2-3 続、寅の穴
年頃の女の子が原っぱでプロレスに勤しんでいるようです。
「おっりゃあ~!」
「うぐぅ~……」
ナーミのベアハッグに締め上げられ、ノアが顔を真っ赤にしている。
「ノア、ギブアップするか?」
「ノ~……」
レフェリー役の寅に、ノアは指を振り敗北を拒む。
宿を出て、ビーダブに向けて出発……ではなく、エーブの町近くの草原で戦闘訓練をしていた。
エーブの町は山と海に面しており、交易も盛んな町。
うまい飯と安くて良い宿があれば、レベリングにはもってこいの街である、という判断が下され、ある程度プロレス技を修得するまで、この街に滞在することになったのだ。
「くっ、しぶてぇな……!」
「んぐぐっ……」
ナーミは強烈な力でノアを抱きしめている。
ベアハッグは単純に相手を抱きしめる技だが、怪力のドラゴンニュートが使えば十分必殺になる。
ところが、ノアはなかなか降参しない。
殊の外、二人とも相当な意地っ張りらしい。
「だったら、このまま泣かす!!」
「んぎぎぎっ……DDT!!」
「なっ!?」
苦しんでいるノアがナーミの首を抱え込み、一気に背後に倒れ込む。
「んぎゃっ!?」
ナーミはきれいに頭から地面に突き刺さり、大の字に倒れる。その上に、ノアが必死に多い被さる。
「ワンッ、ツーッ、スリーッ!」
寅が三回地面を叩き、決着がついた。
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「納得いかねーっ!!」
一休みする間もなくナーミが食い下がる。
「DDTって、相手を麻痺させんだろ!? あんなの使われたら、三秒以内に動けるわけねーだろ!」
「だから私の勝ち」
「ずりーよ、寅! あたいにも教えろよ!」
「かけ方は分かっているだろ? 試してみたらどうだ?」
「よーし! ノア、もう一回勝負だ!!」
「いいよ」
一分後、ナーミ、敗北。
「なんでだよー! ちゃんと投げたじゃねーか!」
「ナーミ、魔法の一覧に、DDTは出ているのか?」
「無い。そんかわり、ドロップキックってのが出ている」
「となると、魔法の一覧に載っていない技を使っても、意味は無さそうだな」
「じゃあ、ドロップキックってどうやるんだ?」
「教えてやるからちょっと待て。ノアはどうだ?」
「ん、レベルが一つ上がってる?」
「なんだと?」
通常、レベルは魔物討伐などで上がるものだ。
今日はまだ、ナーミとの練習試合しかやっていない。
「となると、レスラーってのは、プロレスに勝つたびにレベルが上がっていくってことか? いや、プロレス技を使って勝つことでレベルが上がるのか? どちらにしても、とんでもないレベリング条件だな……」
「なぁ、寅さん、一人で納得していねーで、ドロップキック教えてくれよー」
「今は検証をしているんだから少し待て。ノア、魔法だけではなくて、スキルに増えた項目はないか?」
「スキル……受け身?」
「よし、それでいい。ナーミはどうだ?」
「あたいか? ……お、いつの間にか増えてんな」
「なるほど……よし、このまま続けよう。まずはドロップキックだな」
「待ってました! これでノアをギッタンギッタンに出来るんだな?」
「それはお前次第だな。応用範囲は広いからな。まずドロップキックの基本だが……」
と、寅は二人に実演を混ぜながら見本を見せる。
しかしながら、その後、ナーミよりノアの方が使いこなしていたのは、別の話。
レスラーに練習試合だけでレベルアップするというチート発覚。
お金にはなりませんが、肉体言語な魔法も修得できて一石二鳥。
経験値がどうなっているとか、コマケェコタァイインダヨォ!




