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――D――  作者: 山目 広介
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 検査結果は栄養不足。そうとしか思えないものだった。

 しかしアイシアも普通に食べていた。

 何が問題だったのかが分からない。

 お粥やらうどんやらスープなどを与えて様子を見ていた。

 だが一向に良くならない。栄養を与えているのにもかかわらず、栄養を吸収しないのだ。

 もしかしたら、これがコールドスリープで眠っていた原因なのだろうか。

 そう思い、緊急で本部へと連絡を取る。

 それで訴えた。彼女を、アイシアを助けてくれ、と。

 連絡を受けた担当者はこちらのことを全くと言っていい程、状況を理解していなかった。

 業務連絡は定時報告で上げていたはずなのに、だ。

 仕方がないので上司を呼んでもらうことにした。

 上司はいつもいつも忙しい忙しいとなかなか連絡に出てくれない。

 それでも今回は人命が掛かっているのだ。嫌でも出てもらう。そのつもりで連絡をした。


(まこと)、連絡が遅れてすまなかったな」

「そんなことはどうでもいい。アイシアが死にそうなんだ」

「あぁ? アイシアってのは誰だ」

「報告書読んでないのか。遺跡にあった棺にコールドスリープで寝ていた少女だよ」

「ああ、思い出した。なんで死にそうなんだ」

「それが分からないから連絡を取っているんだよ」

「ふむ。報告書にはちゃんと状況は全部書かれているな?」

「ちゃんと書いてあっただろ。読んでないのかよ」

「他の案件が忙しくて、流し読みしていた。ちょっと調べるから時間を稼げ」

「どうすればいいだよ。とにかく早くしてくれ」

「栄養与えて安静にしていろ」

「栄養失調なんだよ。点滴もしたんだよ。どうすりゃいい?」

「検査結果はどうした?」

「検査結果を後回しにしたのはそっちだろ」

「ああ、すまん。とにかく急ぐ。そこは地下か?」

「地下だ。中継機を置いている」

「分かった。調べが付いたら連絡する」


 アイシアは呼吸も荒く、寝ているのに辛そうだった。元から白かったが、顔色が病的に白くなっている。

 手を握っても、その手は冷たい。ちゃんと息はしているのに、まるで……。

 嫌な考えを頭を振って追い出す。

 愛犬が亡くなった時のことを思い浮かべてしまったのだ。動物病院へ急患として連れて行こうと思った。だがもうすでに別の急患がいて対処できないと言われ、他の病院を当たることになった。

 しかし断られたり、不在だったり。漸く受け入れられるという病院を見つけたがそこは遠く、そして連れていく途中で、息が止まり、ふっと抜けるように漏れていく様を眺めることしか出来なかった。

 嫌な記憶が脳裏を(よぎ)り、こびり付いて離れない。


「……マコト」

「アイシア。起きたのかい」

「……マコト、ゴメ、ネ……」

「何を言っているんだよ。もうすぐ連絡が来るから。そうすれば助かるから」

「……ウン。デモ……、ゴメ」


 その最期の一息を謝罪に残してアイシアは息を引き取った。




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