2-11 ギルド長からの依頼
どちらのコングさんかはご想像にお任せします。
「さて、まず改めて自己紹介だ。あたしはこのティヌエーの街のギルドマスターをしているコングってもんだ。うちのバカが迷惑をかけた。すまない」
と、コングは深々と頭を下げた。
案内されたギルド長の部屋。
ソファに二人と一匹を座らせたと思えば、まずは謝罪。
その姿に寅は少し驚く。
言ってみれば、まだ子供の少女二人、しかも自分の所属するギルドの下っ端相手に、潔く謝罪をしてみせる。
なかなか出来ることではない。
「さて、これが報酬なわけだが……まだ、すんなり渡すわけには行かないんだ」
「どういうことだ? あれだけの啖呵を切っておいて、まだ疑うのか?」
「いや、違う。ちょいと、受け取る前にガールズトークってのをさせてほしいのさ」
「へんっ、ガールって歳じゃ……いえ、なんでもないです」
コングはひと睨みでナーミの軽口を封じてしまう。
見ての通りの女傑のようだ。
「さて、ガールズトークってのは、あんた達の職についてだ。二人とも、レスラーって申請されているね」
「うん」
「そうだぞ」
「それじゃあ、喋るぬいぐるみがオーナーってことだね?」
ぴくり、と寅の耳が揺れる。
「ギルドマスターはレスラーとオーナーのことを知っているのか?」
「いや、残念ながら違う」
「では何故レスラーとオーナーを知っている?」
「ま、焦りなさんな」
と、コングは背もたれに身体をゆだねる。
木製のソファが悲鳴を上げている。
「あたしらの管轄の中に、とある古い教会があるんだ。ここにリッチが住み着いちまっててね」
「リッチ?」
「金持ち?」
二人揃って首を傾げる。
「アンデッドの王のことだ」
「ほう、ぬいぐるみの方が博識だね」
「知識だけだ。それで、そのアンデッドの王が何故教会に住み着いている? 教会の司教から討伐のクエスト受注もあっただろう?」
「それがね、奇妙な話になっちまっていてね」
「奇妙な話?」
「リッチの周りには、丸々太ったデーモンバットのヌイグルミが飛び回っていてね、リッチはそいつの作った結界の中から出てこないんだ」
「結界?」
「曰く、この結界の中に入れるのはレスラーのみ、我の渇望を満たす者のみ、と来たもんだ」
「レスラーのみ? 渇望を満たすもの?」
「どうだい、ここまで話せば、あたしの言いたいことも分かるってもんだろ」
「ふむ……」
寅は腕組みをして考えて込んでしまう。
レスラーのみが入れる、渇望を満たす者を求める場所。
「ちなみに、そのリッチはいつ頃から出現している?」
「もう60年近いねぇ」
「そうか……」
となると、神様の思し召し、というやつではないらしい。否、もしくは、ここまで誘導されたと考えるべきなのか。
「寅さん、どうするの?」
ノアの声に、寅は諦めたように声を漏らす。
「避けては、通れないだろうな」
「よし、交渉成立だね」
と、コングは報酬の袋と一緒に、古びた依頼書を一枚添える。
みれば、報酬が一千万を越えている。
「金額を間違えていないか?」
「60年間放置された依頼書、なおかつ、相手が相手だからね」
「なるほどな」
「けどさぁ、適当なやつがレスラーって言って中に入っちまえば良かったんじゃねーの?」
「ああ、勿論そういう連中もいた。けれども、すぐに敗走してきたよ。結界の中じゃ武器も魔法も使えず、おまけにリッチがずいぶん殴り合いに手慣れているらしくてな」
「……肉弾戦の得意なリッチ……」
あまり想像が出来ないのか、ナーミが難しそうな顔になっている。
「逃げ帰ってきた連中の話を聞くと、コンビネーションとか呟いたらボコボコにされたあげく、最後には、なんて言ったか、ツームストン、とか呟かれた後、投げ飛ばされたらしいよ」
「寅さん、それって……」
「ああ、お前たちと同じだ。件のリッチは、間違いなくレスラーだ」
というわけで、新しい対戦相手が出て参りました。
リッチだとレアキャラですが、どんな展開かはお楽しみに。
コマケェコタァイインダヨォ!




