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ラリアットって魔法ですか?  作者: 道中木方
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1-18 物理法則を超えた先

序盤のハイライトです


「なぁ、あたいの知ってることは全部話したぞ?」



 ドナドナされているナーミは、先ほどとは打って変わって大人しくしている。



「もうあたいのものになってくれとか言わない。もう悪いこともしないからさ、見逃してくれよ……」



 このまま衛兵に突き出されれば、これまでの盗賊行為によって処罰される。


 言い逃れようにも、被害者が証言すれば一発で終わり。


 場合によっては極刑になることもありえる。



「悪いことをしたら罰を受ける。当たり前のことだ」


「だから、反省したって。負けたことも認める。このまま奴隷とかにされたら、あたい、生きていけねぇよぅ……」


「お前さんが強盗をして、路頭に迷わなかった人が居ないと思うか?」


「思う……」


「なら、罪を償え。それが奴隷堕ちなのか、極刑なのかは分からないがな」


「……」



 馬車は森を抜けて、広い農園地帯にさしかかっている。


 エーブの町まで、そう遠くない。



「わかった。あたいも、覚悟を決める」


「それがいい」


「勘違いするな。竜族は竜族に裁かれる。人族の道具にはならない」


「何だと?」



 ナーミは思い切り息を吸うと、



『アアアァァァッ!!』



 思い切り吠えた。


 あまりの大きな音に馬がおびえ立ちすくんでしまうほどの音量だった。



「ドラゴンハウリングだと!?」


「あたいだって腐ってもドラゴンニュートだ。竜の力は使える」


「だが、何のつもりだ!? 馬を足止めしたところでお前は逃れようもないぞ!」


「あたい一人、ならな」


「まさか……」



 寅は急ぎ馬車の外を見る。


 地面には巨大な影がうごめいていた。



「寅さん、上!!」



 ノアが指さす先には、巨大なドラゴンが翼を広げていた。



『ここにいたか!! 不良娘が!!』


 地響きをするような声。巨大な翼、紅の鱗、大樹のような尻尾に、雄々しい角、山のような体躯。


 レッドドラゴンの中でも、かなりの上位であることが伺いしれた。



「ちぃ、まさか仲間を呼ぶとはな」


「長! あたいはここだよ! 助けて!」


『……ナーミよ、助けて、とはどういうことだ?』


「え……?」


『まさかとは思うが、人間に負けた、などと言うことは、あるまいな?』


「え、えっと、その……」


『負けたのだな?』


「ちょ、ちょっとだけ、油断しちゃって?」


『誇り高き竜族の血を引くものが、人間に負けとらえられるなど、言語道断。きつい仕置きを覚悟せよ』


「だ、だから、その前に、助けてもらわなきゃお仕置きも受けられないんだってば!」


『ふむ……』と、レッドドラゴンは地上に降り、馬車を見下ろす。



 すでに馬は蛇ににらまれたカエル。


 キャーマは槍を手にしているものの、食物連鎖の頂点である存在を前にしては、焼け石に水だ。



『人間、その娘を放せ。我は竜族の長、タジラ・ドレイクである。その娘は我が同胞。人の手には余る者だ』


「悪いがそうもいかない」



 と、寅が馬車の前に進み出る。


 ノアもその隣で仁王立ちした。



『ほう、まさかオーナーがいるとはな』


「その娘、ナーミは盗賊として数多くの行商人を襲っていた。ただ闘って敗北しただけなら解放もするが、犯罪に手を染めていたとなれば、そうもいくまい?」


『……なるほど、道理であるな』


「お、長!?」


『しかし、我ら竜族には竜族の掟がある。いかにオーナーとはいえ、我に勝てる道理はあるまい』


「やってみなくちゃ、分からない!!」


『ほう、我を見て物怖じせぬとは……お前がそこのオーナーのレスラーのようだな』


「俺はこの子のお守りだ。契約なんてした覚えはない」


『名前を授かっているだろう。それが契約だ』


「そりゃあ、本を正せば、ノアのぬいぐるみだったからな……」



 どうやら、動き出す前から契約は終わっていたらしい。



『だが、おろかなことよ。いかに、世界最強の力とて、この体躯の差は埋め難かろう!!』



 タジラは突然背中を見せたかと思うと、大樹のような尻尾を振り回した。


 砂煙を巻き上げながら、巨大な尻尾が迫る。



「ノア!!」


「うん! トラースキック!!」



 ノアの右足がタジラの尾を弾いた。



『なに!?』


「尾を捕らえろ!!」


「うん!! DDT!!」



 ノアは尻尾の先端にしがみつき、そのまま地面に倒れ込む。



『ぬおっ!?』



 DDTには麻痺させる効果がある。強制力は、ドラゴンにも通じたようだ。



「決めろ!」


「ドラゴンスープレックス!!」



 ノアがタジラの背を駆け上がる。



『な、なんだっ!? なにをしている!?』



 身動きがとれないタジラは戸惑うばかりだ。


 背を駆け上がったノアは、今度は翼の先端へと走る。



「ドラゴン殺法は、竜族に特効があるらしくてな」



 寅がニヤリと笑みを浮かべる。


 翼の先端へたどり着いたノアは、いちばん先っぽ腕で抱え込むと、体操の鉄棒選手のように身体を振る。


 すると、魔法の効果だろうか、タジラの翼が強制的に動き、背中で揃う。


 そして、その先っぽには、両方の翼を腕に抱えた、豆粒のようにしか見えないノアがいた。



「ノア、ぶちかませ!!」


「んんんんだりゃあああああっ!!」


『ば、ばかなっ!? ぬぉおおっ!?』



 タジラの巨体が引っこ抜かれた。


 虹のような大きな弧を描き、まるで爆弾が落ちたような轟音とともに、後頭部から大地に突き刺さった。


 そのまま「くの字」の状態で固まってしまう。



「……勝った」



 ノアは、その上で右腕を掲げる。


 人がドラゴンをぶん投げて倒した、歴史的瞬間だった。





まぁ、こういうネタを書きたかったと言うね。


ドラゴンスープレックスもこの世界では魔法なので、


コマケェコタァイインダヨォ!


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