってしまう。
「あー、なんだ、とりあえずお前さんの境遇には同情するが……」
「同情するなら美少女をくれ!!」
「やらん。ゴロも悪い。あいにく、俺たちは討伐依頼できているだけでね。まず、名乗ってもらえないか?」
「はー、人に名前を聞くときは、自分からと教えてもらっていないんですかね、なんですか、イケボ野郎の特権ですか?」
「俺はしがない虎だ。フーテンの寅の字をつけてもらっているがな」
「かー、いい名前だねぇ~、こっちはクタローとか、訳の分からない名前を自分でつけるしかなかったってのに」
「それで、話を進めてもらいたいんだが、お前のレスラーであるリッチはどうした?」
「はぁ!? まだこっちは言いたいことが山積みだってのに、話をぶった切りますか!?」
「そうか。なら、好きなだけ話してくれ」
「おお、言いやがったな、この腐れハーレム虎野郎が! いいか、そもそもだなぁ!! おーー」
クタローは語った。
いかに自分が不遇であったかを。
人の怒りというものは、おおよそ5分で収まると言う。
しかし、彼の怒りは、もはや怨念とすら呼べるものであった。
60年間ひたすら不遇に耐え続けたことで、つもりにつもった鬱積は、何千、何万の言葉を連ねても、決して収まるものではないのだ。
「……ねぇ、寅さん」
「なんだ?」
「これ、読めなかったから教わってないんだけど」
「ああ、ゴー・トゥー・スリープって読む」
「どんな魔法?」
「まだ諦めてないのか。投げ技と蹴り技の複合技だ」
「やり方は?」
「……話が長そうだし、いま教えるか」
「なーなー、あたいにはデスバレーボムってのが新しくでているぞ」
「それは投げ技だな」
「どうやるんだ?」
「やり方は二つとも似ている。まずだな……」
話を人が聞いているかは、別の話。
どんな人がモデルか、ご想像にお任せします。
芸達者な方ですよ。
コマケェコタァイインダヨォ!




