1-12 空からの襲来
魔物と言ってもお腹は空くんです
「ピィィィッ!!」
村に突然鳴り響いた鳥の声。
「ロックバードだー!!」
村人の誰かが悲鳴を上げる。
寅はすぐに走り出した。
「鳥の魔物か。まさか夜に襲うタイプがいるとはな」
「いえ、ロックバードは夜行性ではありません。おそらく匂いに引かれたのでしょう」
「なるほど。見たところ、属性も無いようだし、これなら押さえられるかもしれん」
と、逃げまどう村人に反して、ホーンフィッシュドラゴンを守るように仁王立ちしていたノアの肩に駆け上がる。
「ノア!!」
「唐揚げは渡さない!!」
「お、おう、心がけは立派だ」
「ラリアットでぶっ飛ばす」
ノアは今にも飛びかかりそうな勢いだが、悲しいかな、相手は鳥である。
「降りてこーい!!」
獣の本能なのか、ノアを警戒してロックバードは空を旋回するだけでだった。
「うぃ~、魔法が使えれば打ち落とせるのに」
「まあ、待て。確かに飛び道具がほしい局面だが、奴も結局は鳥だ。降りてこないことには飯にはありつけない。あわてることは無いさ」
「うん!」
ノアはロックバードを睨みつけ、
「ラリアット」
と唱えた。
ラリアットは相手に対し、必中の効果がある。当てるまではいかなる反撃も避けることが出来る。
ロックバードがどんなタイミングで仕掛けてこようと、唐揚げも天ぷらも守ることが出来る。
そう考えていたが……。
「……降りてこない」
「だな……」
獣の本能恐るべし。
ロックバードは旋回をしているだけで、まるで高度を落とさない。
本当に料理を狙っているのか疑いたくなる。
いや、事実警戒しているのだろう。
本来、自分の姿を見れば蜘蛛の子を散らすように逃げていくはずの人間が、たった一人で食い物の前に立ちはだかっているのだから。
どれくらいにらみ合いが続いただろうか。
料理もすっかりさめる具合になったが、ロックバードの旋回は未だに終わらず、時間だけが過ぎていく。
「……寅さん」
「どうした?」
「待っているの、つらい……」
みれば、ノアはロックバードを睨みつけながら、脂汗を流している。
「仕方ない。ノア、一度ラリアットを解除しろ」
「で、でも……」
「その代わりにトラースキックを準備だ」
「う、うん」
ノアは一度力を抜き、ラリアットを解除する。
その瞬間、ロックバードは突然身を翻した。
「やはり、ノアの魔力を警戒していたな」
上空から一気に襲いかかるロックバードの爪。しかし、カウンターを取るならば、ラリアットよりも……。
「トラースキック!!」
ノアは大きく叫ぶと、身体を沈めつつ、ロックバードに向けて横蹴りを放つ。
ズンッ、という衝撃の音とともに、ロックバードの腹にノアの足が突き刺さる。
一撃で昏倒したのか、ロックバードは涎をまき散らしながら、轟音とともに倒れた。
「いまだーっ!!」
ズキケの号令と共に村人が思い思いの武器を持って飛び出してくる。
哀れ、ロックバードはそのまま袋叩きになり、村人に肉と羽と素材を提供することになってしまったとさ。
「疲れた~……」
一方ノアは疲労困憊になっていた。
全身から汗が吹き出し、安堵したように座り込んでいる。
これまで何度もラリアットを使ってきたが、ここまで疲弊するのは初めてのことだった。
「……なるほどな」
「なにが?」
「ラリアットだ。いくら殴打する技と言っても魔法だ。唱えてから放つまでの間、ずっと魔力を使い続けるんだ」
「じゃあ、唱えた後ずっと待っていたから?」
「その状態ってわけだ」
「そっかぁ……」
「これまでは唱えてから短時間で放っていたから問題なかったが、様子を見てくるような相手には、使いどころが難しくなりそうだな」
「わかった。気をつける」
二人が話している間に、ロックバードはきれいに解体され、香ばしい臭いを漂わせ始めていた。
村人の数の暴力最強説。
さて、なんで魔物が魔石にならなかったか、ですが、
コマケェコタァイインダヨォ!
……いえ、ちゃんと設定はあるのですけどね…。説明する人がいなけりゃタイミングもない…。




