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第117話 クローンの魔石

メルサさんを欠いて完全に機能不全なアンフェロッテの2人の暴走に業を煮やしたギルドマスターのダンテさん。

なんでこんな時にメルサさんが居ないのか?

と思ったけど、

ゼーゼマンを1人野放しにする方が、危険だと気づいた。

お嬢様のため!とか言って何を買ってくるか分からない。

メルサさん賢明な判断です。


「お話ししてもいいですか?」


「あぁ、もう始めてくれ。」


少々お疲れ気味のダンテさん。

毎日お疲れ様ですギルドマスター。


「先日、王国軍の襲撃があったことはご存知だと思います。

 訓練中の御者さんが小屋を守ってくれたんですけど。」


「「「「「「小屋?!」」」」」」


皆さん息ぴったりですね。


「あれはどう見たって小屋じゃないだろ!」


「ヒトシくん、認識がおかしいよ。


「あ、確かに、倉庫ですね。」


「倉庫でもない、魔王城だろ?

 あんなバカでかい倉庫があるか!」


「そうですわ。きっと言葉の(あや)ですわ。

 でもそこの中にはちゃんと2人の新居もあるのよね?」


「ないです。これから必要ならば作る予定ですけど。」


2人の新居ではないけど。

ていうか魔王城。ってねぇ。

王都のそばに作るものじゃないでしょうに。

でも、それを言ったら王都の真ん前にこんな施設作る俺も大胆かもね。

だって流通の拠点にちょうど良かったんだもん。

やっぱり王都って言うだけに、そこら辺も考えてこの場所に作られてるんだね。


「あれは魔王城ではないです。

 魔王城は別の場所にあります。」


あんまり使ってないけど。


「あの王城にも匹敵する規模の建造物が、

 ただの倉庫…。」


「そうです。

 そして地下には御者さんたちの訓練場があります。」


御者の言葉にダンテさんが反応する。


「そうだ、そこだ。

 いつからお前はそんな強力な戦力を集めていたんだ?」



えっと、1、2、3、4…


「5日前です。」


「そうじゃない。それは、王国軍の襲撃に備えて魔王城…。

 じゃなかった。

 倉庫に配備したということだろ?

 そうじゃなくていつから人材を集めていたんだ?」


「だから、五日前ですって。」


「スラムに密かに潜ませていたんだな?」


「いいえ、御者募集に集まってくれたのは戦闘訓練なんか受けたこともない人達ですよ。」


一部プロフェッショナルもいたけど。


「まさか、一日で国王軍の一隊を超える戦力をつくりあげたのか?」


ダンテさんは驚き顔だけど、

ハイトさん達とアンフェロッテのエミリア様と、アンナさんは口角を上げ笑いをこらえてる。


何か面白いことありました?


「相変わらずだね。」


「えぇ。」


全く驚く様子のない冒険者達を見てダンテさんは自分だけが驚いている事が恥ずかしくなったのか、平静を装い、


「あ、あー、どういうことだ?

 お前たちも何か知っているのか?」


「今回ヒトシくんがどんな手を使ったのかは分かりませんが、

 僕達の急成長を見てくれれば、

 そこまで驚くことでは無いのでは?」


「そういう事ですわ。

 ヒトシにかかればそんな事、

 造作もないのですわ。」


おっと、エミリア様にお褒めの言葉を頂きました。


「なんて言っても、私の下僕ですもの。」


やっぱり、そうきますよねー。


「ちょっと待ってくださいね…。」


俺は無限収納からロックリザードの鉄クズを取りだし10センチ角の四角い小箱を錬成する。


それを無限収納に戻し、


これにゴブリンの魔石を詰めて戻してちょうだい。


(マスター我々では経験値を得られる魔石をドロップできません。)


そうか、クローンは経験値も魔力も吸収しちゃうから魔石にまでエネルギーが回らないんだった。


スキル、吸収不全。


クローンの吸収の能力を阻害するスキル。

いわゆるバッドスキルだ。


これって魔石からの吸収も阻害されるのかな?


(拾ってみました。魔石吸収されません。)


そう言えば、魔石って拾った時点で吸収されちゃうような物だしね。

そもそも集めようが無い。

でもこれで簡単に集められる。

これはなかなかいいアイディアかも。


すぐ小箱は無限収納に送られてきた。

俺が触ると吸収されちゃうから。


ドザエもん、テーブルの上に広げて。


どこからともなくガラス玉がみんなの囲むテーブルの上にバラバラと転がる。


「これは、宝石?」


「いや、これは透明だが、おそらく魔石だ。」


「ま、魔石。なんでこんなものが?」


「さすがダンテさん。ご明察です。

 これは、俺の攻略したゴブリンダンジョンから落ちるようになったものです。」


「ゴブリンが?

 最下級の魔物が魔石を落とすなんて聞いたことがないぞ。」


そうなの?

魔物ならみんな大なり小なり持ってるんじゃないんだ。


「まあまあ、試しに手に取ってみてください。」


おもむろに1粒、つまむように手に取るダンテさん。部屋の灯りに照らして透かしている。


「これは、なんとも透き通った色だ。」


と、指先に吸い込まれるように魔石は消えた。


「?!

 消えた?いや、吸い込まれた!」


驚きの声を上げるダンテさん。

驚くのはこれからですよ。


「!?!?

 経験値と、魔力だと???」


「そう、最大のミソは魔力です。

魔力は成長点に関わる重要なものです。」


「成長点と、魔力。そんな関係があったとは。」


「みんなもまだまだ強くなれますよ。」


「その成長点とは、すぐに突破できるものなのか?」


「ゴブリンだと魔力は大して手に入らないので、何回か成長点を迎えてる人はすぐにとは行かないかもしれませんが、いずれは上がると思います。」


「そうなのか。ではこれはホブゴブリンクラスの魔物の魔石か。

 経験値が50と、魔力100。

 強い魔物になればなるほど手に入る量も増えるというわけだな。」


ん?ホブゴブリン?

50に100?


(いいえ、ゴブリンの魔石です。)


「ただのゴブリンだそうです。」


「ヒトシ、ゴブリンの経験値を知っているか?」


確かに知らない。魔石で10だから良くて6ってとこかな?


「6くらいですか?」


「2だ…。」


魔石は経験値5倍か。


みんなが倒した時、

ゴブリンの魔石は10、10だったよね。

50に100なんて、これじゃあ、クローンで吸収した時と全く同じ数値だ。

つまり、吸収阻害によって行き場を失った魔力と経験値が全部魔石に行ったってこと?

ていうか、クローンて、普通の人の25倍も経験値貰えるんだね。

それをみんなに分け与えることができるようになってしまった。


俺は何やらまた、恐ろしい技を編み出してしまったようです。

ついに、禁断の技が編み出されました。

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