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戦場の死神と呼ばれた最強のパパ、さらわれた娘の救助へ異世界に殴り込む ~拳と鉛玉でドラゴンもエイリアンもまとめてブッ殺す~  作者: els


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第20話 酒場 龍の胃袋亭!妖艶なる魔女達の情報収集!!

 宿場町ドラグノフの夜は、血と硝煙しょうえんまみれた男たちが、刹那せつな享楽きょうらくを求めて群がる欲望の掃きめである。

 一行が重い木扉きどびらを押し開けて足を踏み入れた酒場『龍の胃袋亭』は、むせ返るような男たちの汗と、安酒の臭いが濃厚に充満していた。


 だが、その不潔でむさ苦しい空間の空気は、二人の絶世の美女が足を踏み入れた瞬間、劇的に支配されたのである。


「さあ、あんたたち。ここからは私たちの土俵よ。男どもは黙って見てなさいな」


 ララが不敵な笑みを浮かべ、ただでさえ露出度の高い真っ赤な魔道衣まどうい襟元えりもとを、さらに大胆に開いてみせたのだ。

 はち切れんばかりの巨大な双丘そうきゅうが、歩くたびに圧倒的な質量を伴って激しく上下に揺れ動く。

 深くスリットの入った極端に短いスカートからは、滑らかで健康的な太腿ふとももが、まぶしいほどにき出しになっていたのである。

 彼女の全身から立ち上る、エキゾチックなスパイスと極上のムスクが混ざり合ったような甘い香気こうきが、男たちの理性を容赦ようしゃなく焼き切っていった。


 ララは男たちの視線を極上の快感として受け入れるように、わざとらしく扇情せんじょう的に腰をくねらせながら、カウンターの席へと歩を進めたのである。

 彼女は、顔に古傷のある歴戦のベテラン冒険者の隣に座ると、その豊かな胸の深い谷間を、男の太い腕にこれ見よがしに押し付けたのだ。


「ねえ、そこのお兄さん。少し景気のいい話を聞かせてくれないかしら?」


 ララが、男の耳元にれた唇をすり寄せるようにして、甘く熱い吐息といき混じりにささやいた。

 極上の柔らかさと、女の肌の生々しい熱を直接押し付けられた男は、ビクンッと大きく肩を震わせたのである。


「あ……あぁ……。景気の、話か……?」

 歴戦の猛者もさであるはずの男は、ララの圧倒的なフェロモンにあてられ、だらしなく口を半開きにしてよだれを垂らしそうになっていた。


「今日の昼間、『龍の穴』に妙に知恵の回る片目のゴブリンが入り込んだってうわさだ。俺らみたいな腕利きには目もくれず、一直線に穴の下層へ走って行ったって話だぜ……」

 男は完全に骨抜きにされ、聞かれてもいない極秘情報まで、恍惚こうこつとした表情で全て吐き出してしまったのである。


 その露骨ろこつなまでの「女の武器」の行使を、酒場の暗がりから静かに見つめていた男がいた。ヴィクターである。

 彼は愛用のグラスを傾けながら、ララの極上のスタイルと男を翻弄ほんろうする艶姿あですがたを、氷のような冷静な瞳の奥で観察していた。


(……悪くない眺めだ。見事な手練手管てれんてくだだな)

 大人の男としての純粋な感嘆と、わずかな熱が胸をかすめる。だが、彼は決してその表情を崩さなかった。今はまだ、マッドの狂気じみた目的を果たすための前哨戦ぜんしょうせん。彼は湧き上がりかけた情熱を冷たい酒で流し込み、静かにその美しい毒牙どくがの成果を見守っていたのである。


 一方、騒がしいフロアの隅では、インディがララとは対極にある、知的で冷徹れいてつな「静」の色香いろかを周囲にき散らしていた。

 彼女は、肌に吸い付くようなタイトなローブを身にまとい、豊満な胸元から、くびれた細い腰、美しいを描くヒップラインまでの完璧な砂時計型のプロポーションをあやしく浮かび上がらせていたのである。


 彼女は洗練された優雅ゆうが所作しょさで眼鏡のブリッジを静かに押し上げ、一人の上級魔道士まどうしへと狙いを定めた。


「……わたくし、詳しく知りたいのですわ。そのゴブリンが目指している最深部、『龍の祭壇さいだん』への最短ルートを。……どうか、わたくしに教えてくださるかしら?」


 インディは、知性を宿したうるんだひとみで男を見つめ上げながら、そのごつごつとした手の甲に、自身の白くなめらかな指先をそっとわせたのである。


 ただ触れるだけではない。


 彼女はそこに、かすかな「風の魔法」を乗せ、男の皮膚の表面を羽毛でで回すような、極めて背徳的はいとくてき愛撫あいぶを行ったのだ。


「ひっ……! あ、ああ……!」


 魔法を通じた直接的な快感の波に、魔道士は脳のずいまでしびれさせられ、うっとりと瞳孔どうこうを開いたのである。

「……『風光のインディ』様から、そのような極上のご褒美ほうびをいただいては、断る理由などありません……。ここだ。この隠し通路を通れば、深層へと降りられる……」


 男は全身をわななかせながら、ふところから古びた羊皮紙ようひしの地図を差し出したのだ。

 インディは「女神の接吻せっぷん」にも等しい甘い微笑みを浮かべ、男の理性を完全に宇宙の果てまで吹き飛ばしてしまったのである。


・・・・


「ブッ……!! ゴホッ、ゲホッ!!」


 少し離れたテーブルでその一部始終を見ていたマキシマムが、飲んでいたエールを派手に噴き出した。

 屈強な筋肉のよろいを纏った彼であったが、その屈強な肉体とは裏腹に、女性に対しては中高生のように純情で奥手なのだ。

 普段は清楚せいそなお嬢様だとばかり思っていたインディが、信じられないほど妖艶ようえんな手つきで男をえつに浸らせている姿は、彼の純真なキャパシティを完全に超えていた。

(あ、あんな顔……あんな声で……っ! な、なんだあのすさまじいメスの顔は……!?)

 マキシマムの顔はでダコのように真っ赤に染まり、視線はあらぬ方向を激しく彷徨さまよっていた。

 ドクン、ドクンと耳鳴りがするほど心臓が跳ね上がり、手に持ったジョッキの酒の味など、もはや一滴たりとも分からなくなっていたのである。

 二人の極上の美女が放つ「女という名の絶対的な兵器」は、敵の情報を引き出すだけでなく、歴戦の男たちの心をも、全く異なる形で激しく揺さぶっていたのだった。


 インディのあまりに妖艶ようえんな情報収集を目の当たりにしたマキシマムは、で上がった顔を隠すようにして、酒場の中心にある最も頑強なテーブルへと乱暴に歩み寄った。

 荒くれ者達は自慢の腕を見せつけるように、賭け腕相撲アームレスリングに興じ周囲の冒険者達が腰抜けと言わんばかりに周囲を挑発していたのだ。


「おいだれか挑戦者はいねぇか! この俺に賭け腕相撲アームレスリングで勝てたら、この金貨を全部やるぜ!」


 このままでは、己の心臓が内側から破裂はれつしてしまう。

 彼は荒れ狂う自身の情動を力ずくでねじ伏せるため、酒場の暗がりにいた最も屈強なスキンヘッドの男の前に、地響きを立てて立ちはだかったのである。

 マキシマムは、首にかけていた「オークの装飾品」を、挑発的にテーブルの上へ投げ出した。


 「ガハハ! この筋肉ダルマが! いきなり俺様に挑戦とはな!」

 スキンヘッドの巨漢が、丸太のような腕をテーブルに叩きつけた。マキシマムと互角の巨躯きょく、岩のように盛り上がった筋肉。二人の間に、一瞬にして爆発的な熱気が充満したのである。


 だが、両者が右手を固く握り締めようとしたその時、背後から甘美かんびな香りが立ち上った。

「……無事に地図は手に入れましたわ。あとは、マキシマム様を応援するだけですわね」

 インディが、戦果を報告するようにマキシマムのすぐそばに歩み寄ったのだ。


 彼女の柔らかな身体から漂う、洗練された花の蜜のような香気がマキシマムの鼻腔びこうを直撃した。

「う、うおっ……!?」

 マキシマムが驚きに肩を跳ねさせた瞬間、インディはあろうことか、彼の太い上腕二頭筋に、自身の白くしなやかな指先をそっと添えたのである。

 さらに彼女は、周囲の喧騒けんそうを避けるようにマキシマムの耳元まで顔を寄せると、吐息といきが直接かかるほどの至近距離でささやいたのだ。


「……負けたら承知しませんわよ。わたくし、強い殿方は嫌いではありませんの」

 インディにしてみれば、それはあくまで仲間への励ましに過ぎなかったのかもしれない。


 だが、中高生のような純情な心を持つマキシマムにとって、それは核爆弾にも等しい衝撃だった。

 至近距離で見つめるインディのうるんだひとみ、眼鏡の奥で知的に輝く眼差し、そして腕に触れる指先の、信じられないほどの滑らかさと柔らかさ。


「ハ、ハハッ……ハーーーッ!!!」


 マキシマムの顔が、もはや赤を通り越して紫に染まりそうなほど沸騰ふっとうした。

 彼は込み上げる羞恥しゅうちと、爆発寸前のたかぶりを全て右腕の筋肉へと叩き込んだのである!


「いつでもいいぜ、ハゲ野郎ッ!!!」

 マキシマムの絶叫と共に、戦いのゴングが鳴った。


「その腕へし折ってやるぜ!」

 スキンヘッドの男が顔を真っ赤にして力を込める。


 ギギギ、ミシミシッ!! という、重厚な木製テーブルが悲鳴を上げるすさまじい破壊音。

 だが、インディの接近によってアドレナリンが限界を超えて分泌ぶんぴつされたマキシマムの腕は、もはや鋼鉄の柱も同然だった。


「……終わりか? じゃあ、こっちの番だ」

 マキシマムは照れ隠しの咆哮ほうこうと共に、全身の全出力を右拳に集中させた。


 ドォォォォォォーーーーン!!


 次の瞬間、酒場全体が揺れるほどの衝撃波が走った。

 スキンヘッドの腕は抵抗の余地もなく叩きつけられ、その凄まじい衝撃に耐えかねた分厚いテーブルが、中央から文字通り粉々に粉砕ふんさいされたのである。


「なっ……!? なんだこの、野獣のパワーは!?」

 周囲の冒険者たちが唖然あぜんとして立ち尽くす中、マキシマムは荒い呼吸を整えながら、すかさずインディから距離を取った。


「……へっ。俺の筋肉は、伊達に銃火器を支えてねえんだよ」


 ぶっきらぼうに言い放つマキシマムだったが、その耳たぶは隠しようもないほど真っ赤に染まっていたのである。

 そんな彼の無骨な勝利を、インディは極上の女神のような微笑みを浮かべて見つめていたのだった。



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