1-17 ドラゴンスリーパーの効果
ノアは新しく覚えた絞めわゲフンゲフン……魔法を使うようですよ?
寅は馬車を降り、ノアの足下まで来た。
「寅さん?」
「ノア、アレを使ってみろ」
「アレ……わかった」
ノアがナーミに向き直り、新しい魔法を唱える。
「ドラゴンスリーパー」
「絶対泣かす!! ラリアット!!」
ナーミが再び右腕を振るう。
ノアは屈みつつ、ナーミの身体にタックルし、素早く背後をとると、右腕と首を抱え込む。
「な、なんだぁ!?」
「えいっ!」
「んぐぁっ!?」
立ったままの状態だが、ドラゴンスリーパーが決まった。
「な、なんだ、これ? うぐぐ、全然、動けねぇ……」
「降参する?」
「し……しねーよ、バーカ!」
「ふんっ」
「んぎゃぎゃぎゃ!!」
「降参する?」
「しねーって、言ってんだろ、チビ!」
「ふんっ」
「あがががっ!!」
「降参しろ」
「ペチャパイ!」
「シネ」
「んぎゃああ!!!」
意地でも負けを認めないナーミ。
減らず口のせいで余計なダメージを受けている気がするが、きっと気のせいだろう。
「ドラゴンスリーパー。どうやら、竜族に特効があるようだな」
「そうなの?」
「考えてもみろ。尻尾を振り回すなり、暴れさせるなりすれば逃げられそうなのに、まるで動かないだろ」
「この子が残念なだけなんじゃないの?」
「確かに」
「人のこと残念とか言うんじゃねー! ちくしょーっ!」
ナーミは懸命に逃げようとしているが、どうやら本当に動けないらしく、尻尾も弱々しくしか反応しない。
「さて、ここからは交渉だが」
「あたいのものになるか!?」
「ふんっ」
「んぎゃぎゃぎゃ!」
「学習能力のない奴はお断りだ……衛兵に突き出す前に答えろ。お前は俺の何を知っている?」
「答える代わりにあたしのものになるか?」
「ふんっ!!」
「んぎゃぎゃぎゃぎゃ!!」
「本当に残念な娘だな。ノア、もういいぞ、締め落とせ」
「ちょっ、ちょちょっと待った!! わかった、話す! 話すから、まずこの技を解いてくれよ!!」
「話すだけならそのままでも出来るはずだ」
「じゃあ、あたいも話さない」
「ふんっ」
「んぎゃあああ!」
三歩進んで二歩下がるような交渉は、ナーミの体力が尽きるまで延々と続けられた。
************************
「ひぃ、ひぃ……も、もう、勘弁して、反省、したから……」
「なら、洗いざらい全部話せ」
「け、けど、本当に、これ、解いて……ほんとに、死にそう……」
「……まあ、仕方ないな」
「寅さん?」
「キャーマさん、荷物を縛るロープを貸してもらえないだろうか?」
「ええ、構いませんよ」
すっかり待ちぼうけしていたキャーマからロープを受け取ると、寅はくるくるとナーミの足やら腕やらに巻き付けていく。
「よし、ノア。解いて良いぞ」
「わかった」
ナーミの身体は見事なエビ反りの状態になっている。
右手首と右足首、左手首と左足首を結ばれており、まるで自由が利かない。
「あ、あの、さっきの首締めの方が楽だったんだけど?」
「さ、詳しい話は馬車の中で聞こうか」
「えっ?」
寅の言葉にナーミが顔を青ざめさせた。
プロレス技を掛けられたのにギャグが止まらない残念な子。
色気のかけらも無いところがこの作品のジャスティス。
コマケェコタァイインダヨォ!




