2-5 続、考えるヌイグルミ
考えるのはヌイグルミの役目のようです
「んぎぎ……」
「うにゅぅ……」
二人が寝苦しそうに寝返りを打つ。
夢の中でまで特訓中だろうか。
「頼むから、寝ぼけて技を掛け合わないでくれよ」
寝相でジャーマンスープレックスなどやられた日には、目も当てられない。
寅はぬいぐるみなので睡眠を必要としない。
おそらく魔石を核とした魔物に分類されるのだろうが、生物として分類されることはないだろう。
ただ、魔石を収納するだけでなく、自分の意志で”喰える”ことが分かった。
もっとも、収納しきれない魔石をかじってみたら食べれた、という偶然の産物だったが。
ノアから魔力供給を受けていると思ったが、どうやら「発動のキー」であって、ノアと寅は契約状態にある、というのが正解。
そして、ナーミと契約が出来たということは、また「何かのキー」になるのではないか、と勘ぐりたくなる。
もっとも、この契約、オーナーとレスラーという契約の「形式」も詳しく分からない。
夜の静寂の中、寅は一人思案する。
自分の職業は「オーナー」らしい。
この世界では、職業は基本的には自己申告だ。
こういう魔法があふれた世界には、教会で神からの啓示をうけて、勇者だ聖女だ大賢者だと騒ぐらしいが、それで飯が喰えるわけでもない。
単純に職業は職業、というわけで、この世界には殴り合いが得意な吟遊詩人やら、炎の魔法を得意とする料理人、デスクワークが得意な王国騎士、なんて珍しい人種がゴロゴロいる。
ところが、である。
ノアとナーミは「レスラー」とある。
この世界に、プロレスはない。アマレスもない。
つまり、自己申告が出来ない職業となる。
にもかかわらず、ステータスプレートには明記されている。
つまり、この世界には存在しないはずの”神サマの思し召し”というやつだ。
神様とやらが何者かは知らないが、明らかに何かに誘導されている。
ナーミの話では、オーナーと契約したレスラーは、種族の王者になるという。
だが、ここでいう王者とは、国を治める国王ではないだろう。
おそらく寅が知るところの”チャンピオン”というやつだ。つまり、ノアやナーミが種族の中で一番強くなる可能性を秘めている、というわけだ。
たしかに、単純な戦闘だけならラリアットだけで決着が付く。最強になる可能性は十分あり得る。
しかし、他にもオーナーがいる、という話が引っかかっる。
ノアとナーミ以外にも、この世界にはレスラーがいるということだ。
しかし、そのほとんどは埋没している可能性が高い。
なぜなら”魔法の使い方が分からないから”である。
他の魔法に比べて伝えることの出来る人間が少なすぎるのだ。
となれば、レベリングをある程度終えた二人にしてもらうことは……。
この世界の生き方はお金を稼ぐこと。
魔石集めがベストでも寅さんは違う考えをしているようです。
コマケェコタァイインダヨォ!




