021⚫️宇宙恐竜
エンターサプライズ号。それは、銀河連邦テラ宇宙軍が誇る調査艦隊の一隻。総艦数10、伝説の艦長’コロッケ’が率いる、名高き艦隊の一翼である。
「という書き出しでどうでしょう?」と’その他’。
「それが小説の始まりなのか?美化しすぎじゃないか?」とわたし。
「でも、フィクションなんだから、いいんじゃないの?」と’操舵手’。
「書きあがったら公開するんでしょう?」と’おまけ’。
「ですが、軍事機密についてはいけませんよ。」とクドー。
「わかってますって。よおし、完結までがんばるぞお!」
我々がこんなに余裕があるのも、目的宙域には、まだ距離があるからだ。
艦内体感時間で、あと72時間はある。
今回の調査の目的は、謎の浮遊物だ。
微かにエネルギー反応もあり、単なる自然物か、
あるいは人工物なのか判然としない。
どちらにしろ、
銀河連邦テラの領宙域ぎりぎりのところにあるため、調査が必要となった。
「捕捉しました。目標の浮遊物です。」’その他’が言う。
「映像、出します!」’おまけ’が素早く、コンソールで操作する。
うん、元気があってよろしい!
うわっ?!なんやこれは?
この形、恐竜やん!ティラノサウルスや!
艦橋は一瞬、沈黙に包まれる。イカン、次の行動指示や!
「’操舵手’、微速前進!’おまけ’、探査機、射出準備!」
「’操舵手’、了解です。」
「’おまけ’、了解しましたあ!」
次々ともたらされる情報を、共有しながら検討する。
「人工物としか、考えられないフォルムですな。」
「そうやな、クドー。あれが自然物なら、保護団体がだまってへんやろな。」
「しかし、艦長、あれが人工物だとしたら、この宙域まで、誰かが来たことになります。」
「うん、’その他’の言うとおりや。データ照会してみてくれ。」
人工物ならば、かなり大きい。
頭の先からシッポの先まで、10kmはある。
我が宇宙海軍の最大艦を遙かに上回る巨大さだ。
「探査機、目標に接近。着陸します。」
「小型探査車を出して、調査を開始してよろしいか?」
「許可する。慎重に頼んだぞ。」
表面の、おそらく破損でできた穴から、探査車が潜り込む。
・・・あれは何だ?
「どうも・・・操縦席らしい感じですよね。」と’操舵手’。
「サイズもわたしたちとほぼ同じぐらいですな。しかし、背もたれの下部に穴があいてますね。」とクドー。
「恐竜人がシッポをいれるため?かな?」と’おまけ’。
「まさか・・・。」とわたし。
「でも、いい線、いってるかも?」と’操舵手’。
司令部へのデータ照会は空振りだった。
引き続いて行った調査の結果、この浮遊物は巨大な船、
というか、戦闘艦ではないか、という結論に達した。
ティラノサウルスの、’口’というべきところに、明らかに巨大な砲塔が認められた。
残念ながら、生存者もその亡骸も見つけることはできない。
だが、生活をしていた、という痕跡は多々見つかる。
モニターに探査車からの映像が次々と映し出される。
「これは食事のあとかな?お皿っぽいですよね?」
「こっちのタンクみたいのは、水を貯めてたんじゃないですか?」
「推進機関の仕組みは、よくわかりませんが、まあ、我々と似たようなモンでしょう。微弱なエネルギーの発生場所はここで間違いありません。」
「相当な年代モノですね。」
「大体でいい、どのぐらい前のもんだ?」
「うーん、6000万年から7000万年前では、と人工知能は言ってます。」
時間の経ち方が同じなら、テラには人類の影も形もないころだ。
「あっ!恐竜の口が開きます!エネルギーの集積を確認!」
「口の砲塔が本艦を向いています!」
「緊急回避!退避行動、任せる!」
「了解!」
’操舵手’が舵を切る。
間髪を入れず、高エネルギー収束波が艦をかすめる。
「あぶなかったあ!」
「第2波に備えて、急速離脱!」
不規則航跡を描きながら、’恐竜’から離れる。
エネルギー収束波が来る!
’操舵手’ナイス!さすがマリカさん!
「反撃しますか?!」
「しゃあない!気が進まんけど、撃つで!あの口の中の砲塔だけ、叩き潰すんや!僚艦の砲塔も同期するで!」
「全艦、発射準備OKです!」
「第3射来ます!」
「撃てえ!」
宇宙空間に、閃光が走る。
ビームが交差し、命中!
よっしゃあ!




