035⚫️これは恐怖
「なんだって?家畜だと?あの惑星人類が?!」
わたしは、思わず大声をあげてしまった。
「シィー。艦長、お静かに。」
「そやかて、クドー・・・。それが研究機関の結論なんか?」
「最終レポートはまだです。しかし、ほら、この中間報告2を・・・ここです。」
クドーは冷静にタブレットの画面を指差した。
「・・・’モササウルス’内で発見された人骨には、関節部の切断痕や、歯型のような削り跡が確認された、とあります。」
報告書を読み上げるグレッグの声が震える。
さらに、自分たちが惑星で発見した、1万年前に絶滅した人類と遺伝子が極めて近いという事実。
「つまり、天竜神に連れ去られた人類は・・・調理されていた・・と?」
クドーは無言で頷く。
「ええ。それに中間報告1の’惑星人類は1万年前の絶滅まで天竜神を崇拝していた’という記述。遺伝的な記憶や宗教的儀式を通じて、恐竜人が意図的に信仰を植え付けた可能性があります。」
「・・・恐竜人が惑星で人類を家畜化し、それを食糧とするために伝説を広め、定期的に採取していた・・・。」
わたしは、最悪の可能性に思い至る。
「’ティラノサウルス’、’トリケラトプス’、そして’モササウルス’・・・。少なくとも3隻の戦艦があるのなら、他の惑星も、同じように養殖場にしていた可能性があるのか。」
「そうです。・・・もしかすると、我らの地球も・・・。」
クドーの言葉に、冷たい汗が流れる。
「クドー、貴官のその考えを、他の誰かに話したことはあるか?」
「いえ、艦長にのみに、お話ししています。」
わたしは、息を整え命令した。
「誰にも伝えるな。最終レポートが出て、それが公開されたとしても、だ。」
クドーは、わたしの言葉に黙って頷いた。
「艦長、冷静ですな。お国言葉がでていません。」
「・・・興奮ではないな。全身に汗をかいている。これは、怒りでも、驚きでもない。・・・恐怖だ。」




