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Brain-Wars  作者: 大山鳥 鈴
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13/20

8月⑤

 『転送開始まで60秒』


 「結局、策が完成しなかった…」

 転送室に入った信の第一声。近中遠距離のメンバーが揃っているため、やっているうちにできるだろうと軽く考えていた。

 『出来なかったのなら戦闘中にでも考えればいいこと』

 耳の通信機から入る清水の声。

 「私は一人でやるけどね」

 長さが信の身長をも超える鎌を持っている赤千川。

 「連携しましょう…彩子さん」


 そうこう、している間に

 『転送開始』

転送が始まった。


 「まぁ、よろしく」

 「ちゃんと、やってよ」「了解」『はいは~い』


 『よ~し、各部屋転送が済んだな。三次試験は目の前の隊員が出す課題のクリア。制限時間は7時間だ。それでは各自頑張ってくれ』


 「…7時間」

 「すぐに終わるでしょ」「なら、いいんですが」


 信達の目の前には隊員がいない。

 「何処にいるんだか…試験管、隊員がいないんですけど」

 『…心配するな今、来た』


 「いや~悪いな、遅れた」

 目の前にはウルフカットで、隣にいる赤千川の様な髪色をした男が立っていた。


 「今回の試験管の赤千川アカチカワ ケイだ…よろしく。って、アレ?」

 「京兄ケイニイ!?」

 「何でお前が…そうか、そういうことね。あの人も人が悪い」

 「何で京兄が…」


 「どういうことだ…園原」

 2人の会話がわからない信。

 「え~と、ですね…目の前にいる人は、彩子さんの兄です。まぁ二人は兄妹と言うところです」

 「マジか…」

 「ハイ」


 「あ~…まぁいいや。ルールは簡単。1対3で俺に攻撃を当てられたら終わり」

 「そんな簡単でいいの」

 「もちろん。俺は強いからな」

 「それじゃ…」

遠慮なく攻撃を仕掛けに行く彩子。鎌を振り曲げた瞬間、

 「はい、終わり」

の声と同時に、真っ二つにされたのは彩子の方。


 「なっ…」

 『戦闘体許容損失超過。戦線離脱ウォーデステレポート


 「マジか一発で…園原下がるぞ」

 「一発撃ちたいのですが」

 「離れた方がいいだろこれは…」

 「…了解」


 弓射手アーチャーの特徴は超遠距離からの弓攻撃。

 利点は弓の種類が攻撃の際に変えることができる。ただ欠点は、攻撃の際弦を引くのと射撃性能が非常に悪い。この欠点が気に入らない人が多いため所属する人が限りなく少ない。


 「弓の種類は?」

 「通常弾弓。光弓。鎖弓…しかセットしてません。隊長さんは?」

 「俺は、通常弾。変化弾。後は、爆発弾だな」

 『崩せませんね』

自分の思っていることを、きっぱり言われた信。


 「…もっかい!」

いつの間にか戻っていた彩子は突っ込んでいくが、あっさり真っ二つにされる。


 「1対1は無理でしょうから、撃ちまくります」

あまり距離を置いていない状態で弓攻撃を始める園原。


 「これは…マズイ方向に向かってる気しかしね~」

 4人の力を一致させなければ勝てないことは分かっている。


 (二人(園原と清水)はともかく気の強い彩子(コイツ)を抑えるには…)

近くの廃ビルのような建物で身を隠し考えることにした…


――――


 「いや~、皆さんよくやっています…有望もいるのでは」

 「動きが硬いのが多いですけどね…」

 「ホントに明日大丈夫なんですか~?」

いつもの会議室にいるのは3人。先ほどの会議から戻ってきた御厨は不林と浮妖。


 「さて、お二人には明日のことで来たのです」

 「どうせ警戒態勢参加依頼でしょう?」

 「そ~、なんですか~?」

 「察しが良く助かります…一応全隊長にはこの後話をしますが、先に二人には知っておいて欲しかったので…それと犯罪組織の件ですが」

 「まだ全然、何の情報もないですよ、本部長」

 「そもそも、居るかどうか分かりませんし~」

 「…分かりました、引き続きそれも宜しくお願いします」

 「「了解」」


――――


 「こっの!!」

 「…ほい」

本日斬られた回数はこれで141回目。なぜ勝てない…もう時間も大して残っていない


 「まだ…」

 「ハァ…いい加減とまれよ暴走列車」

 「何もしてないアンタに言われる筋合いはないね」

 「な…言うじゃないか」

 「勝手にやらせてもらうよ」

と彩子が走り出した瞬間、後頭部に弾丸が当たる。


 「あ~れれ…仲間割れか?まぁいいけど」

一度剣を鞘にしまう赤千川。少し様子見でもしようと言う考えだ。


 「園原も、一度ルームに戻るぞ」

 「…?。ハイ」

2人とも戦線離脱ウォーデステレポートでルームに戻る。


 『お~い。まだ終わりじゃないぞ』

モニター越しから声が入る。それに答えたのは清水。

 「5分。いや3分で終わるんでちょい待ってください」

 『…わ~った』

 

 「サンキュー清水」

 「いえいえ。これも隊長へのサポート」

 「さて…」

本題に入る。正直言って人と正面切って話した経験がほとんどない。なんて言うか。と悩んでいる時


 「何で味方を撃つのさ!?」

彩子が突っ込んでくれたので助かったと思った。

 「え~まぁ。ほら、あぁでもしないと辞めないでしょ。性格上。そうだろ?園原」

 「えぇ、まぁ…」

 

 「止めた理由は簡単。頭冷やせ、そんで協力しろ。この標的直進攻撃手。てことだ」

 「頭を冷やさせるために、こんなことしたの?」

 「そうだよ。あの攻撃手を倒すのにお前ひとりじゃどう考えても無理難題だからな」

 「『倒す』?」

不思議そうにこちらを見てくる彩子。

 「え?倒すんだろ?」

 「…もちろん」「…うん」「可能ですね…」

 「という訳だ…全員のやりたいことと能力を聞きたい。いいか?」


 「3分以上たってるな…」

 少し苛立ちを覚えた赤千川。用はないが適当に近くの建造物一つを斬り倒す。轟音を立てながら点地区物が崩れきった時、3人が転送されてきた。

 「…さっさと始めるぞ」

 

 「倒すぞ」 

 「「了解」」『了解』

 「そんじゃ、移動!」

合図と共に二手に分かれた3人。


 「動きを変えたか…俺には関係ないけどな」

納刀のまま周辺警戒を怠らない。


――――


 「という訳だ…全員のやりたいことと能力を聞きたい。いいか?」

やっといえた…と安心している暇はない。

 「園原から始めるか…」

 「えっと、私は皆が動きたいように相手の動きに牽制を掛けたいです」

 「能力は?言わないんすか園原さん」

 「…自分の放つ弓の軌道が見えるのが能力です」

近場の紙にメモ書きしていく清水

 「ふむ…清水はパス」

 「ひどいですね」

 「お前のやりたいことはもう聞いた、そんで能力も」

 「いつですか?」

全く覚えのないことを言われ少し焦る清水。信の

 「お前が3分くれって言った時」

を聞くと何だと思って落ち着く。

 「ラスト、赤千川」

 「…ぶった切りたい。京兄を」

 「能力は?」

 「…走力上昇かな」

 「一般的だな」

 「うるさいな…アンタは?」

 「あいつをボコボコにする…後、弾道読みだから今回は使いものにならない」

 

作戦を立てる

 「軌道読み…未来軌道読み…走力上昇…乱立する高いビル…鎌、銃、弓…清水」

 「狙撃地点は全部出しました」

 「上出来…やることは決まった…まぁこれは一般的な崩しだな」

あとは…こいつらを信じるぐらいだけど…勝てる


――――

 「隊長さん。狙撃地点は取りました」

 『OK。そのまま、その場をキープ。使う弓は』

 「鎖です」


 「こっちも準備OK。後ろは取った」

 『清水、カウントよろしく』

 『了解。3…2‥1・ゴーです』

ゴーの合図で赤千川の前に出たのは信。


 「どういうつもりだ?銃手が攻撃手の前に出るとは」

 「こう言うつもりです」

信が銃口を向けた瞬間、赤千川の周辺に6発の黒矢が放たれる。

 「あと一本…」

 「こいつは…鎖矢か」

 予定通り赤千川の右手にヒットした弓は鎖矢と呼ばれる矢。対象の動きを封じるだけでなく矢羽から出る鎖通しを連結させることもできる。


 「まず、右手…次に足を削る」

 「出来ないね」

左手で持った剣で鎖を全て斬りおとす赤千川。そのまま、剣一本で信の左手も斬りおとす

 「マジか…でも、残っただけラッキーと思わないとな」

 「まだだ」

今度は上から急降下をしてくるが、それは回避できる。

 「もう、あんたは俺に攻撃をしても俺には当たらない」

 『来た~勝利宣言したにも拘らず即死するフラグが立った~』

 「黙れ、清水。恥ずいわ!」

 「それなら…1本はやめだ。2本ならどうだ」

 「…回避率50パーだ」

 と言いながら全速力で赤千川に近づく信。そのまま懐に潜り動きを止めるため、両足に弾丸を貫通させる。


 「このクソガキ…」

 「俺の役目はここまでだわ…」

頭から斬られる信。

 「まぁ…最後の一手が残ってる分有利かな?頼んだぞ」

 「…おいおい。そう来るか」

 さっきまでいなかったはずの彩子が空中で鎌を振り上げている。赤千川は信に動きを止められており振り向くのが精一杯のようだ。

 「まとめて斬りおとす!」

 「「マジか…」」

上から綺麗に半分にされた2人は

 『『戦線離脱ウォーデステレポート』』

 「よっしゃー」「大成功です」「う~ん百点以上の結果です」

 「俺の心配や労いはないのか?」

そんな発言をした瞬間、隊員全員に「なし(です)」ときっぱり言われる。


 一方、赤千川は戦線離脱ウォーデステレポート後、作戦室の椅子にもたれて座っている。

 「…やられたな。完全に相手の勝ち筋に乗せられていたか」

 鎖矢での動きの制限、銃手の意外な行動。作戦自体は驚くほど良いものでは無かったが一番驚いたのは妹(彩子)がチーム連携をしたこと。

 (…ガキのころから連携や協力が、まるでなかったアイツが。あのメンバー全員がアイツを変えたのか…)

 妹の成長を促した彼らに感謝を少しした赤千川だった。


――――


 『終了時間です。皆さんお疲れ様でした。明日の最終試験に備えてください』

終了時間が来て、赤柱隊 (仮)の作戦室に東谷の声が入る。


 「終わったー」

 「何で何度も訓練するのよ」

 「明日の為ですかね」

赤千川との試験後ずっと訓練室に籠り訓練をしていた3人。

 「明日の為って?」

 「明日は最終試験ですよ赤千川さんそれが終われば正式入隊が待ってますから」

明らかに棒読みで清水は告げる。

 「まぁ、そういうこと。そんじゃ、また明日な~」

信はさっさと作戦室から出ていく。

 「私はもう少し残ります。お疲れ様でした」

園原は訓練室に転送される。

 「僕も上がります赤千川さん後よろしくです」

清水も席を立ち、外に出た。


 「…バラバラなのかな?うちの隊は…」

気が合う仲でもないが、この4人となら隊を組んでも悪くはないと思った彩子。

 「何であれ、3人には感謝だな」

 年上の自分を陰で支援した園原。口は多少悪いが先を読み行動する清水。そして、暴走していた自分を止めた信。明日はきっちりお返しをと思い作戦室を後にした。


――――


 「お~、信。勝ったらしいな」

部屋に戻ると青波が居た。

 「隊長の有難味が解ったか?」

 「解りました…色々と苦労していたんスね」

 「感謝しろよ~」

 『通告。明日は最終試験です。速やかに部屋に戻ってください。あと30分後に消灯します』

部屋に入って来た通告。

 「さてと…準備して寝るぞ」

 「はい…」


――――


8月28日。最終試験開始。

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