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Brain-Wars  作者: 大山鳥 鈴
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12/20

8月④

 「いや~そんなに広くないな」

悪態をついているのは信。

 「愚痴るなよ。数に限りがあるんだから…。そんじゃ、荷物ここに置いて…」

 「…どうすんすか?飯ですか?」

 「これだ。ほっ!」

近場にあったリモコンを自分の近くに寄せて電源を付ける青波。テレビをつけDVDを読み込ませる。


 「何見ようとしてるんですか?」

 「まぁまぁ~待ってろ」

読み込みが終わった画面には小早川が映っている。


 『いや~解説がこのような形に成ってしまってどうも、申し訳がない…じゃ、始めます』

画面には小早川の解説と言うテロップが出ている。

 『…え~と、今回の映像これは4月ごろにとっています…流すのが何時になるのやら。そこは青波君にお任せしますか…』

では、と言いながら黒板に人間の頭の形の絵をかき始める。


 『え~、人間の脳には、まだわかってない部分が山ほどあります。そこで…いきなりですが、ブレインを使うための機関が脳にはあります』

 そうだったのか…と納得する信。


 「納得するのは、まだ早~い‼」

 「…マジですか」

目を画面に戻すと解説が続いている。


 『ブレインを動かす機関は左脳と右脳の間にあります。普通は見えない機関ですが、APPOの技術によりそれを見ることができます…名はB-Brain』

 頭を上から見た時の断面図の真ん中辺りにB-Brainと書く。

 「B-Brain…」

 『そして、ブレインを動かすためのエニマポ…例え話をしましょうか…。ブレインを電池で動く物。B-Brainを電池。そして、電気がエニマポ。これで、わかりますね…この後どうなるのかも。青波君に回答を聞いてください』

 お判りですよね?という質問に、 

 「電池が切れたら…どうなる、と思う?」

 「戦線離脱ウォーデステレポートですか?」

 「そ言うこと~」


 『まぁ、これで大体は解りましたか?では…』

画面が暗くなっていった。


 「これで、疑問が解けた訳だ」

 「そうですね…まだ理解が追っつかないけど」

 「その内、わかるさ。あそ~だ、ほい、これ」

何やら、冊子を投げ渡す青波。表紙には「APPO東本部説明会兼隊員採用試験」とある。


 「…えっ。はぁ~。そう言うこと‼?」

思わず大声を上げてしまった信。

 「やっと、理解したか…明日からはハードだぞ~」

笑いながらある意味の警告をしたつもりだった青波。本当の試験は明日から…


そして2日目が始まる


――――


 2日目の朝、部屋に大声が入る

 『おはよ~!ございま~す!皆さん、ブレインを起動して、ささっと会議室に集まってください!』

入ってきた指示に少々頭に来て居るドラゴ。

 「ふざけているな…さっさと行くか。翼?」

昨日二段ベッドの上にいたはずの翼の姿が見えない。


 「こっち、こっち。洗面台にいる」

声のした方に向かっていくと、目の前に白い髪で顔が覆われた翼がいた。

 「…大変そうだが急げ」

 「まぁ、待ってくれ」

櫛を使いながらいつもの髪形に整えていく翼。


 「OK…悪いな」

 「気にすんな。いつものことだろう?」

 「う~ん。まぁ…そうだな」

2人ともブレインを起動し指示された場所に向かう。


――――


 集まった会議室には合格者たちが座って待機をしていた。昨日より人数は確実に減っており残り人数も60人程しかいなかった。


 「なに、考えなんすかね~…いきなり集合とか。面白くない」

 「まぁ~、何をするかは始まらないと解んないと思うよ…と言うか何で機能いきなり正隊員と練習訓練したの」

 昨日の戦闘にオペレーターとして参加できなかったことを少々根に持つ紫花

 「…突然の成り行き。そう、向こうから『やらないか』って~」

 「ウソつけ」

バッサリと言われる信。

 「何で、解んだよ‼」

 「ウソつくと信は必ず目が右左に動く」

 「普通は皆、そうじゃないのか?」

 「…勘かもね」

 「は?勘で当たるのかよ…恐ろしいぞ」

 「恐ろしくはないでしょ…」

会場が静かになる。壇上に登っているのは正面から見て右に『Ⅱ-Ⅱ』のマークを付けた背が高い隊員。


 「え~、三次試験の担当をする東谷ヒガシヤ賢介ケンスケだ。皆さんよろしく。三次試験の内容を説明する…実戦が三次試験だ。今から皆のブレインに数字をランダムに送る。それを見てくれ」


 「む?Ⅰ-Ⅰ」

信のブレインには『Ⅰ-Ⅰ』の文字が浮かび上がっている。紫花は『Ⅱ-Ⅵ』


 「今、送った番号が意味するもの。それは、今回の試験の対戦相手の隊長が属する部隊の番号だ」

疑問そうな者もいれば、納得をしている者もいる。

 「え~、例えば。俺の隊、東谷隊の番号は『Ⅱ-Ⅱ』だ。今ブレインにⅡ-Ⅱの番号が出ている者は俺と戦うってことだ」


 「え~!?…終わったかも。俺、Ⅰ-Ⅰだ」

落胆し顔を机に当てている信。不合格に違いないと思った時、 

 「なお、今後の試験は落ちることはない。思いっ切りやってくれ。では、各自それぞれのメンバーで合流後、ラウンジに向かうこと。以上だ!」


 説明はそれだけで終了してしまった。


――――


 「が~。も~何でⅠ-Ⅰ何だよ!」

 「良かったな~。ボコボコにされて来いよ」

 「こんの~…お前ら何番だったんだよ!?」

 「Ⅱ-Ⅵ」と紫花。

 「Ⅱ-Ⅲ」と翼。

 「Ⅰ―Ⅴ」とドラゴ。

 「Ⅰ-Ⅶ」と青波。

 「一緒な奴いないんかい!」と信。

 「何時までも俺らに頼るなよ」

親指を上に立てながら半分本気とを取れる言葉を発する青波。


 「ぐ~。こういう時だけ先輩面して~」

 「まぁ~。ドンマイ、ドンマイ…そろそろ行かないと他のメンバーに迷惑だろうから…解散!」


 まずは、メンバーを探さないと行けないらしく近辺でⅠ-Ⅰの番号を持つ者を探す。がなかなか見つからない。未読のメッセージが到着していることに気付く信。


 「…差出人は、赤千川アカチカワ 彩子サヤコ。何々、『ラウンジに行かず会議室に残ること』…」

 すでに会議室外に出ている信。読み終わったとほぼ同時に会議室にダッシュをした。


――――


 「相も変わらずですね…ここは」

 一人で誰もいない廊下を歩いている小早川。あまりにも気が抜けていた為か、後ろから近付いて来る人間に気付かなかった。肩に手をポンと置かれ一瞬心で驚いてしまう。

 「何だ…源治さんか…驚かさないでくださいよ」

 自分の後ろに立っていたのはAPPO日本本部最強の男と称されるほどの剣の使い手の竜ヶ崎(リュウガサキ)源治ゲンジ

 

 「…驚ろかすつもりは、なかったのだが。小早川元支部長」

 「昔のことですよ…なんか用があるんですね。僕に源治さんを当てるということは」

 「…本部長がお呼びだ。同行してもらえないか」

 「御厨さんですか…分かりました。ついでに『同行』って僕は悪人じゃ在りませんからね…」

 「…昔より喋るようになったか?」

微かに感じた疑問は、

 「どうでしょう?」

の一言で流されてしまった。

 「…与太話はここまでだ。行くぞ」

 「了解です」


2人は、本部長の元に向かった。明日から行われる、最終試験の打ち合わせのために…


――――


 「ハァ、ハァ。遅れ…まし…た」

息を切らしながら会議室に入る信。会議室にいるのは、女子二人の男子1人。

 「遅い!!」

横で髪を二つ縛りしている女子が言う。

 「ですよね…」

防砂ゴーグルのようなものを首元に掛けている女子

 「はぁ~…早くしませんか~?」

髪がボサボサな男子が机に突っ伏しながら言っている。

 「すみません!…」

初見の人によく言えるな…と突っ込みたくなったが言わなかった。時間が惜しく感じたためだ。

 「隊長は、俺なのか…」

 「そうよ…さっさと自己紹介して作戦立ててⅠ-Ⅰの隊長を倒しましょう」

 「指示速いな…」

 「…彩子サヤコさんは、せっかちなんですよ…あ、私は園原ソノハラ紅音アカネです」

 「僕は清水惇慕シミズ トンボで~す。どうぞ」

 「私は、 赤千川アカチカワ 彩子サヤコ

 「…俺は、赤柱信アカバシラ シンです…そんじゃ、作戦室に行きますか」

彩子は納得していなかったが、ついて来た。


 (…大丈夫かな。この部隊…ぶっちゃけ心配だわ。心配していても始まらない…とにかくコミュを取るかな)

 「あ~…園原さんと赤千川さんは知り合いなのか?」

さりげなく情報取集をしたい信。

 「そうです。同い年の幼馴染です」

 「…」

 「清水は今回一人で参加したのか?」

 「ん~最初は5人で来たんだけどみ~んな落ちたよ」

 「…なんか悪かった」

 「気にすることない皆が落ちたのが悪いんだから」

 「棒読みかよ…」

少し話ながら作戦室に入る4人。


 「…そんじゃ、ポジションの紹介をしてもらっていいか?俺は銃手ガンナー

 「私は斧戦士アックサー、紅音は… 」

 「私は弓射手アーチャーですよ 」

 「僕はオペです」


作戦が組みづらい…おそらく、ここ1年以内で最大の苦境に立っていると自分で思う信であった。


――――


最上階にまで連れて行かれた小早川。竜ヶ崎がドアをノックする

 「入るぞ」「失礼します」

そのまま暗室のような部屋に入る。


 「来ましたね…それでは作戦会議Startですね」

 部屋内にいるのは5人。コの字型の机の中央に座っているのが本部長の御厨。左隣にⅠ-Ⅱ・碧川隊の碧川。その隣に竜ヶ崎の弟子の風鳥。御厨の隣には竜ヶ崎が着席。もう隣は空席。


 「僕は、ここに座るのですか?」

 「…そうだな。…本当は、東谷が座るんだが…今、奴は試験監督者だ。お前が座れ」

 「了解です…で今回は」

 「はい、今回の議題Themeは…明日の四次試験です。よって、Meetingをします。碧川君」

 「提案者は本部長です。説明はご本人で」

いつも様に冷めていてCoolですね と思いながら説明を始める御厨。


 「…皆さんも分かっていると思いますが、年々能力犯罪は悪化傾向にあります。例え、隊員であっても

死する可能性(,,,,,)があります」

 そこで…と言いながらいつものおどけた感じからかなり真剣に顔になり

 「そこで…四次試験では、戦線離脱ウォーデステレポートを全ブレインから外し試験を行いたいと考えています」

 戦闘ブレイン体が戦闘不能になった時、自動オートで発動する戦線離脱ウォーデステレポート。それを外すということは、戦闘不能になった時、生身にその場に残ることを意味する。

 

 「…そして試験監督者は我々、合格者(彼等)の相手は元能力犯罪者アビリティー・クリミナル達にしようと思います」

 面倒なことをしようとしたものだな と考える小早川。


 能力犯罪者はその字の通り、能力を不正使用等で捕まった犯罪者たち。そして彼らは依然増加を続け、噂のレベルではあるが組織を作っているらしい。


 「ホントにやるのか?」

 「えぇ、風鳥君。ホントにやります。軽い気持ちで隊員になられても困りますから」

 「…確かにそうだがよ」

 「という訳ですので、満場一致でこの試験を行います」

 

 いつ多数決取った!! と叫びたがったが、今の御厨は本気だというのがよく解る。その彼の邪魔はしてはいけないと心の中でブレーキがかかる。


 「それでは…皆さん戦線離脱の電源を今夜落としますか」

 「…了解」

 「解りました」

 「了解」

 「わーった」


 明日の試験は一部の隊員は窮地に陥るかもしれない…

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