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王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
5章 水に流してね
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王伝編集官 29話

 ---幕間--- キセ 降って沸いた災難

 「頼む!お前しか適任者がいない」


 ご心労察します。とはいえこれは承服いたしかねます・・


 思い起こせば5年前、ジェノス王子付きの任を受ける際、周囲から頭を下げられるという珍事。困りましたとも。王伝編集官という職が王からも国からも束縛されない立場であるとしても、生まれた国を大切に思います。しかし、しかしですよ。刺さるのです。痛いのです。視線なのに。


「ウィルバート殿、ジェノス殿。お初にお目にかかります」


「ようこそアラスティに。ベルデミン殿。エウルピケ殿。」


 王印を持つ方々同士の挨拶には他とちがう意味があります。まず自分の名は名乗らず相手の名を呼ぶ。こうすることで互いが相手を見ることができる対等な存在だと周囲に知らしめるのです。今対面されているのはレオングラディ大陸の代表として来られたお二人。そのお一人のエウルピケ王子が兄王子の横で視線攻撃。甘んじて受けないといけません。このような仕打ち、ジェノス王子に向けさせる訳に参りません。


 今回獣人族、そして魔族の代表としてフェルメリア王女がベグニルト大陸よりこのアラスティ国に来られたのはある会議の設立に参加するためです。フェルメリア様といえばこのカストルファン大陸にも届くはその美しさ。夜天に輝く星色の髪を高く結い、暖色のはずの緋色の瞳には智を集めすぎ冷ややかさがある。今宵の衣装は深い夜青色のイブニングドレス。流れる裾に色とりどりの宝石の輝き。このようにベタ褒めしたくなるのは


「ベルデミン様、ごきげんよう。ピケ、あなたあれほど忠告したのに来ましたのね」


「まぁ、そんなに当たらないでやってくれ」


 視線攻撃を続ける白い御方をたしなめてくださいました。これにはベルデミン様も苦笑です。この場のだれより恵まれた体躯ですが、次代の長は穏やかでなによりです。巻垂型の衣服はしなやかな筋肉を余すところなく見せつけ、腕や腰に身に着けた装飾品も華美にならない。そう一番輝いているのが艶ある黒髪と碧玉の眼だから。多少隣の弟を甘やかしても、そこに弱さなど匂わせない。遠目に見ても頭上の耳は雄弁です。フェルメリア様の詰問にエウルピケ様の耳はほんの少し動揺が出ておられます。ともあれ助かりました。




「かいこくってなーに?」


「新しい国ができるってことよ」


「できたらどうなるの?」


「いろんなお友達ができてなかよくできるのよ」


 そーなんだ、ラディってすごいねぇ。とミレーナが関心してたが、後ろの空気が不穏になりサフィが慌てる。だけど適切な言葉が見つからない。しかしミレーナの関心はすぐに変わった。動かなければスルーしてただろうそれに目が留まる。そしてポツリとつぶやく。「あれさわってみたいなぁ」


「こっちにもおいしそうなフルーツあるよ」


「ジュースもいかが?」


 サフィとアクアが注意をそらす。この場でなくてもまずかろう。無事危険物を誘導すると、とてもゴージャスな御一行が近づいてきた。リノリスは全力で緊張するが主の余裕っぷりに見惚れる。それもそうだ、100年単位の年表でも必ず上げられる一幕に立ち会っているのだから。ラディアスの提案による3大陸に参加を呼び掛けた開国事業。


「このたびは私の提案に賛同いただき感謝します。フェルメリア姫、ベルデミン殿、エウルピケ殿」


 この言葉に対し3名は順にラディアスの前に立ち「天印」のある左手を「王印」のある右手で取る。姫は腰を落としてラディアスの手を額につける。ベルデミン王子は跪いて、エウルピケ王子は頭を下げ同様にした。その間周囲では物音ひとつたてることなく見守った。ミレーナだけは見てなかったけども。


「たとえ『天啓』がなくとも我らに依存はございません。【神の代行者】のお言葉ならば」


 この場の一番の大物はミレーナでしょう。

しかしようやくスタート地点に着いたところです。

かなり間をすっとばして書いてますが、ゴールが見えない・・・

体調不調で進行優先ですが、書いてるととても楽しいです。

おすそ分けになれば幸いです。


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