015⚫️リクルート
警備隊って、制服をバシッと着て整然と歩くものだと思ってた。
でも、ここは違うんだよな。
普段の服装のままで、しかも武器も持たず、ただ歩き回るだけなのか。
それで給料がもらえるなんて、こんなにいい仕事、他にないよな。
あっ、おばあちゃん、こんにちは!今日も元気?
うん、うん、ボクもがんばるよ!ありがとう!
ここに来て最初に知り合った人だな。
あのおばあちゃん、ほんとにやさしかった。
ボクがこの仕事を選んだのは、あの人みたいな誰かを、守りたかったからなんだ。
いやあ、危なくあんな誘いに乗るところだった。
あの頃は自暴自棄だったからな。
お金もらって、他所で暴れるだけって、
簡単でいい稼ぎになると思っちゃったもんなあ。
ほんと、食べるものにも困ってたし、えらそうな連中は奪い取るだけだったし。
あっ、スクールに行くの?気をつけてね!
でも、ここはちがう。みんなが助け合ってる。
他所者のボクにも、まるで家族みたいに親切にしてくれた。
プログラムでいろんな学びがあったのは、本当に助かった。
あれっ?あのころのボクのような臭いのする男がいるぞ?!
声をかけてみよう。
いや、だいじょうぶ、なんにもしないよ。
見てよ、武器なんかもってないから。えっ、ボクの言葉のなまり?
うん、うん、そうだよ、そこの生まれだもの。
キミもそうなの?いやあ、奇遇だね!
あっ、知ってる、知ってる!隣の村だもん!
へっー、暮らしに困ってたんだ。ボクと同じだよ。
今?うん、ここで仕事してるよ。食べ物も美味しいしね、
いろんな支援もあって居心地いいよ。
もちろん、紹介するよ。
というか、ここでは誰でも、自分に合った仕事を自由に選べるんだ。
迷ったら、相談すればいい。ちゃんと聞いてくれる人がいるから。
そうだね、じゃあ、行こうか!
でも、その前に食事だ!いい店、知ってるんだ!
リクルートが新たなリクルートを生む。
彼がかつて抱えていた敵意や悪意は、おばあちゃんの優しさ、
通学する子どもたちの無邪気さ、そして新しい仲間たちの共感によって、
やがて感謝と希望へと変わっていった。
そして今、彼はその感謝を、新たな者に手渡そうとしていた。




