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Brain-Wars  作者: 大山鳥 鈴
ランキング戦開幕・集う精鋭
15/20

全国ランキング開幕

 APPO東宮本部試験を終え帰路に就く6人。電車内では、少し考え事をしている青波と小早川。

 「う~む。如何なもんか」

 「そうですね……彼らは、あれに参加する資格を得た訳ですね」

 「隊長を誰にするか何ですよね」

 長年のゲーム感覚で思考力のある信。

 単純な身体能力の高さで勝ち残った翼。

 近距離戦から遠距離まで万能にこなすドラゴ。

 「どうするかは、現部長である君の判断です」

 「そうすよね……」

 いろいろ俺に受難があるな。 そんなことを言いながら、ゆっくり隊長選定を始める青波。


――――


 月は開けて9月。久しぶりに部室に入る5人。

 「いや~。戻ってきた感あるな」

 「2か月ぶりでしょうね」

軽く掃除をした後、集合を掛ける青波。

 「……あ~、そろそろ。内の隊長を決めようと思うんだが、俺に委任してもらってもいいか?」

満場一致の異議なし。問題なく事が進み安堵する青波。


 「よし……この部の隊長は俺でなく。赤柱 信 」

それを、聞いたとき一番驚いていたのは信本人。

 「何でだよ‼‼」

 「…理由は大きく二つ。一つは、お前のゲーム感覚からくる相手の行動の先読み。加えて短時間からの作戦立案。二つ目は発想力かな」

 「1つ目と2つ目同じじゃね‼」

 「まぁ、そう言う訳だ。異論なしだな」

異論あるわ‼と思いつつも 部長命令だ とか言われてしまうので言わなかった信。

 「ほんで、この時期に隊長を決めたのには訳があってだな。お前ら4人はこれから部隊チームを組んであるものに出場してもらいたい……それは、APPO明本本部ランキング戦だ」

 青波は彼らを見てそう宣言した。


――――

 『赤柱隊が全国ランキングに参加しました』

 「「「ブレイン起動」」」

ランキング戦に登録が完了し、ブレインを起動する信達。

 「よ~し、ランキング戦の概要を軽く説明してやる。ルールはシンプル。隊員1人以上4人以下のチーム戦だ。敵を倒して1点。時間切れ含めて最後まで残っていた部隊に+2点。簡単だろ」

 『……分かりました。で、相手は?』

 「ふ~む。今、対戦待ち受け中のロビーには…ざっと1500部隊か」

 『順位はどのくらいですか?』

 「ペケだよ」

 『だよな~』

 「…おっ、釣れた。ランキングは下の下だな」

 『紫花、相手のメンバーは?』

表示された隊のメンバーを確認後、MAP選択権を使用し「都市河川A」を選択した信。

 『全国ランキング戦開始』

――――


 「都市河川か……なかなか悪くない」

 「このステージは」

 「少々高めのビルが乱立。で、間に川が流れている。比較的、射線が通りやすいから中距離・遠距離手向きな土地だな」


 「さて、相手は攻撃手2の狙撃手1だ。とりあえず合流。落せるなら落せ。ドラゴは狙撃準備」

 「了解」「了解!」


 「相手はランクの低い相手だ…さっさと倒して順位を上げるぞ」

 「「了解」」


戦況は、東岸:信、松田隊攻撃手2名。西岸:松田隊狙撃手と翼とドラゴ。という具合。

 『接触エンゲージ距離まで後500』

 「了解、紫花。翼、橋渡ってそっちに行く」

 『OK』

 「誘導してきた一人を落として欲しい」

 『了解』

信の指示で作戦を一気に展開する赤柱隊。対して松田隊は信の後を追跡してくる。


 (…初戦だと新人部隊ルーキーチームは落ちやすいんだが。ここまで回るのはなかなか…)

 「釣れてる」


――――


 「さて…ドラゴ橋渡り始めるから」

 『用意はできている』

橋を渡りながら後ろの2人の気を引く信。

 「ちょこちょこ逃げやがって」「ここで落そうぜ」

 「刀持ちの方を落としてくれ」

 『……少し止めろよ』

 長剣の方の攻撃を受け立ち、そのまま組み合いもう一人の攻撃をよける。

 「さっさと‼落ち…」

剣を振り上げた瞬間、心臓部に狙撃が当たり戦線離脱ウォーデステレポート

 「『ろ』を言う前に落ちたな」

 「くそが…隊長‼」

 信の背後から弾丸が飛んでくるが信はそれを翼の能力で回避し、前のもう一人の腕に弾丸を当て、橋を渡り終える。


 「完全に意表ついて弾丸が当たらないだと…」

その場から移動せずもう一度狙撃の準備を始めた松田。


 「弾道解析完了した。白井に送るよ」

 『OK。あの辺か…【広翼】で決めるか』

 ブレードにエニマポを集中させ間合いを拡張。そのまま松田のいる位置を切断。戦線離脱ウォーデステレポートの軌跡を確認し、信に報告を入れる翼。

 「決着着いたなら、俺の方片付けてくんないかな?」

 『そんじゃ…【広翼】』

 「ふざっけんな‼」

ブレードが見えた瞬間ジャンプをして刀を避けた信。松田隊員は真っ二つになり戦線離脱する。


 『戦闘終了:最終スコア。5対0。勝者:赤柱隊』


――――

部室へ帰還転送される信たち。

 「こんなもんでしょ」

 「サクッと終わったな」

 「…やりすぎたか?」

余裕そうに出てきた信たちを見てうなずく青波。

 「うむ、余裕があっていいことだ…さて、暫くはこの部隊でランクを上げてAPPO本部のランキング49位以内にランクインすること」

 「なぜ、49位という具体的な順位なんですか?」

紫花が画面を見ながら質問する。

 「なぜかって?簡単な話。そうしないと、お前らは面白いことに参戦できないからな」

 「面白いことって…まだなんか企んでるんですか?」

 「まぁ、とりあえずは本部ランク49以内を目指せ諸君!!」

説明をせず部室からさっさと出ていく青波。


――――

 青波が急いで外に出た理由は北海道本部から電話がかかってきたからだ。

 『北海道本部本部長の岩六じゃ。ご無沙汰じゃの、青波』

電話の主は本部長。相も変わらず爺さんだなと思いながら電話を続ける青波。

 「岩六ロックさんも久しぶりですね。用件はなんすか?」

 『うちの不祥事を起こした部隊の隊員を其方で預かってもらいたいのじゃよ。如何かの?』

 「不祥事って?」

 『うちのバカが一人、イーターに情報を横流していたのじゃ』

 「ふむ…」


 イーター

 明本標的能力犯罪組織。Braineaterの通称。数年前までは、破壊活動が活発だったが各地で集団逮捕が成功され現在ではその規模は収縮された。しかし残党がまだ残っていると言われている。


 「情報を横流しした奴は」

 『此方で勾留している、黙秘され続けて居るがな…』

 「……こちらの支部長(顧問)と相談してからですね」

 『承知いたした……しかし早めの返信をお願いじゃ。ほんじゃ…』

 「それだけじゃ無いですよね?」


会話から何となく感じ取れた用件は二つ。隊員の預かりともう一つ。

 『さすが小早川の隊員。なかなか分かっておるな』

 「……イーターに対しての警戒ですよね」

 『現在は以前みたいに場所が特定し辛くなっている……油断しないことを進言しておく』

 「感謝します」

電話を切り少し赤らみ始めた空を見ながら、去年のことを思い出す青波。

 「……シュウさんなら、こんな時如何するかな?」


――――


 「さーて……本じゃ今日も、ランク上げに行こうか~」

 「信…」

 「わーってる。ばれないように逃走しているから、心配すんな」

 「…捕まっても黙秘すからね」

そう言いながら、部室に入ると信の担任が仁王立ちで待っていた。

 「赤柱~!」

 「……堺町サカエマチ先生。なんか用ですか?」

 「補習だ」

 「くそ~」

部室外に連れ出されて行く信。

 「さて…起動っと」

新しく画面に追加されていた「個人ランキング戦」に参加する紫花。

 「……攻撃手ランクは近い人から倒していくかね」


数分後、翼とドラゴが到着した。画面を見ると個人ランクの結果が出ていた。

 「…うぉ。これはスゲー」

 「これは、これは」

数分でランクを10以上上げていた紫花。帰還転送され、作戦室から出てくる紫花。

 「あっ!」

 「ん?」

 「バレちゃったか~」

 「個人でランク上げてたことか?」

 「う…まぁ…」

 「気にすることないだろ…そんなことより、訓練相手になってくれるか?」

翼からの提案は意外だった。

 「10本勝負で地形は全部ランダムで…ドラゴ」

 「指令だな。OK」


 『攻撃手10本訓練開始』


 お互いに武器は同じ、月初げっしょ。白い刀身の日本刀を模した剣。

 「さ~て…」「どう来るかな?」


――――

 「…なんで本職の攻撃手をしないんだか」

 剣の腕は遥かに翼のほうが上だが紫花には、一切剣が届かない。逆に翼には紫花の剣が少しづつ届き削られていく。


 「くそ~当たらん」

 「剣道のスタイルだね」

 「ぼけスキ狙いスタイルだよ」


 反応が完全に遅れてしまって、対応できない時間差に生じるスキ。たとえば、一つの攻撃で相手に「どっちだ」と迷った瞬間を狙うスタイル。


 (翼は中段…なら私は)

 剣を柄を握っている拳が額の少し上かもしくは頭の上にくる構え。

「上段か…ってことは攻撃型か」


 いちいち振り上げなくてもいいの、故に攻撃スピードが短縮され速い攻撃が来る。これを全て受け流す翼。しかしこれを流すので手いっぱいの状態である。

 「未来視とのコンビか、この剣速ってことは」

 「剣道経験者だよ」

 「……面倒なコンボ!」

防御しきれず不意打ちの一発で戦線離脱をしてしまう。


 『スコア6―4。勝者:紫花 来華』


 「6-4か…負けだな」

 「そうか、俺的には戦闘は5-5だと思うが」

 「気を抜いたら確実にやられていたのは私だけどね」

その時ドアが思いっきり開いた。息を切らしながら信が入ってくる。


 「…くそ~。サカちゃん先生えぐいんだよ…」

 「補習か」

 「うっせ~。さっさと始めるぞ」

紫花は訓練室に入る彼らを見ながらいつもの、席に着いた。

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