王伝編集官 40話
-色々な人たちの前日の様子
アラスティ国の王都は外壁を砦が取り囲む形になっている。現在南門の騎士隊詰め所は魔獣襲来の前線基地でありかつてないほど人の出入りが多い。部隊編成3つのうち2部隊がすでに出発して所定の位置で陣を設置しているので、王都守備の要になる第3部隊も、そう緊張感であふれて
「はぁ~、やっぱ第1に入りたかったなぁ」
「なに言ってる。俺らみたいな新人の出番ないぞ。中型・大型がごろごろ出てくるって」
「あそこの華がいいんだ!中等部の[白薔薇]。魔導院の[青薔薇]。そして獣人の[子リスちゃん]」
相方が開いた口も塞がらないという顔も見てない。2人は予備役扱いの学院生だ。あぁ、ため息もついた。そんな二つ名ないって。しかし夢見る彼は聞いてもない。そこに先輩騎士がやんわり混ざる。
「なにおいう。第2のアンナさんがいいに決まってる。弟君と共にルシネイラ勤務決まった時はどれほどの数が泣いたんだか」
「それ聞いたっすよー。卒業時に同級生ほぼ全員告って全滅って」
「言うんじゃない。まだ諦めてないぞ」
決まった相手もいなく、想う相手もまだとなると、ねぇ。先輩に春はくるのだろうか。
さらにここの隊長が通りかかる。心なしかうきうきしてるんだな。さっきまで明日の打ち合わせしてただろうに。
「ふん、お前ら。あの方のありがたさがわからんのか」
「あー、だめっす。話がちがう。フェルメリア姫と全然配置がちがうですもん」
「同じ場所だろう。姫は安全第一に広範囲の防御壁を張られる。よって見張り塔の上にいなければな」
「こうなったら大活躍して戦勝祝賀会で褒めてもらうぞ!」
「あぁ、やっぱり第1がいいなぁ、だって会場3つとも別々なんだ・・・」
今回、戦力不足を補うため【三大陸会議】では人員及び資材の提供が決められた。時間的には5年も前から計画されていたので問題なく進んでいたが、間際の1ヶ月ともなると駆け込みで参加したがる者もいたのでアラスティ国としても対外を優先した。編成にも一工夫され、各部隊に三大陸が偏りなく混ぜられた。なのでこれ以上は勘弁というくらいの戦力が投入したのだった。ツワモノの戦闘を見るのも経験とばかりに新人も補給兵として配置されたがあいにく彼は抽選に漏れた。これがため息の理由。お気の毒です。
一連の事態を食堂にて目撃した第3総指揮のレイアール王子は兄に相談し、「それなら」と愉快そうに後日自身の名で再度3部隊まとめて宴会を行った。結果というと単に競争率が3倍となり、お目当ての彼女らに近づくこともできない彼を大爆笑で見物したラディアス王子なのだった。
「兄上、お人が悪いですよ」
「きっかけは何でもいいんじゃない?情熱には障害も必要だね」
私費で大宴会とか。
彼は商売人でもあるのです。
そしてこれも先行投資。




