2-14 魔石の味は……
おままごとで食べた記憶がある人もいるかも知れない味。
「これ、全部喰うのか……」
大量の魔石を前にして、寅はげんなりとしていた。
ノアとナーミにも協力してもらって集めた魔石の数は、百個以上。
寅の体積よりも遙かに多い。
試しに寅の収納腹の中に10個ばかり放り込んでみたが、見た目は全く変化していない。
全部腹の中に入るのだろうが……、
「今回のクエストはリッチの討伐だもん」
「そーそー、あたいらにレベル上げさせてんだから、寅だって魔力をあげて、色んな魔法を使えるようになってもらわねーとな」
少女二人に正論で詰められ、寅はうなり声を上げる。
確かに、今回の以来はリッチの討伐。仮に、後出しの依頼書をとったとしても、百体も必要とは思えない。
「まぁ、仕方ない……」
と、寅は魔石をかじり始める。
ひとかじりする度に身体に魔力が巡る。
しかし、考えてみてほしい。
例えば、目の前に白米のおにぎりが山盛りになっていたとして、一体どこの誰が”飽きずに”食べ続けられるだろうか。
「それにしても、味気ないな」
「魔石に味とかあるの?」
「ああ」
「どんな味?」
「土の味だ」
「……」
お世辞にも美味いとは言えない味。
ヌイグルミにも関わらず、寅には味覚があり、さらには”美味いものを食べた記憶”がある。
せめて苦かったり、しょっぱかったりしてくれたら、まだ救いもあろう。食感が食べ物のそれならば、まだ食べていると思いこむことも出来ただろう。
しかし、魔石の味は、陶器の食器を延々とかじっているようなものなのだ。
無心でかじっていなければ心がおれそうになるほどに苦行であった。
「それにしても、肝心のリッチが出てこねーな」
「ああ、それは俺も気になっていた。手下のゾンビとゴーストが吹き飛んだのに様子を見に来ないと言うのもおかしな話、だしな」
「もっと奥に行かなきゃいけないのかな?」
「ん~、ダンジョンとは聞いていないんだがな」
「じゃあ、ここで待っている?」
「ゾンビとかゴーストは倒せるから問題ねーぞ。寅さんの食べる魔石が増えるだけだしな」
「よし、奥にいこう」
これ以上魔石を食べたくない。
即決だった。
毒を喰らわば皿までとはいいますが、
毒すら入っていない皿を喰えとはなかなかな拷問。
コマケェコタァイインダヨォ!




