088⚫️遠い昔に見た光
いかん!腹に被弾している!
上着引き裂く!止血だ!
くっ、止まらん。・・・まて、撃ったやつが見えん!
そういえば、音は遠かった。狙撃か!
イヨがあぶない!
抱き寄せる。エイミーを引きずる。
周りの人たちが人垣を作る。くそっ、邪魔だ!
まずい!次弾が来る!あぶない!
遠い銃声!・・他人事と眺めていた男が、肩から血を出して倒れる。
続いてその横の女も!連射式か?!
人垣が崩れ、四方八方に散り散りに逃げていく。腰を抜かしたヤツもいる。
エイミーを抱え、イヨの盾ともなりながら車に着く。
ライフル弾は防げる。後部座席に寝かせる。病院だ、医者だ!
だめだ、間に合わん!この出血量ではもたん!
エイミーが俺の手を握る。何か言いたそうだ。
わかってる。イヨだな。大丈夫だ、あんたが守ったんだ!
ちくしょう、ジンはどうした?肝心な時にいないなんて!あの馬鹿野郎!
俺の心は、どうしようもない苛立ちと八つ当たりで、張り裂けそうだ!
目を瞑るんじゃない!エイミー!
その時、急に車内の時間が止まった。
外の喧騒が遠のき、音が聞こえない。・・・イヨが・・・光っている。
柔らかな光。温かい。
なんだ・・・この平穏な・・・。
どこかで、遠い昔に、こんなことがあったような・・・。
イヨの手がエイミーの腹部を覆う。
小さな手が大きく見える。
感じる。何かがエイミーの中へ。
エイミーが、静かに目を開ける。
おい!エイミー!エイミー!!
「・・・アキラ、相変わらずショボクレた顔ね。・・・やだ、なに泣いてるのよ・・・。」




