2-7 1+1は……2ではない
想像以上に息の合う二人のようですよ?
エーブの街からビーダブの街へ移動するには、馬車での移動したとして、1週間ほどの距離がある。
通常は山の麓の高低差の少ない街道を移動するのが一般的なルートで、迂回する分、時間がかかる訳だが、さらに旅が遅くなる理由がある。
三人の旅が、徒歩だと言うことだ。
「ふぃ~、だいぶ歩いたな~」
沢の畔でナーミが一息つく。
ノアもさすがに疲れたのか、足をもみほぐしている。
「この近辺にはリザードマンがいるらしい。あまり油断するなよ」
「ん~……もし出てきたらどうすればいい?」
「そうだな……フィッシャーマンズでも使ってみたらどうだ?」
「わかった~」
「あたいは真似事しか出来ねえんだよなぁ。ずりーの」
「ナーミはクロコダイル系が出てきたらデスロールを試してみろ」
「ああ、クルってして、頭の後ろけっ飛ばすやつな、わかった」
この世界の魔物もだいぶ種類が豊富で、リザードマンはトカゲの魔物、クロコダイルはワニの魔物、マーマンは亜人扱いとなる。
ちなみに亜人扱いになる区分けは、人型で共通言語を理解できるか出来ないか、それと、人間を補食対象にしているか、らしい。
簡単に言えばコミュニケーションがとれれば、人扱いというわけだ。
ざっくりとしているが、この世界の人間のルールなのだから仕方がない。
「寅さん! 出てきた!」
ノアの声に目を向けてみれば、川の対岸に5体のリザードマンの群れが現れた。
それぞれ手製の槍や斧を持っている。
こちらは人間とドラゴンニュートの少女が二人。格好の獲物と思ったのだろう。
「ナーミ! フォーローお願い!」
「あいよ!」
川を渡り始めたリザードマンたちに対し、ノアとナーミは並び立つ形で陣形を展開。
「ギャギャギャ!!」
リザードマンが全員で襲いかかる。
「グォォォォンッ!!」
そこにナーミのドラゴンハウリングが浴びせられる。
「ギギャ!?」
リザードマン達が竦むが、リーダー格だけはひるまなかったようで、ノアに向けて槍を振るう。
「フィッシャーマンズバスター!」
ノアはリザードマンの槍を受け止めるとそのまま組み付き、自分よりふた周り大きい相手を高々と持ち上げ、
「りゃあああっ!!」
頭からたたき落とした。
「ギギュ!?」
何が起こったか理解が出来ないのだろう。リザードマンは頭を振るが立ち上がれない。
「ラリアット!!」
そこにナーミのとどめのラリアットが炸裂し、リーダー格のリザードマンは霧散し、魔石だけが残された。
「ギギャギャ!!」
リーダーを失ったリザードマン達は、怒りを露わにして改めてノアとナーミに襲いかかる。
「ドロップキック!!」
「スピア!!」
ナーミが一体をドロップキックで吹き飛ばし、ノアが斧が振るわれるより速くリザードマンの胴体に身体を突き刺す。
「ギャフン!!」
「ギョブゴ!!」
ナーミのドロップキックで吹き飛ぶリザードマン。
そして、ノアのスピアによって、腹部に猛烈な衝撃を受けて胃液をまき散らすリザードマン。
「ギャギャイ!!」
動きが大きい二人の攻撃。
体勢が整う前にしとめようとするリザードマンの判断は正しい。
「ラリアットッ!!」
ノアはラリアットの必中効果を利用し、リザードマンの攻撃を避ける。
「ドラゴンスクリュー!!」
ナーミはリザードマンの斧を持つ手に触れると、その場で回転。
「ギギャア!?」
見たこともない動きだったのだろう、リザードマンの腕は武器ごと無惨なねじれ方を起こす。
「だっしゃああっ!!」
そこにすかさずノアが走り込みラリアット。
リザードマンが霧散する。
「ギ、ギギャァ……」
さすがにひるむリザードマンだが、もう襲い。
「スパインバスター!!」
ノアが一気に走り込みリザードマンの腰に抱きつき抱え上げる。
「デスロール!!」
さらにナーミが走り込み、空中後ろ回し蹴りをリザードマンの延髄にたたき込む。
さらにノアがリザードマンを地面にたたきつけて、三度リザードマンが霧散した。
「ナイス!」
「別にワニじゃなくても良かったな!」
二人がハイタッチをする。
昨日の長時間による特訓は、お互いの手の内を知るだけでなく、何時どこでどのタイミング出使うか、というところまでお互いを理解させ合っていた。
「ドロップキックとスピアの二体がまだ生きているぞ」
見れば、ドロップキックで吹き飛ばされた一体は逃げだそうとしている。
スピアを受けた個体は腹を押さえて悶絶中だ。
「まずこっちは……フィッシャーマンズバスター!!」
ノアが再びリザードマンを投げ飛ばす。
今度はダメージの限界値を越えたのか、リザードマンは霧散し、魔石だけが転がった。
「あっちは任せろ!!」
と、ナーミは走り出し、
「ドラゴンロケット!!」
と、リザードマンに向けて突撃。勢いのままリザードマンに突撃し、エルボーを炸裂させ、最後の一体を霧散させた。
ノア「あたしたちの1+1は2じゃないぞ!」
ナーミ「1+1で200だ! 10倍だぞ、10倍!!」
歴史に残る名言に忠実な二人でした。
コマケェコタァイインダヨォ!




