008⚫️ヴァルターと特注雷牙’魔王’
ラベリアの田園を歩く。久しぶりだ。
ここで家族と暮らしていたのだな。もう、とっくに誰もいない。
どこへ行ったのかも、わからん。
儂を訪ねてくるのは、偽物ばかり。
兄の子どもの従兄弟の孫の叔父の兄の妹の姪の近所の人、など知るはずもない。
やれ金をくれ、寄付をしろ、
力を貸せ、有力者を紹介しろ、そんな奴らばかりだ。
この森で、幼少の時遊んだものだ。こんなに小さな池だったか?
儂が大きくなったからだろうな。
うん?ほぉー、めずらしく殺気だ。
だが、目立ちすぎる。
素人同然だ。・・・来るか?!
ヴァルダーに斬りかかる、その数、14人!
槍を持ったものも、重装備の防具の者もいる。
やれやれ。この程度の腕で、何をしたかったのだ?
心配するな。雷牙で撃っただけだ。
実剣側は使っておらん。死なんよ。
誰の仕業か、しっかりと聞かせてもらおうか!
「ヴァルターさんが、襲われたの?向こう見ずな連中ね。」
「いや、本当に瞬殺だったそうだ。殺してはいないけど。」
「雷牙だったから?でも、ヴァルターさんの一撃なら・・・。」
「そう、普通に考えれば、無事では済まないな。」
「ということは、本気で撃ったわけじゃないのよね、きっと。」
「ウィルフレッダ、あの時、よく凌いだよな。何度、太刀をあわせたんだろう?」
「君があのとき、わたしの頬に手をあててくれていなければ、勝敗は変わっていたよ。」
「昨日のことのようだね。」
「でも、なんだか懐かしい。」
何年たっても、仲のよいふたり。
しかし、暗雲は近づいている。




