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010⚫️ピンチ

彼の義父、つまり、妻の父が永眠した。92歳だった。

その数日前から、彼は休む間もなく奔走した。

医師から告げられる病状の急変、緩和ケアの手続き、そして未明に届いた訃報。

親族はそれぞれ遠方に住み、子育てや仕事に追われながら、なんとか対応しようとしていた。その主な役割を、誰かが背負わねばならない。


葬儀の前日。湯灌に立ち会うため、彼は朝から準備を始めた。しかし、妻は目覚めると洗濯を始める。妻は遂行障害でもあるため、計画・時間管理が苦手だ。

やっと出発できたのは、ギリギリ。妻の機嫌は悪い。


帰宅途中も、妻は混乱しているのかもしれない。父の死を受け止めきれず、感情が不安定なのだろう。理不尽な要求は止まらなかった。


家に着くと、彼はすぐに眠りについた。もう、膝も身体も限界である。

突然、妻が彼を起こす。宅配が来た。玄関で受け取れ、と。

よろめきながら、服を着替え、受け取りにいく。だめだ、歩けん。


明日は告別式である。

その後、土日で閉庁していた役所に連絡しなければならないことがある。

まず、公職についていた義父の訃報を知らせなければ。

高齢の義母以外のものが死亡届を提出する場合の詳細については、ホームページや手続きナビにあるのだが、痒いところに手が届かない。祝日を挟むため、期日が迫る。

相続については、さらに複雑である。この諸問題に対処できるのか。弁護士や司法書士、税理士に任せることを、遺族はよしとするのか。


これは絶体絶命のピンチなのか?

いや、そうではない。もっと苦しいことがあるはず。でも、今が苦しい。

ロイやジンなら、こんな時でも冷静に策を練るのだろう。だが、今の自分には、ただため息をつくことしかできない。

彼は深いため息をつき、重い足を引きずって、明日を迎えるために再度、ベッドへと向かった。


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