1-18 寅さん尋問中
ナーミは縛り上げられたまま馬車で運ばれているようです
街道を進む馬車の中、寅はナーミの尋問中。
「つまり、喋るヌイグルミってのは、俺だけじゃないんだな?」
「そうだよ」
「そして、ラリアットって魔法を操るのは、お前だけじゃないんだな?」
「種族の王者となるべき者にだけ使えるって言ってた」
「それは誰がだ?」
「あたいらの先代の長んところにいたヌイグルミ」
「じゃあ、別に俺をどうこうしなくても、先代の長のところにいるというヌイグルミにオーナーになってもらえば良かったんじゃないか?」
「先代の長が寿命で死んだときに、いつの間にかいなくなってたんだよ」
「ふむ……オーナーと契約したとして、お前はどうなる?」
「契約したやつは、レスラーって呼ばれるらしい。王者の中の王者になる為の資格を得るもの、って耳がタコになるくらい聞いた」
「お前の長は、ラリアットの他に知っている魔法は無かったのか?」
「知らない。あたいが使えたのはラリアットだけだから、他にあるなんて思わなかったし」
「だが、お前のステータスプレートには魔法の名前が出ているだろう」
「名前が出ていても使い方なんかわかんねーもん。っつーか、ラリアットだけあればどんな相手でもぶちのめせるし」
「ラリアットを同族に使ったことは?」
「もちろん、あるぞ。みんな一発でグロッキーだったぜ!」
「死ななかったのか?」
「もし死んでいたら、あたいは一族から追放だよ」
「なら、何故盗賊の真似事なんぞしていた?」
「喋るヌイグルミ探しが楽に出来るかなと思って」
「なるほどな」
寅は納得顔でうなずく。
「寅さん?」
「どうやら、俺の存在意義ってやつは判明したらしい。まだ合点がいかない部分もあるが……」
ナーミの言い分が正しいと仮定すると、ノアには人類の最強の王者となる素養があるということになってしまう。
まだ成人もしていない小柄な少女が背負うには、余りに過酷な運命だ。
そもそも、ノアは吟遊詩人と踊り子の娘だ。
どう考えてみても、最強を目指す血筋ではない。
となれば、これもまた、情報の一端でしかないと仮定しておくのが良いだろう。
「寅さん、どうしたの?」
「いや、なんでもない」
「ところで、寅さん」
「……たぶん魔法じゃないぞ?」
「一応ね」
ノアのステータスプレートには、ドラゴンスープレックスと書いてあった。
「魔法ですか?」
「投げ技」
「知ってた」
馬車が森を抜けた。
ヌイグルミの存在の一部が判明しました。
ナーミが残念な子であることがさらに証明されました。




