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戦場の死神と呼ばれた最強のパパ、さらわれた娘の救助へ異世界に殴り込む ~拳と鉛玉でドラゴンもエイリアンもまとめてブッ殺す~  作者: els


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第28話 困惑!?なぜデルタフォースの死体がここにある!?

「……ケッ、どいつもこいつも、とんだ死体安置所モルグに招待してくれやがって」


 鼻を突く腐敗臭ふはいしゅうの中、マッドが忌々《いまいま》しげに吐き捨てた。

 一行が足を踏み入れたのは、これまでの超古代遺跡のような幾何学模様きかがくもようのレリーフが一切存在しない、純粋な岩肌と生物的な粘液ねんえきだけで構成された洞窟どうくつだった。

 本当の意味でここは、宇宙の害悪『スター・カスケイダー』――銀蝕虫ローチたちの絶対領域であった。


 壁面には、半透明の不気味な粘着液ねんちゃくえきが幾つも巨大なまゆ状になって張り付いている。


「……なんなの、この巨大な固まりは」

 ララがつえの明かりを向け、顔をしかめる。

「気を付けろララ、何が飛び出してくるかわからないぞ」


 ヴィクターが警戒けいかいしながら高輝度こうきどケミカルライトを近づけ、そのにごった繭の内部をのぞき込んだ。

 次の瞬間、歴戦のスナイパーが一瞬だけ、ヒッと息をんだ。


「……ララ、見るんじゃねえ。……マッド、ちょっといいか」

 ヴィクターの声音が、かつてないほど緊迫きんぱくしていた。


 呼ばれたマッドが無言で歩み寄り、腰のサバイバルナイフを抜き放つと、迷いなく繭に突き立てた。分厚い粘着液を引き裂き、中身を露出ろしゅつさせると、マッドの表情もまた、岩のようにけわしくなっていった。


「……マッド、こいつら、海兵隊ジャーヘッドか?」

「……いや。装備のカスタムが違いすぎる。……こいつら、Dボーイズ(デルタフォース)だ」


 どろと粘液にまみれたそれは、まぎれもなくアメリカ軍最高峰さいこうほうの特殊部隊の遺体であった。


「アーサー! なんでこんな異世界の地下深くに、ユニット(デルタフォース)の死体が転がってるんだ! 隠さず説明しろ!」

 マッドが、胸ぐらをつかまんばかりの勢いでアーサーに詰め寄る。


「……私は知らん。彼らの行動は、軍の極秘事項トップ・シークレットだ。私の権限でアクセスできる情報じゃない」

 アーサーの無機質な返答に、マッドの殺気がふくれ上がる。


「マッド、落ち着け。これを見ろ。アーサーが知らねえのも納得できるぜ」

 背後で別の繭を調べていたマキシマムが、死体のタクティカル・ベストのポケットから抜き取った、血濡ちぬれの手帳を投げ渡した。


「……冗談じょうだんだろ? こいつら、いつの時代から来たってんだ?」

 ページを開いたマッドは、そこに書き込まれた日付を見て唖然あぜんとした。

 それは、彼らにとって『未来』の日付だったのだ。

 速記そっきされた記号には特殊部隊特有の隠語コードが含まれていたが、元部隊員であるマッドには、彼らがいつ、どのような任務でここに送り込まれ、全滅ぜんめつしたのかが、痛いほど理解できた。


 マッドは無言で手帳をアーサーへと投げ渡し、冷酷れいこくに真実を要求した。

 アーサーは沈黙ちんもくの後、ついに隠され続けていた『ゲート』の致命的な秘密を口にした。


「……マッド、ララたちを見て不思議に思わなかったか? ……ここを、単なる中世レベルの異世界だと、勝手に思い込んでいなかったか?」


「そんな頓智ウィット遊びをしているひまはねえ。単刀直入たんとうちょくにゅうに答えろ」


「……ゲートの出現は、時間軸にしばられないということだ。この世界のベースは確かに中世だが、シャドウ・クロウたちは時間軸を自由に移動し、そして最も重要なのは……ゲートは、地球の『様々な時代』に穴を開けているということだ」


 その言葉の意味を理解した瞬間、洞窟の空気が凍りついた。


「……ということは、ここの親玉クイーンを始末しねえと、俺たちの時代だけじゃなく、地球の様々な未来にまでこの害虫どもがあふれ出すってことか」

「……たぶんな」


 ここでクイーンを倒さなければ、いずれまた別の時代の戦友ともが、このゴミ虫との絶望的な戦いに巻き込まれる。

 マッドは、背後に立つリリーたちの未来のため、そして時空を超えて散った同胞どうほうたちのためにも、ここで全ての元凶げんきょう一掃いっそうしなければならないと、はがねの意志でちかった。


「……リーダー、話の途中で悪いが、今は悲しんでる場合じゃねえ。Dボーイズの装備を拝借はいしゃくしようぜ」

 ヴィクターが、デルタフォースの遺体が抱えていた無傷の火器を引き抜きながら言った。


「……ああ、そうだな。全員、速やかに武器と弾薬を調達ちょうたつするんだ」


 マッドたちは、時空を超えて散った未来の戦友の亡骸なきがらに、静かに、だが深く敬意けいいを示した。

 そして、生き残るため、そして彼らのかたきを討つために、最新鋭の兵器や特殊爆薬《C4》といった装備を、一切の遠慮えんりょなくぎ取っていったのである。

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