王伝編集官 39話
6章です。R15と戦闘シーン入ります。それでもほのぼのしたく思うのです。
6章 光ってるかい?
「身の丈に合わず多くを得ると成長が止まる。だけどこれを成長と呼びたくないね」
目を背けたくなる光景。光の下にいてもなお暗闇を吐き出すそれ。胸が痛くなる。苦しんでいる姿は異形であっても痛々しい。
背を向けたまま彼は告げる。いつになく声が固い。顔を見なくてもわかる。それと対峙する姿は頼もしく、それなのにどこか悲しみが含まれている。そして私は両手を組み目を閉じた。
半時ほど前
鐘の音が響いてからの広場は慌ただしかった。どこかに控えていた騎士たちが次々に現れ、状況がわかっていない観光客の避難誘導していく。エイドリアン様も連絡に来た騎士と共に前線に向かわれた。広場内の店舗も急ぎ片付け避難した。今まで食事していたカフェも静かになり人気も見えない。
「・・・それにしても」
「なんだい?」
「初めて見ますね、それ」
「彼女はあちらがいいと行ってしまったからね」
私は上から下まで眺める。これも想定内で準備してたと。彼は、ハンスの衣服はとりあえずかっこいいと褒めておこう。街服に白マント。市販されるようなシンプルでも、風になびくとつやつやしなやか。新作らしい。街服に見えるそれも鮮やかな紺碧、銀糸で胸元にアクセント。型は街服風だけどすこぉし派手かも・・・剣はともかくマントいるのかなぁ。そんな疑問が顔に出てたか
「ミア、君もこれをつけてもらう」
「お揃いですか、このケープ」
「でもこれは外して」
そっと髪に触れ頭上のリボンに手をかけた。結っていた髪の半分がケープにふんわりかかる。取ったリボンは濃い青。ますます首をかしげるといつもはまっすぐな空色の目が、泳いでいる。目の前の人には合わない。ふむふむなるほど。つい笑顔がこぼれる。珍しいものを見れたので。
「ではめいっぱい目立つよう動きますね」
「そうだね、今は観客がいなくても」
円形の大広場にさわさわと風が駆け抜ける。音を出すのがカフェにある木々だけなので背景としては少々物足りない。足りなければ足せばいい。光と風 そして
---幕間--- カフェマスターは見た ディオン・ウズフィー
この店を開くきっかけは5年前の[三大陸会議]。以前は南の大森林で魔物を狩る仕事に就いていた。冒険者という呼称は一般的だが内容は多岐にわたる。国をまたいで移動する彼らが目立つのでそういう呼び方で固定されたが、数は多くない。実際は職業紹介ギルドで仕事を請けてから行うのだが、採取や討伐は市街の仕事とは別にランクがあり危険度に合わせた難易度が設定されている。なので定住している者はその呼ばれ方に気恥ずかしく思う。彼らのほうが断然強いのだから。
ある日、妹の旦那から聞いた話に乗っかる形で夢を形にした。人前では口にしなかったがなぜかヤツは知っていた。学院で同期だったがユージンのやつはどこまで把握してるんだ。
「現役引退?それで兄様今後どうなさるの?」
「広場でカフェを始める」
「甘いものお好きですものねぇ、たのしみですわ」
おい、その言い方だと趣味まる出しに聞こえるだろう。否定はしないが。オープンしたカフェも順調で5年も経つ頃にはカップルにお勧めの人気店となっていた。信じられないことだがエドのやつが女性をエスコートしてきた。常々妹はうちの家系に似たと嘆いていたというのに。
5年前妹と交わした言葉の意味に鐘の音が響いた。店内のスタッフに素早く指示を出す。不安げな様子に笑顔で伝える。大丈夫、あの方達に任せておけば
「さぁ、みんなお客様と避難してちょうだい。私は後から行くから」
おねぇさんではありませんよ。女の子と話す時だけこの口調なのです。




