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第121話 望まぬ戦い

エルフ王の軍勢 対 魔王&エルフ姫連合の戦いの幕が上がろうとしているんですが…。

エルフの皆さん、姫と戦っていいの?!

一回戻って国王に報告とかしなくていいの?

姫が敵に回ったんだよ?


…どうやらどちらもやる気満々。

姫様返却作戦は実行できなそうです。


姫様に怪我させたら誰が責任取るんだよ!そもそもこの無駄な戦いはなぜ起こった?

なぜ姫様はこちら側についた?


とか何とか考えているうちに、


「魔弓バーニングアロー!!」


どこから取り出したのか小さめの浅緑色の弓から炎を纏った矢が放たれる。


ヤメテー、よりにもよってなんで姫様が先制攻撃キメちゃったのー!


激しく燃え上がる矢は物凄い速度でエルフ軍の元へ飛んでいき、


ドオオオォォォン!


ものすごい爆発を引き起こした。


バーニングっていう威力じゃないね。敵を燃え上がらせる矢かと思ったら、爆風で全てを薙ぎ払う広範囲攻撃でしたね。名前付け直した方がいいですよ。


「姫さま、やりますわね。」


「フリス・エルファリアと申します。フリスとお呼びください。」


「殲滅はフリスに任せても良ろしいかしら。」


「いいえ、あれを見て下さい。」


爆風で大地がえぐれ、地層が露出している。申し分ない威力でございます姫様。


でも、


「被害が思ったより少ないですね。」


爆風と炎で何人か怪我をしているようだけど、


「100人近くは巻き込んだように見えましたのに。」


そう、それくらいの威力はあった。


「こちらの手の内は知られています。魔法で爆風を逸らしたのでしょう。」


確かに大爆発の割に周辺に被害がない。


「そうね、それだと少々分が悪いかしら?」


「そうとも限りません!!」


そう言うとフリスは敵陣に走り出した。


敵陣からは1本の矢が。

あの軌道からするとこっちまでは届きそうにないけど、フリスはその矢を目がけて走っているようだった。


緩い弧を描いて矢が降りてくる。

そして、その後ろからは数百の強力な攻撃魔法が放たれていた。

矢はそれを誘導するものだったのか?


ハシっ、と矢の柄を掴みとったフリスは、矢じりを敵陣に向け指先で強く弾く。


次の瞬間、空気が揺らぎ、大気に衝撃が広がる。


大量の攻撃魔法は軌道をそらされ四方八方に飛び散り地面や森や、空で弾ける。


これは…。


「これはインパクトアローです。

衝撃を与えるとそれを引き金に大量の魔力を衝撃波として放ちます。

 大丈夫です。こちらも、向こうの手の内は把握してますので。」


そう言うとエルフの姫は頼もしく微笑んだ。


まさか、手前に落ちるであろう矢をわざわざ拾いになんて行かないからね。フリスがいなかったら矢の衝撃波で体勢を崩されてあの魔法を全部くらってたかもしれない。何とも恐ろしい戦術だ。

というか、姫様と言う割にかなりアクティブだよね。


「これは、放魔石?」


「ご存知なのですね。流石です。

その通り、古代の遺跡で採掘される放魔石ともう1つ、魔力を含ませた吸魔石という石を錬成したものを矢じりに使用したものがインパクトアローの正体です。」


と、言うわけで向こうの攻撃はフリスさんのおかげで失敗に終わったわけだけど。


「これじゃあ膠着状態だね。」


「それが…。」


フリスが敵陣を見る。

視線の先には、


「将軍が言うエルフ一の弓使い。

 あの言葉に偽りはありません。

 あの体格に似合わず弓捌きは非常に繊細で

無駄がありません。それに加えて…。」


敵陣から矢が放たれる


「土属性の矢?」


「フローウィング」


俺の言葉に反応しフリスが即座に呪文を唱える。


一陣の風。次の瞬間、


フワッ…


地面から足が浮き思わず転びそうになる。


「おわっとと。

 あれ、浮いてる?」


そして矢が地面に突き刺さる。

薄茶色だった地面が湿った色に変わり泥沼に変わる。そこからは無数の腕と無数の頭がはい出てくる。そして、

腕は足に絡みつこうと、頭は衣服に噛み付こうと迫って来る。しかしそれはことごとくフローウィンドに阻まれ届くことは無かった。そして数秒後泥の中へと消えていった。泥沼も元の大地に戻る。


「あの精霊弓。あれがあるのは予想外でした。あの弓は多くの精霊と契約を交わしています。それが多彩な攻撃を可能にしているのです。」


また来た、


「今度は火属性だよ。」


「ヒトシ様は良い目をお持ちなようですね。

精霊の矢に宿された精霊を見抜くのはなかなか難しいのです。」


何となく見えた、さっきは茶色というか土っぽいオーラが。そして今は赤っぽい熱っぽいオーラだ。


「ダウンバースト!」


背後からものすごい突風が吹き抜ける。


矢は風を突きぬけ、地面に突き刺さる。しかし風は強く強く吹き続ける。矢は弾け火花のようなものが無数に飛び散るが、風の勢いに押し戻され消えていった。あれが恐らく何らかの攻撃だったのだろう。


「フフ、ヒトシ様のその眼があれば、

攻撃に対していち早く反応出来れば

精霊弓など恐れるに足り無いようです。」


これは魔力視と振動感知を鍛えたおかげかもしれないな。


《魔力視のLvが3に上がりました。》

《振動感知のLvが3に上がりました。》


スキルレベルが上がった。


そう、睡眠学習のスキルではスキルレベルは一切あがっていなかったのだ。

両方共、上手く扱えるようになった感覚はあったんだけど、レベルはそのままだった。

目に見えるスキルレベル、目に見えない熟練度。もしかしたらこの二つは別のベクトルにあるのかもしれないな。


とか何とか、今は精霊弓に集中しなくては。


「次が来ないですわね。

こちらから仕掛けようかしら?」


「精霊弓はあれでかなりの魔力を消費します。

2度も防がれた以上、乱発は避けるべきと考えたのでしょう。」


「ならばやはりこちらから仕掛けるべきですわね。」


「ダメですって。フリスさんは身内だからまだ許される可能性があるけど、魔王が攻撃したら収拾がつかなくなりますよ。」


「とはいえ、フリスがこちらに付く以上、戦いは避けられませんわ。」


そうなんだよねー。何でこんなことになったのか…。


んー、そうだな。


「ここは俺に任せて貰えませんか?」


!?!?


なんか、姫様の瞳が輝きをましたような…。


「え?!ヒトシ様の戦いが見られるのですか?」


透き通った声が跳ねている。


いや、何を期待しているの?

やっぱりこの姫様見た目にそぐわず好戦的だ。


「戦いませんよ。まあ、ここで大人しくしててください。」


それでも姫様の瞳からはキラキラビームが出ている。それともう1つ、リリーさんの瞳からも…。


いや、戦わないよ?


「あのー、すいません。エルフの皆さん。」


俺は期待と羨望の眼差しを背に、両手を上げてエルフの軍勢の前に進みでた。


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