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王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
3章 秘密は土の下

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王伝編集官 17話

 「ちょっと顔貸して」


 仁王立ちでアゴ誘導したら、なんか悪党ぽいな。聡いリノは抑えても怒気を感じたんだろう。いや、ごめんね。君のことじゃないんだ。怯えさせるつもりないんだよ?


「行っておいで」


「ありがとね、ラディ」


「テラ、食堂で待ってるよ。」


 リノの背中をぽんと押して送り出す。できるやつだ、内緒なのわかってる。肩をがっちりつかんで回り道して食堂に向かう。たちの悪いナンパみたいだ、これ。中庭を横切り人がいないのを確認。そしてにっこり笑って敵意がないことを示す。


「あのね、聞きたいことあるんだ。」


「はい、どんなことでしょう」


 少々面くらってるが学院で講座してるくらいだから質問されるのには慣れてる。でも他の人に知られるのはまずい。だからこんな面倒な方法をとった。ある極秘プランに協力してもらうために。


「セティさまの好きな色って何?」


「そうだねぇ、赤、かな」


「うん、ありがと助かるよ」


「何かするの?」


 誰もいないのにさらに周りを見回してリノの耳元で告げる。するとリノは驚いてはいたが納得もした。

真剣な顔をしてこちらの両手をぎゅっと握りしめ


「応援するから!」


「目が怖いよ・・・」


 どうやら喜んでくれたようだ。でもこのまま食堂行くのまずいなぁと思って、(まるでいじめたみたいに見える)リノのほっぺをふにふにする。近所のちびっことかにこれするとたいてい笑ってくれる。必殺技である。協定も結べたし、さぁごはんごはん。




 夕食後、兄の自室を訪ねる。学院とちがって制服じゃないひらひらした薄い生地の服はなんか落ち着かない。髪もきちんとセットされてリボンまで。みんなには見られたくないなぁ・・・コンコン


「兄さま、少しお時間いただけますか?」


「どうぞ」


 本を読んでたか。おんなじ色の髪と目なのにどうしてこう印象がちがうんだか。背中まで伸びたさらさらな黒髪。深い理知的な青い瞳。2人で並ぶと兄妹というより親子だ。はぁ、この人を動かすのか。かわいい妹のおねがいなら何でも叶えてくれるとはいえ


「お友達に贈るお花をいただきたいんですけど」


「どんな花がいいのかな、その人の雰囲気は?」


「色は赤がお好きだそうです。とても華やかでそれでいて凛々しくてかっこいいです!」


「テラネーゼ、それは・・・」


「ダメですか?」


 うるうるとおねがいポーズで見つめるとため息つかれた。それでもかまわない。だいたい初等部6年間で会話ひとつないとかありえない。実習も受けずに家に家庭教師招くとかだめじゃん。中等部に行ってからは密かに落ち込んでるし。どうにも見ていていらいらする。精神衛生上どーんと介入させてもらいますよ。


「わかった。明後日取りにおいで」


「ありがとうございます!」


 ここぞと兄さまに抱きついておく。なので兄が困りながらも微笑む顔は見られなかった。何を企んでるかわかってもらい、その上で極秘プランに乗ってもらう。どこまでも真っすぐな2人をくっつけるにはこちらを落とさないとだめなのだ。第1弾完了。リノ、次は任せたよ。

 



 ---幕間--- 困惑 セテリオン

 確かに誕生日ではある。色々お祝いもいただいた。でもリノが持ってきたこれはどういうことだろう。きれいにラッピングされたリボンをほどくかわいらしい何かの芽が出た植木鉢。送り主はあの人。

(なぜリノが持ってきたのかがわかりませんわ)

 

 数日後、すくすく育った芽は1つのつぼみを付けた。鑑賞用で成長促進してあるらしい。就寝前に眺めていると、ゆっくり花が咲いて鮮やかな赤が表れた。

(まぁきれい、それにとても良い香りね。お礼状書かないと)

 

 その花は種を一つ残して枯れたが、また種をまくと1週間後に花を咲かす。くり返し続いたがなぜか飽きることはなかった。お礼状という名の文通もこのとき始まった。

 


テラちゃんは隠しスキル「勇者」持ち。

兄は多分「乙女」・・・

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