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王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
3章 秘密は土の下

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王伝編集官 18話

 ガタゴト、カックン。ガタゴト、カックン。荷馬車の上で船を漕ぐとは。陽気と適度な揺れは最強のコンビだ。ふふ、だれもが夢の中。道はなだらかな丘陵に差しかかり、ラディ王子達4人以外だれも起きていない。荷馬車にワラを山積みして布をかぶせる。ふかふかのベッドだ。うろちょろするお子様たちを安全かつ効率よく目的地に連れて行くのにこれ以上の方法があるのだろうか。


 2台目の動くベッドの後方で、ラディ王子はくつろぎながら辿ってきた道のりのながめている。珍しい景色だろう。普段は自ら馬に乗って移動してりるのだから。周囲のぐーすか眠る同級生たちがいても年相応にまったく見えない空気を出している。見る人が見れば鼻血ものだろうか。リノリスには自分も含まれると思ってもみないが。

(それにしても、森での休憩中に聞いた「あれ」どういうことだろう。あの子たちとの会話は難しいなぁ)


 あの子たちとはネリィと呼ばれる森に住む小妖精のことだ。パールピンクの髪を2つに分け金色の髪留めで束ね、白いワンピースを着た外見は性別はないがかわいい女の子に見える。年中行事なので彼女たちは森を通過する際、わざわざ昼食時を狙って現れる。ラディ達が森でお茶会をしたのも彼女たちが来るだろうと思っていたからだったし。


「いらっしゃい、クッキーあるよ」


「いただきまーす、あのね・・・」


 3人のネリィ達は生徒たちの間を飛び回り、おやつをもらっている。でももらってばかりでもない。ちゃんとお返しもしている。小妖精ネリィは「三賢」というスキルをもっている。過去・現在・未来を視る能力だが、賢いのかと言われればかなり微妙。


「アクアちゃんはねぇ、むぎゅーなの」


「そ、そうなの。ありがとね」


 心あたりがあるのか肩に座って首に抱き着くネリィに律儀に礼を言う。能力はすばらしいのだがネリィという存在の精神年齢はほぼ幼児だ。邪まな考えを持つものに利用できない仕様になっている。100%その能力を活用するには「契約」もしくは「主従」が必要。もうひとつ「友愛」というのもあるが今ネリィ達がしているのはそれに近かった。おやつをもらって何かを教える。教えてもらう側に「友愛」があれば50%の能力で知ることができる。もちろん、ネリィに好かれていないと意味はないが。その基準はまったくわからないので狙って彼女達の能力は得られない。世の中おいしいようにはできていない。


「ふぁいとー」「てつなぐ?」「ちょっとはやい?」


 3人がレイ王子に群がる。その顔は赤いのか青いのか。「ざんねんよー」と3人が口をそろえて言った。あぁ、うつむいてしまった。そしてリノリスの所にもうれしそうにやってきて、1人が髪を束ねていた髪留めを取る。


「たいようのにおいなのー」「きれいよー」「おかまいなくー」


 ・・・見えない。頭の上でごそごそしている。周りを見るとみんななぜか目をそらす。仕事に満足した感のネリィ達は最後にラディ王子の所に行って自分の服をちょこんとつまんでお辞儀した。


「ありがとー」「またねー」「おいしかったよー」


 そう言って小妖精達は去っていった。リノリスの頭に髪留めを残して。過去に同様の事例はなく、この先ずっと着けなくてはいけないのかと不安になった。


「よく似合うよ、それ護符としても最上だからね」


 リノリスは見えないのではなく見なかったのだ・・・ 

 ごくまれにネリィに好かれ「三賢」そのものをもらう人もいます。

それで無敵の預言者になるかといえば、所持者を起点としたものなので知らない人相手には効果ないのです。例えば受験生の親が代理で来て「うちの子受かりますか」というのは無理です。これ絡みの話は別主人公であるのですが、並列で書くほどの体力がないのです。


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