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戦場の死神と呼ばれた最強のパパ、さらわれた娘の救助へ異世界に殴り込む ~拳と鉛玉でドラゴンもエイリアンもまとめてブッ殺す~  作者: els


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第14話 異世界の街エルドリア! ワイバーンの襲撃?銀蝕中の影!!!

 バルドスたちと別れてから、数時間が経過。

 マッドたちは、朝日にまばゆく輝く都エルドリアを目指し、荒涼こうりょうとした荒野をひたすらに北上していたのだった。

 パワードスーツによる移動速度は、鍛え抜かれた生身の人間が全力で疾走する速度をはるかに凌駕りょうがし、目的地までの果てしない道のりを着実に縮めていくのである。

 遠くに見える都の尖塔せんとうは、まるで天を貫く鋭い針のように細く鋭利で、絶望の中にいるマッドたちへの唯一の道しるべとなっていたのだった。


 アーサーは昨夜の休息時から、この世界の根幹を成す魔法や魔力の性質、言語ついて、パワードスーツの演算機能をフル稼働させて調べていたのである。


「……マッド、移動中に魔力について。一つ、極めて不愉快な結論が出たぜ」


 アーサーはパワードスーツの歩行機能をオート・クルーズへと切り替え、空中に青白いホログラムディスプレイを鮮やかに投影したのである。

 そこには、近辺一帯を精密に3Dスキャンした地形画像が表示されていたのだった。


「この地図がどうした。俺たちの先に見える、このいびつな線は何だ」


 マッドが、愛用のショットガンを肩にかついだまま、ディスプレイに映る光の筋を射抜くような眼光でにらみつけたのである。


「ああ。これには特定の周波数のエネルギー……バルドスたちの言う『魔力』の残滓ざんしが記録されている。おそらく、この中心を通る最も濃い光の線がリリーの反応で、その周囲を警戒するように回っているのが、あの片目のゴブリンのものだろう」


 ヴィクターは画像データとアーサーの推測に対し、冷徹れいてつな疑問を投げかけたのである。


「なぜリリーちゃんの反応が、これほどまでに強く出ているんだ? バルドスの話では、彼女はまだ魔力を持たない『無垢むくの器』だということだったはずだが」


「良い質問だ。水が高い所から低い所に向かって流れるように、空っぽの器の周囲にある魔力は、一体どうなると思う?」


 それを聞いたヴィクターが、音もなくマッドの隣に並び、低くつぶやいたのである。


「……リリーちゃんを連れ去った、あの片目の野郎。ゲートをくぐり抜けた瞬間に気づいたのか。……我が娘、リリーちゃんの真の価値に」


「価値、だと?」


 マッドの声が、地をうような、凄まじい殺意を帯びて低く響き渡ったのである。


「……バルドスが言っていた『神々の灯』だ。魔力という不純物に汚染されていない俺たち地球人の肉体は、純粋な魔力エネルギーを、底なしに溜め込むことができる。この世界の住人から見れば、それは異常なほど濃密なエネルギー源だ。……もし、これを食らうことで、個体としての力を爆発的に増す種族がいるとしたら?」


 アーサーが、自らの口から出る言葉に震える声で、その残酷な結論を引き継いだのである。


「バルドスが上位の魔獣と言っていたが……ドラゴン族の可能性だ」

「サラが言っていたヤツか」


「この世界の頂点に君臨する最強種である彼らにとって、地球人の血肉は……個体としての限界を容易たやすく突破させる、強大な『強化剤ブースト』になり得る。片目のゴブリンは、自分たちを追い詰めるローチの軍勢に対抗するため、最強の種族であるドラゴンに、リリーを『最高級のえさ』として献上けんじょうしようとしているんだ」


 マッドの巨大なこぶしが、みしりと不吉な音を立てて握り込まれたのである。


「あの片目野郎……俺の娘を、トカゲの餌にするために連れて行こうってのか。……上等だ。そのトカゲが火をく前に、俺の拳でその喉笛のどぶえを粉々にブチ抜いてやる」


「……マッド、落ち着け。残念だがこの追跡データは、磁気嵐の影響か途中で途切れている。今すぐ直接追いかけたくても無理なんだ。まずはエルドリアの街へ行けば、何かがわかるはずだ」


 マキシマムが機関銃を担ぎ直し、巨大な体を揺らして、沈痛な面持ちのマッドを励ましたのである。


「エルドリアの衛兵は、ああいう『はぐれ者』の不審な動きには敏感らしいぜ。……片目のゴブリンが人間の子供を連れて歩いてりゃあ、目立たないはずがねえからな」


 だが、一行がエルドリアの巨大な城壁へと接近した時、彼らは思わぬ最悪の事態に遭遇したのである。



・・・・・


 「――上だッ! 仰角ぎょうかく四十五度、総員散れッ!!」

 ヴィクターの鋭利なナイフのような警告が飛ぶと同時に、異世界の空を激しく引き裂くような、高音の奇怪きかいな鳴き声が荒野に響き渡ったのである。

 マッドたちが瞬時に空を見上げれば、紫色の雲の間から数体の「空飛ぶトカゲ」――ワイバーンが、獲物を定めるようにエルドリアを目掛けて、死の急降下を繰り返していたのだった。


 「ケッ! 歓迎会にしちゃあ、随分と派手すぎるパーティーじゃねえかッ!」

 マキシマムが、巨大な重機関銃を腰にどっしりとえ、凶暴な笑みを浮かべて空をにらみつけたのである。

 エルドリアの巨大な城壁は、今や阿鼻叫喚あびきょうかん凄惨せいさんな戦場と化していたのだった。

 ワイバーンの巨大な翼が爆風のような風を切り、鋼鉄をも容易く貫く鋭い鉤爪かぎづめが、城壁を必死に守る衛兵たちを紙細工のように引き裂き、高所から次々と突き落としていくのである。

 ワイバーンの容赦ない攻撃が叩きつけられるたび、城壁をおおう魔法の障壁が火花を散らしてむなしく弾け、衛兵たちの悲鳴は、空を割るような翼竜の不気味な鳴き声にかき消されていくのだった。


 「……おかしい。あいつらの動き、単なる本能的な狩りじゃあねえ」

 マッドが、燃え盛る城壁を見つめながら深くまゆをひそめたのである。

 「ああ、マッドの言った通りだ」

 アーサーが、パニック寸前のバイザーが弾き出した解析データを絶叫するように伝えたのである。

 「これは生存のための捕食行動なんかじゃない……何かに脳の神経系を直接書き換えられたような、機械的で冷徹な統率が取れすぎているんだ!」


 その時、一体の巨大なワイバーンが、マッドたちの正面に位置する石造りのやぐらへと、自爆に近い勢いで激しく激突したのである。

 轟音ごうおんと共に巨大な石材が四方八方へと弾け飛び、墜落したワイバーンが血を吐きながらもだえ苦しむ。

 だが、その魔獣は致命傷を負いながらも、再びエルドリアへと飛び立とうと、折れた翼を無理やり羽ばたかせようとした時だった。


 「……ヴィクター、トドメを刺せ。死にきってねえ」

 マッドの冷徹な指示が飛ぶ前に、ヴィクターは既に岩陰に深く身を伏せ、長大な銃身を持つスナイパーライフルを静かに展開していたのである。

 彼は完全に呼吸を止め、引きトリガーに指をかけたのだった。


 乾いた鋭い発砲音。

 放たれた特殊徹甲弾は、悶えるワイバーンの眉間みけんを正確無比に貫いたのである。

 巨大な翼が完全に力を失い、ワイバーンの巨体は再び地面へと落下し、静止したのだった。

 「……仕留めた。だが、何かが決定的に変だぜ」

 ヴィクターがスコープをのぞき込んだまま、怪訝けげんそうに眉をひそめたのである。

 「あいつのツラに、何か『不気味なモン』が張り付いてやがる」


 四人は最大限の警戒を保ちながら、横たわるワイバーンの死体へと歩み寄ったのである。

 そこには、ワイバーンの頭部を半分以上覆おおい隠すように、銀色の硬質な甲殻こうかくが不自然に癒着ゆちゃくしていたのだった。

 「……これは……ワーカー級か?」

 マキシマムが、眉根を寄せて重機関銃の銃口でそれを乱暴に突き上げたのである。

 あの不快なローチが、死んだワイバーンの顔面に、まるで寄生マスクのようにぴったりと張り付いていたのだった。


 「待て、スカウターに異常な熱源反応だ!」

 アーサーのバイザーが、鼓膜をつんざくような警告音を激しく鳴らしたのである。

 「……死体の中で、何かが爆発的に脈動みゃくどうしている! 宿主ホストの死をトリガーにして、内部で個体が急速に進化を……」


 直後、ワイバーンの腹部が内側から力任せに突き破られ、銀色の鋭利なかまが飛び出したのである。

 パキパキという、骨を粉々に砕き肉を裂く嫌な音が荒野に響き渡る中、ワイバーンの死骸しがいの中から「それ」がい出してきたのだった。

 四本足の鋭い肢体したい、そしてレベル1とは比較にならない、禍々《まがまが》しい輝きを放つ完成された銀色のフォルム。


 「……スカウト級だと!?」

 マッドが、迷わずショットガンを構えたのである。

 それは、地球の科学では信じられない光景だった。

 ローチは死んだワイバーンを内側から自在に操り、そしてそのまま「苗床なえどこ」にすることで、その生命力を吸収してスカウト級へと急速な変態を遂げたのである。

 這い出したローチは、自らの親であったワイバーンのむくろを無造作に足蹴あしげにし、濁った黄色い複眼で、目の前のマッドたちを凝視ぎょうししたのだった。


 「……寄生による急速進化。これが奴らの世界侵食の正体か」

 アーサーの声が、き出しの戦慄せんりつに震えていたのである。


 「……黙れ」

 マッドが、生まれたばかりのスカウト級の眉間みけんへと、容赦なく銃口を突きつけたのである。

 「寄生だろうが進化だろうが、俺には関係ねえ。……俺の娘の純粋な肉体の中に、こんなゴミを一匹たりとも入れさせてたまるか」


 ズドォォォォォン!!


 零距離で放たれた無慈悲な散弾が、生まれたばかりのスカウト級を跡形もなく粉砕したのである。

 銀色の外殻の破片が朝日にきらびやかに舞う中、マッドは燃え盛るエルドリアの城門を、ただ静かに見つめていたのだった。


 「……急ぐぞ。……リリーの周りに群がるドラゴンだろうがローチだろうが、一匹残らず地獄の底へ送ってやる」


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