2-13 解禁された魔法
遂にあの魔法が解禁になります
「……ゾンビだらけだな」
教会の中は、大量のゾンビが闊歩していた。
おそらく、リッチが住み着いて以来、アンデッドの発生しやすい環境が整ってしまっているのだろう。
「ゴーストもいるな」
天井を埋め尽さんとするばかり
オバケ嫌いな人間が見たら卒倒しそうな数だ。
「パワーボムしていい?」
「教会が壊れるから禁止だ」
「ジャーマンも?」
「当たり前だろ」
「つーか、あたい、アレ触りたくねーんだけど」
「むしろ触れる?」
ドロドロのゾンビに組み付いて投げ技や関節技、と想像してしまい、ナーミは鳥肌を立てている。
ノアはゴーストを指さしながら首を傾げる。そもそも、飛び道具がなければ浮遊しているゴーストに攻撃する術は、余りに限られている。
「ヴァァァ…?」
と、一体のゾンビがノア達の存在に気づいてしまう。
「ヴァァァ!!!」
「え?」
ゾンビの習性の一つに、一体が獲物を見つけると、一気に集まってきてしまう。
そして、一体ならまだ我慢できても、どぶ色、鼠色、黄土色の色とりどりのゾンビ五十体以上が一斉に近寄ってくるとなると……、
「「うきゃあああっ!?」」
まだ年端も行かない少女二人には耐えられなかった。
「寅さん、アレ、キモい! 無理!」
「バカ! 魔物には変わりないだろうが!」
「生理的に無理!! あんなの、絶対に触りたくないっつーか、触れねー!」
「ええい、バカ娘どもが……」
といっても、寅とて二人の気持ちが分からないでもない。ゲームで武器や魔法を使って吹き飛ばすのとは違い、二人は武器を持っていないし、遠距離に放つ魔法があるわけでもない。
しかし、教会の屋内に入ってしまった以上、逃げ回るにも限界がある。
外に出ようとしても、すでにゴーストが入り口付近に集まっている。
「ノア、ナーミ、聞け!」
「なに!?」
「たった一つだけ、奴らにふれずに吹き飛ばす方法がある」
「教えて!!」
「けどな、それには、ナーミの根性が必要だ」
「あたい!? なんで?!」
「意地でも死なない根性だ」
「え、なにそれ、怖い」
「嫌なら、ゾンビに触るしかない」
「それは……」と迫り来るゾンビを見つめ「無理」と即答する二人。
「わかった。ノア、ナーミにジャーマンを仕掛けろ」
「え?」とナーミが固まり、
「いいの!?」とノアの表情が明るくなる。
「ジャーマンの効果は、仕掛けた相手ではなく、技の衝撃が周辺に及ぶ」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! ノアのジャーマンってめっちゃ痛いんだぞ!?」
「だから意地でも死ぬなと言っている」
「そんな無茶な!」
「ナーミ」と、ノアはナーミの肩に手を添えて、
「大丈夫、あなたの犠牲は決して無駄にはしないわ」
「ノアが聞いたこともない口調になっている!」
「ジャーマンスープレックス!!!」
「はくじょーものーっ!! ……ぎゃんっ!!」
きれいな人間橋が完成した瞬間、周辺に不可視の衝撃が走る。
周辺のゾンビ、ゴーストは一瞬にして消失。
後には、色とりどりの魔石が残っているだけだった。
「よしっ!」
小さくガッツポーズをするノア。
「おぼえてろ~……」
くの字になったまま、ナーミの恨み節が風に消えた。
一撃殲滅型。
ついでに集束型とか合ったら既に管理局の白い魔王さん
コマケェコタァイインダヨォ!




