1-13 寅さんの考察
寅さんの考察回。ラリアットの立ち位置ですな。
「もー、食べられない……」
魚と鳥を浴びるほど食べ、ノアは仰向けにひっくり返っていた。
「あれだけ食べれば当たり前だ」
寅はノアのすぐ横で魚祭りから鳥祭りに移行した村の広場を眺める。
食料が豊富とは言えない田舎の村だ。
村人達は腹八部目で食事を終え、余った肉は燻製にして保存食にするようだ。
「そういえば、寅さん」
「なんだ?」
「何でロックバードは魔石にならなかったんだろ?」
「それはおそらく、魔力で魔石が破壊されなかったから、だろうな」
「どいういうこと?」
「ここからは俺の推論になる」と寅は前置きをした上で、
「ラリアットに即死効果があるのは、おそらく魔物の心臓である魔石に直接作用しているからだ」
「よく、分からない……」
「そうだな……仮にHPというものが生命力、MPというものが魔力と考えてくれ」
「うん」
「通常、魔法や武器による攻撃を受けた場合、HPが無くなっていく。このHPが全部無くなると、死んでしまう」
「うんうん」
「MPというものは、魔法を使うときに使う力だ。これが空っぽになると魔法は使えなくなるが、死にはしない」
「なるほど」
「普通に考えれば、ラリアット一発でHPが無くなることはない。だが、ラリアットの即死効果はおそらくMPに作用している」
「魔力、に?」
「そうだ。瘴気によって形を作られた魔物達にとって、魔力は肉体を保持するのに欠かせない力だろう。ところがラリアットは、この魔力を強制的に0にしてしまう。だから、ゴブリン達は身体を失い、魔石になった」
「なるほど」
「当たり前だが普通は肉体が残る。つまり、お前が規格外だったって訳だ」
「じゃあ、本当は死んでも魔石にはならない?」
「今回のロックバードは、トラースキックだけじゃ絶命しなかった。つまり、トラースキックは魔法だが、MPを強制的に0にする即死効果は無かった、と考えるのが正解だろう。最後には村人の物理でタコ殴りだったから、魔石にはダメージが届かない。HPが無くなり、絶命。MPが残っているから身体は消滅しなかった……。ま、あくまでオレの推論だがな」
「ふーん……?」
ノアは仰向けのまま首を傾げ、
「……あたし、お肉、無駄にしてた?」
「ゴブリンもスライムも食用にならんからいいんじゃないか?」
言われてみれば……、とノアは今まで倒してきた魔物を思い返す。ゴブリン、スライム、ゴブリン、グローウルフ……先ほどのホーンフィッシュドラゴン以外、食べたくなるような魔物に行き当たっていなかった気がする。
「まぁ、巡り合わせもある。今後、食べられる魔物はトラースキックでしとめるのも良いかもしれないな」
「……なるほど。ところで、寅さん」
「次は何が魔法だと思う?」
「ドラゴンスリーパーって魔法ですか?」
「締め技だな」
もう夜更けだ。
魔力強制0砲撃。
つまり人間にぶちかませば強制グロッキーです。
まぁ、寅さんに細かく一端を説明して貰いましたが、
コメディを楽しむ上では、コマケェコタァイインダヨォ!




