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王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
7章 氷ごりです

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王伝編集官 52話

「すまねぇな、ちぃと頼みたいことがある」


 がらがらとにぎやかな音がして聞こえてきた会話。ちらりとそちらを見ると調理服を着たごつめのおじさんと従業員ぽい男性二人がいた。音の正体は台車で木箱がいくつも積んである。なにやら気まずそうにそこにいた青年に声をかけたのだ。そしてその相手の人物は、成人したくらいな年頃で髪と目は茶色。ただ風貌はなんていうか

(かっこいい・・・)


 さらさらと艶のある髪を束ねて前に流し、すっきり整った顔立ちは温和。背は高すぎるでもなく、体格もごつすぎず。やってきたおじさんとはちがい男くささはまったくないが話しやすそう。あぁ、だからか。ここがこんな風なのは。リノリスはこの屋台広場に着いてからなんとなく居心地よくなかったのだ。周囲のテーブルには母よりかなり年上そうなご婦人や小さな子を抱いた若いお母さんたち。彼女たちが楽しげにお茶してるのはあのお兄さんがいるからかぁ。


「どうされました?」


「聞いてくれ、オレは悪くない。これを見てくれ」


「おや、・・・ずいぶん大量のイカと魚ですね」


「うちのやつが冷凍庫の容量も考えずに仕入れてきて、無理やり詰め込んだんだ。オレが確認したあときちんと閉まってなくて融けちまったんだ。まかないに回すから後たのむ」

 

「もう夜の準備ですし、この量では間に合いませんね。わかりました、こちらで使いましょう」


「助かるぜ。ここにもってくりゃ怒らねぇんだよな、あいつ・・・」


 おじさんのため息まじりの言葉は後半聞き取れないくらい小さくなった。彼の腕を認めるのと納得するのは別ということらしい。青年も素材の状態を確かめながら何を作るか考えだしたので聞いてない。「頼んだぜ!」と、あわただしくお店に戻る店主とぺこぺこ頭を下げつつ着いて行くお供二人。忙しない。たしかにそろそろ風に涼を含みだしたから日も落ちるころあいだ。僕も彼らが見えなくなるまで見送ると、ぶつぶつ言ってるお兄さんを視る。ここに来た目的。ふふふ、なにを隠さなくても彼なのですよ。


「まかない・・・ねぇ。今日はいいとこ1箱か。あと明日にでも回そうかな」


「お忙しいところすみません、少しお話していいでしょうか?」


「ん、・・君は?」




その頃、ラディアス王子はどんな様子でしょうか。素材の分配や新ダンジョンに関する取り決め、そしてとある国の大使との会談が終了となり。討伐関連も一段落、みなみなさまさま一息つき・・・・ませんね。


「以上が今回の討伐素材の内訳です。問題ありませんか?」


「えぇ、ありませんわ。被害もなくなによりです」


(カ・・大使、顔、顔。)


(うるさいですわ。もう会談は終わりでしょ)


(そういう問題ではないです。せめて眉間のしわ取りなさいって)


 おそらく今アラスティで一番険悪な空間だと思われます。たった一人で暗黒空間を顔だけで作り出しておられるのは、マラストーリス国全権大使、同国第一王女カノアリィ。12才の外交デビューはそつなくこなし、各国の評判もいい。後ろに立つ補佐官も鼻が高そうだ。そこのどこに彼女がこのような顔になる理由があるのだろうか。補佐官も訳がわからずおろおろしている。対するラディ王子はまだ外交モードをくずしていません。運ばれてきた紅茶で優雅にのどを潤してます。現在会議室にはマラストーリス側は大使と補佐官が残り、ルシネイラ側はラディ王子とレイ王子、うしろにはアバル。ラディ王子が微笑みの先制攻撃。


「さて、理由を聞かせてくれませんか?そのかわいらしい顔の」


「・・・なぜ」


 大使、いや大使なのは今回の公務期間のみなのでカノアリィ王女と呼ぶべきでしょう。なにかに耐えるように両手をひざ上で握りしめ全身プルプルさせてます。それを見ていたレイ王子は不思議に思った。彼はこの中で一番年若いが、それでも本能で知っている。女性とは怒らせるものではないと。兄は理由を知っているだろうに、なぜそんな言い方をするのか。好きな子をついいじめてしまう話は聞いたことあるが、これはちがうのはわかる。僕もまだまだ修行が足りないなぁと、まさに他人事なレイ王子なのでした。


「ここにいませんの?彼は」


 堪えて堪えて出た言葉はナイスな質問返し。さぁ、それの返答は?


「王伝編集官は一人立ち会えば済むからね」


「でもアラスティに来て一月、一度も顔を合わせないのは?」


 公務でラディ王子とレイ王子が同席する場合はそれもありうる。だがその答えにも納得していないカノアリィ王女。それに答えるわけにもいかない。なぜなら彼はこの一月ほぼミアとして活動していたから。清く正しいラディ王子は嘘は言わない。ただ、こう言って〆た。


「彼は私の代理ができるからだよ」


 ほらカノアリィ王女は反論できなくて顔をうつむけた。ラディ王子の仕事量を把握しているから。二人がまったく会わない環境を作ったのは内緒というやつですからね。知らぬがなんとかです。もちろん、この場にいない彼がですが。


「彼は今ある人物に会っているよ。フェルク・アロアリア。私の勧誘リストのトップにいる」


   

そろそろ新国造りの話題がでてきます。合間にこの世界のことも含めないとですね。

出す順番で揉めてます。えぇ、まだかまだかとうるさいったら・・・

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